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第2章 種族の優劣 命の重み
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カーマインを真っ直ぐ見てリアンは答えた。
傍らに立つジーヴスを手で引っ張り前に出す。
「みんなも知っている通り、 ジーヴスには力がある。戦闘に向き不向きは勿論いるだろう。だがリアルドよりも戦力が高いのは確かだし、 何よりリアルドを減らす訳にはいかない」
「それはジーヴスだって同じだろ!同じ命だぞ!!」
「そうだな、 同じ命だ。だが、 我らリアルドとジーヴスの命の重みは違う。そうだろう?」
「違わない!死んでいい命なんかあるわけがない!!命に優劣があって言いわけがない!!
確かにこの世界はリアルドが中心になっているけど、 そもそもそれがおかしいじゃないか。サクリファイスがあってジーヴスを従える。生まれながらに虐げられる存在があってたまるかよ!!」
「……………それはカーマイン個人の考えだろう?今はそんな事を言ってる時じゃない。リアルドを優先的に残す必要があるのと同時に、
我々リアルドは非力だ。だからこそ、 ジーヴスに戦ってもらう。我々が戦いに出て何が出来る」
「…………………だからって」
「やらねば死ぬぞ、 全員がだ。リアルド、 ジーヴス関係なくな」
「………………」
リアンの言葉にカーマインは俯いた。
血が出るくらいに手を握りしめて悔しさを滲ませるが、 言い返す言葉がなかった。
リアルドはリアンが言ったように戦闘が苦手な種族だった。
周囲の増えた魔物の討伐や狩りはジーヴスが受け持っている。
それはリアルドに隷属されているからだけでなく、 純粋に戦闘スキルが高いのだ。
適材適所とは言ったもので、 肉体労働などはジーヴスの仕事だった。
リアルドがこの世界で優れているのは生まれながらにジーヴスを隷属出来る、 サクリファイスを使用出来る。
ただそれだけだった。
「……皆、異論はないか」
「ないぜ」
口々に賛成の声が聞こえ、 リアンは今後の話を始める。
「今の予想ではここに到着するのは五日後、
その前の村には三日後には到着する目星が着いている。これに合わせてジーヴスたちは準備をはじめるよ!まずはあと2日で出撃の準備をしてすぐに隣の村のジーヴスと合流する。」
「合流するのか?」
「ああ、 戦力は多い方がいいだろうし、 出来たら村も守ってやりたいからな」
「………そうか、 隣の村にはリアンの好きな……」
「うるさいよ!口を閉じな!!」
口を挟んだ男性のリアルドが頭を強く殴られる。
殴ることないだろ!と叫んでいるが、リアンは放置だ。
「………とりあえず、 みんなは余所見しないでをモンスターだけ倒してくれ。」
はぁ、 と息を吐き出して言った。
子供、 妊婦以外の全ジーヴスは2日後朝にここに集合、 しっかりと準備をしておくように。
やることは山積みである。
リアンは決まった内容を伝えるだけ伝えてすぐに配給にくりだした。
「ほら、 みんな腹減ってるだろ?腹が減ってはなんとやら、 だ。好きなだけ食え!」
これから戦いに出るジーヴスへの激励にと、リアンが他のリアルドに声をかけあい準備をしていたのだ。空腹で動けないなど論外だからだ。
備蓄のあるリアルドは嫌々ながらに差し出した。
なぜジーヴスの為に…そう思うものもいたが、 リアンに言われたら逆らえず少量ずつ差し出したのだ。
勿論、 カーマインも配給にするから備蓄があるのなら少しでいい、 提供してくれないか?とリアンに言われていた。
群がるように寸胴鍋に集まるリアルドとジーヴス。
やはりリアルドに遠慮をしてかすぐに後ろに下がる。それをリアンはしっかり見ていた。
「今回はジーヴスの激励だから、 先にジーヴスな。わかったのかー!?」
我先にと集まるリアルドに、 リアンはため息をつく。
そんな様子を見ていたカーマインは、 そっとベルライナの手を掴んで家に帰ろうとした。
「おーいカーマイン!良いのか?ベルライナに食べさせなくて」
「いらないよ、 みんなで食て」
それだけ言い、 カーマインはベルライナの手を引いて小高い丘にあるカーマインの自宅に戻って行った。
傍らに立つジーヴスを手で引っ張り前に出す。
「みんなも知っている通り、 ジーヴスには力がある。戦闘に向き不向きは勿論いるだろう。だがリアルドよりも戦力が高いのは確かだし、 何よりリアルドを減らす訳にはいかない」
「それはジーヴスだって同じだろ!同じ命だぞ!!」
「そうだな、 同じ命だ。だが、 我らリアルドとジーヴスの命の重みは違う。そうだろう?」
「違わない!死んでいい命なんかあるわけがない!!命に優劣があって言いわけがない!!
確かにこの世界はリアルドが中心になっているけど、 そもそもそれがおかしいじゃないか。サクリファイスがあってジーヴスを従える。生まれながらに虐げられる存在があってたまるかよ!!」
「……………それはカーマイン個人の考えだろう?今はそんな事を言ってる時じゃない。リアルドを優先的に残す必要があるのと同時に、
我々リアルドは非力だ。だからこそ、 ジーヴスに戦ってもらう。我々が戦いに出て何が出来る」
「…………………だからって」
「やらねば死ぬぞ、 全員がだ。リアルド、 ジーヴス関係なくな」
「………………」
リアンの言葉にカーマインは俯いた。
血が出るくらいに手を握りしめて悔しさを滲ませるが、 言い返す言葉がなかった。
リアルドはリアンが言ったように戦闘が苦手な種族だった。
周囲の増えた魔物の討伐や狩りはジーヴスが受け持っている。
それはリアルドに隷属されているからだけでなく、 純粋に戦闘スキルが高いのだ。
適材適所とは言ったもので、 肉体労働などはジーヴスの仕事だった。
リアルドがこの世界で優れているのは生まれながらにジーヴスを隷属出来る、 サクリファイスを使用出来る。
ただそれだけだった。
「……皆、異論はないか」
「ないぜ」
口々に賛成の声が聞こえ、 リアンは今後の話を始める。
「今の予想ではここに到着するのは五日後、
その前の村には三日後には到着する目星が着いている。これに合わせてジーヴスたちは準備をはじめるよ!まずはあと2日で出撃の準備をしてすぐに隣の村のジーヴスと合流する。」
「合流するのか?」
「ああ、 戦力は多い方がいいだろうし、 出来たら村も守ってやりたいからな」
「………そうか、 隣の村にはリアンの好きな……」
「うるさいよ!口を閉じな!!」
口を挟んだ男性のリアルドが頭を強く殴られる。
殴ることないだろ!と叫んでいるが、リアンは放置だ。
「………とりあえず、 みんなは余所見しないでをモンスターだけ倒してくれ。」
はぁ、 と息を吐き出して言った。
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やることは山積みである。
リアンは決まった内容を伝えるだけ伝えてすぐに配給にくりだした。
「ほら、 みんな腹減ってるだろ?腹が減ってはなんとやら、 だ。好きなだけ食え!」
これから戦いに出るジーヴスへの激励にと、リアンが他のリアルドに声をかけあい準備をしていたのだ。空腹で動けないなど論外だからだ。
備蓄のあるリアルドは嫌々ながらに差し出した。
なぜジーヴスの為に…そう思うものもいたが、 リアンに言われたら逆らえず少量ずつ差し出したのだ。
勿論、 カーマインも配給にするから備蓄があるのなら少しでいい、 提供してくれないか?とリアンに言われていた。
群がるように寸胴鍋に集まるリアルドとジーヴス。
やはりリアルドに遠慮をしてかすぐに後ろに下がる。それをリアンはしっかり見ていた。
「今回はジーヴスの激励だから、 先にジーヴスな。わかったのかー!?」
我先にと集まるリアルドに、 リアンはため息をつく。
そんな様子を見ていたカーマインは、 そっとベルライナの手を掴んで家に帰ろうとした。
「おーいカーマイン!良いのか?ベルライナに食べさせなくて」
「いらないよ、 みんなで食て」
それだけ言い、 カーマインはベルライナの手を引いて小高い丘にあるカーマインの自宅に戻って行った。
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