[完結]サクリファイス~主従の契約

くみたろう

文字の大きさ
上 下
20 / 35
第3章 スタンピードと気持ちの連鎖

2

しおりを挟む
 執務室空間では、フェイクが逃げ惑っていた。

 部下天使たちは、武装をすべて使って抗戦しているが戦力が足りない。
 どういう事だ!
 なぜ!執務室空間の前に張ってある結界をすり抜けて、邪神共が進攻してきた?

 フェイクの中の人格達は混乱した。
さっぱりわからない。
結界を何度も張り直したが、全く意味がない。
 迫りくる部下バッタ100万匹に部下イナゴ100万匹が、ついに執務室前の扉を破壊した。
 火炎放射器をぶっ放して対応する部下天使達に、防御を任せて神託を地上に降ろしまくる。
 火力制限なんてつけない!早く対応させないと!
 地上の戦いに目をそらせて、邪神達から逃げないといけない。

 だが、フェイクは地上のガス王国貴族の軍が邪神軍団達に負けて新生ガス王国を頼って行ったが日頃の行いが悪過ぎるのと、ラッド国王に敵対していたので援助が得られなかったのを、これまで部下の報告なんて聞き流していたが、初めて真剣に聞いて神託の内容を変えた。

「世界が滅びるから、冒険者カザトに邪神を討伐されろ!」

 だが、いくら聖女達に神託をおろしても、聖女達が司祭達が牧師達が全く動かない。

 焦るフェイク!

 部下天使達が、火炎放射器でイナゴ達を焼いた残骸が地上に落ちて行くのが見える。
部下達の報告で、既に100万を越えて500万のイナゴが来ていた。

バッタは?
 げ?!
 別の出入り口めがけて、突っ込んで来た。
部下天使達が、火炎放射器を持って土嚢を積み防衛線を張った。

クソ!

ババババババババ!
 なんだこの音は?

 黒い大軍が来た!
 通称・G! 邪神部下ゴキブリの大群だ。
 奴らが、上部出入り口をめがけてやって来る。
 そして、空を駈け上がって来る何かの茶色い塊がやって来た。
 ねずみ(部下ラット)だ!
 奴らは、執務室空間の非常脱出口を狙って来たのだ。
 そして、パシリ1号を戦闘にあの召喚した下僕勇者たちが、オークキングとなってオーク軍団を引き連れて透明な階段を登ってやってきたのだ!

 悪夢だ!
 逃げる場所がない!
 逃げる出入り口がすべて封鎖された。

 あ!そうだ!私だけが知っている亜空間の非常口を使って、戦闘は部下天使に任せて逃げよう!
 このとき、フェイクはもっと真面目に考えるべきであった。
 なぜ、フェイクの500倍強くても許可が無いと入れない執務室空間の結界を、やすやすと突破して攻めてきたのかを、もっと真面目に考えるべきであった。

 だが、そんなに邪神達は甘くなかった。
 執務室空間を球場に包囲したのだ。
 まるで示し合わせたように各エリアに別れて日頃は、組むことなんてしない邪神達がまるで作戦実行しているかのように包囲したのだ!

 そしてその包囲隊を指揮する、各邪神軍から一体の主級邪神が空間魔法でフェイクの逃走切り札の可変型亜空間の非常通路を遮断してしまった。

フェイク内部全ての王女王妃
「な!なにーーーーーー!どういうことよ!どういうことなのよ!ここまでする?
 まるで私達が、完全に狙われているみたいじゃない!」
 
 部下天使からマシンガンを持たされた。
部下天使
「現実逃避してないで、通信室を取り返さないと、神託すら降ろせませんよ!」

フェイク内部全ての王女王妃
「しまった、逃げるつもりであそこの警備をおろそかにしていた。」

 本音が声に出ていたフェイク。
 白い目で部下天使達から見られる。
 しかし、プライドレベル高さだけは東京スカイツリーなんて超えてしまうフェイクには、そんな事気にしない。

 もっと自分の職務を忠実に熟す事に、そのプライドを維持する精神力を流し込めたら、たとえ魂の構成が不正でも正式な管理者神になる道が開けたのに、やはり狂った廃レベルなプライドがそうさせないのである。

 おい!誤字だぞ。
 ハイレベルのハイが、産業廃棄物の廃だぞ?という読者様。
 高いを通り越して廃人レベルの狂った領域だと言う事で、廃人の廃の廃レベルです!

フェイク内部全ての王女王妃
「チキショー!」
ドドドドドドドドドドドドドドド!
 マシンガンを叫びながら撃つフェイク。

 ふつうマシンガンは、反動が凄くてしかも弾丸なんて真っ直ぐ飛ばないらしいのだが、なんと2~3発撃っただけですぐに修正して、フェイクは全ての巨大イナゴの眉間にヒットさせてぶっ殺していく。

 ハァ??何それ?
 部下天使達は、びっくりする。
 そう!フェイクは元々科学大国の王妃と王女なのである。殺しの教育も受けていた。
 核爆弾のボタンしか持たないなんて事は無い。
 マシンガン、ロケットランチャー、戦車、音速戦闘機に、高速UFOや、ビームサーベルなんてすべて使えるのだ。

 特にスナイパーライフルを使わせたら2000m射撃競技という種目がもし、あるなら満点を叩き出す能力を持つ者が王女達の中に2人もいるのだ。

フェイク内部全ての王女王妃
「マガジンがない!その銃をよこせ!ウラーーーーーー!死ねやコラーーーーーー!」

 とても、おしとやかな王女達の集合体とは思えない。

 たった100発の弾丸で通信室を取り戻したフェイクは、トイレに行きたいから邪神の部下ラットを狙撃しながら、トイレに急ぐ。
 なんと、あと1時間で陥落との状態から執務室の主要な場所を取り戻して、武器も取り戻した。

「こいつ、日頃から真面目に働けよ!」という、部下達からのツッコミの視線を無視してフェイクは通信室に一時間おきに聖女や、司祭や牧師をノイローゼで殺すつもりで神託をおろし始めたのである。

 そして、モールス信号表を見て片手でずっとどこかに救難信号を打っていた。
 全ての顔が鬼気迫る顔をしたフェイクが、作業に没頭する。



その頃、邪神イナゴの拠点の城では。

邪神イナゴ
「戦況の報告をしてくれ!」

部下イナゴクイーン1(元ブレーダーの母親)
「陛下!フェイクは、マシンガン乱射して押し返してきたらしいのです。」

部下イナゴクイーン2(元ブレーダーの祖母)
「戦線が押し返されました。自爆隊の突入準備はできています。」

 自爆隊は、自爆したあとすぐに魂と砕けた体がが邪神イナゴの元に戻って来て、すぐに復活するという、厄介な部隊である。

邪神イナゴ
「兄貴達も来てくれたな。ククククク、フロンターレの王女共!まずは積年の恨みの利子を払ってもらおうか!」

 邪神イナゴの兄弟たちが、次々と降臨していた。
 30体いる殺人と人の不幸が大好きだった元人間のイナゴクイーンたちが生む特大卵に降臨してくる邪神イナゴの兄弟達とジェネラル以上のクラスのイナゴが続々と増えていったのである。
 あまりにも、オーバーパワー!
 フェイクをぶっ殺すのに有り余る戦力!
 だが、全く邪神イナゴの顔には余裕が無かったのだ。

 それは、他の邪神達も同じ顔をしていた。
 どういうことなのだろうか?

つづく

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜

鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。 誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。 幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。 ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。 一人の客人をもてなしたのだ。 その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。 【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。 彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。 そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。 そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。 やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。 ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、 「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。 学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。 ☆第2部完結しました☆

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました

鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。 素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。 とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。 「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

処理中です...