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幼稚園に再入園
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「い、いやだ、、!」
莉緒は家の外にでてもなお大声で抵抗しようとした。とはいえ大声で抵抗すれば余計注目を集めてしまう。
「何あの子?あんな大きいのにおむつ当ててるのかしら?」
「おむつ丸出しの変態だ(笑)」
「すごい恰好だね。恥ずかしくないのかな?」
「恥ずかしいのが好きなんじゃない?てかスカート履いてるけどあれって男の子?」
「え、まっさかー。いや、でも男の子っぽいかも、、」
「スカートからおむつ丸見えの男とかやばすぎでしょ(笑)写真撮っておこう。」
「や、やめて、、!」
写真を撮られそうになった莉緒はたまらずおむつを隠そうとスカートを引っ張った。それでも大量に当てられた布おむつは全く隠せておらず、通行人におむつ丸出しの写真を撮られてしまった。
「莉緒ちゃんったらそんな大きい声出したら目立っちゃうけどいいの?もしかしてみんなにその格好見られたいのかな?」
瑞希は笑いながら莉緒のおむつを触った。
「ち、ちが、、」
「まあ見られたいなら私は止めないけど警察に通報されないようにしてね。私まで巻き込まれたらめんどくさいし。ほら、行くよ!」
家を出てから15分ほど歩くと、「なのはな幼稚園」という幼稚園に到着した。もともと莉緒や瑞希も幼い頃はここの幼稚園に通っており、だいたいの子供がここに預けられる。
「懐かしいなー。莉緒ちゃんも昔はここに通ってたんだよね。」
「あ、ああ、、でもなんでここに、、?」
「それは中入ってから説明するから。まずは先生に挨拶しに行かないと。」
「先生、、?」
瑞希がそういうと20歳前後の若い女性の先生が現れた。
「こんにちは瑞希さん、莉緒くん、久しぶりね。」
「あ、明音お姉ちゃん!」
木村明音、莉緒の元同級生であり、瑞希ともよく遊んでいた。明音は中学卒業後、保育士として学べる専門高校に行き、今は高校に通いながらなのはな幼稚園で実習を積むことになっていた。
「き、木村さん、!?」
「いやー、久々に会ったけど莉緒くんすっかり可愛くなっちゃたね。瑞希ちゃんから話は聞いていたけどそんなおむつ丸見えの恰好って、、(笑)高校生にもなって恥ずかしくない?」
明音にそう言われ、莉緒は顔を真っ赤にしてしまった。
「でさ、明音お姉ちゃん、さっき話した件なんだけど、、」
「あ、うん!園長先生にお願いしたら二つ返事でOKもらえたよ。園児たちにもいい経験になるだろうしって。」
「やったー!よかったねお兄ちゃん!」
「え!?ど、どういうこと、、?」
「さっき電話でお兄ちゃんを幼稚園に体験入園させてもらえないか明音お姉ちゃんに聞いていたの。中々お兄ちゃん妹になってくれないんだもん。」
「は!?体験入園ってどういうことだよ!?」
「ほら、すぐそうやって自分の立場忘れる。そんなお兄ちゃんをちゃんとしつけるために幼稚園に入学してもらおうと思って。」
「いやいや、高校生の俺が幼稚園なんて意味わからないって。」
莉緒は急展開すぎる話についていけず、すっかり元の話し方に戻ってしまった。
「どこにおむつ当ててる高校生がいるのよ。今時幼稚園の子だってほとんどおむつ外れてるでしょうに。」
「そ、それは、、」
「1週間ぐらい幼稚園に通ってもらって、お兄ちゃんが自分の立場をちゃんと自覚出来たら卒園させてあげるから。それじゃあ明音お姉ちゃん、あとよろしく!」
瑞希はそれだけ言うとさっさと帰宅してしまい、部屋には莉緒と明音だけが残された。
「にしてもまさか莉緒くんがまだおむつなんてね(笑)瑞希ちゃんから聞いた時は何かの冗談かと思ってたよ。」
「いや、その、、」
元同級生の言葉に莉緒は何も言い返すことができず口ごもってしまった。
「瑞希ちゃんから聞いた話だとおねしょしちゃうからおむつなんだって?」
「え、、まあ、、」
「幼稚園児でもおねしょなんて中々聞かないのに高校生の莉緒くんが、、それで今日から幼稚園に通うんだ?」
「ほ、ほんとに俺が幼稚園に、、?」
「うん。園長先生にも許可貰ったし。まあ何個か条件つけられたけどその格好できる莉緒くんには問題ないと思う。」
「こ、この格好は好きでしてるんじゃ、、」
「そんなおむつ膨らませてたらどっちにせよズボンは履けないでしょ。で、出された条件っていうのが、なのはな幼稚園に通う以上ここの制服を着てもらうっていうのと、おむつは当てたままっていうことだけだから。そんなフリフリの服におむつ丸見えでここまで歩いて来られた莉緒くんなら余裕でしょ。」
「せ、制服、、?俺が着られるサイズなんてあるわけ、、」
高校生にしては低慎重な莉緒といえど、さすがに通常の幼稚園児が着るサイズでは入らない。
「だから特注よ。で、おむつは当てたままだから女子用の制服ね。あとはスモックもあるけどこれはまだいいか。」
「ここでもスカートなのかよ、、」
「たぶん今日の午後にはできるからそれまでは今の恰好のままでいいわ。あとは莉緒くんがこっから生活するクラスね。年少から年長まで三学年あるけど、、おむつしてるなら年少でいい?」
「な、、!せめて年長にしろよ、、!」
「うーん、、年長組の子はおむつしてる子なんていないし、、年少なら何人かおむつ外れてない子もいるから恥ずかしくないと思うんだけど、、まあさすがにそんな丸出しの子はいないけど。」
「う、、いや、でも、、」
「まあそこまで言うなら年長でもいっか。瑞希ちゃんにも学年までは指定されなかったし。」
(よかった、、いや、年長でも普通に嫌だけど、、)
「じゃあ学年も決まったし、クラスに行こっか。今なら園児全員教室にいるだろうし。」
「わ、わかった、、」
「ふふ、最初はあんなに嫌がってたのに思ったより素直に受け入れたわね。」
「それは、、拒否っても時間の無駄だってわかってたし、、」
「素直な子は好きだよ。じゃあちゃんと教室の人に挨拶してね。」
明音は教室のドアを勢いよく開けると莉緒を押し込んだ。
「あ、明音先生だー。」
「後ろにいる人誰?」
「スカートかわいいー。でもなんか見えてるよ?」
「はい、みなさん、今日からこのクラスに新しい子が入ることになりました。小倉莉緒くんです!」
「え?あの子?」「私たちよりおおきいー」「え、今先生莉緒くんって言った?」
園児たちは急に自分より大きい子がクラスに入ると言われ困惑しているようだった。
「じゃあ莉緒くん、ちゃんと挨拶してね。」
「は、はい、、あの、今日から1週間みんなと一緒に過ごす小倉莉緒です、、ほ、本当は高校二年生なんですけど、おねしょしてしまって、、、おむつを当てています、、男なんですけど、おむつでズボンが履けないからスカートを履いています、、み、みんなの妹だと思って仲良くしてほしい、です、、お、おねしょしたらお姉ちゃんたちにおむつ交換してほしいです、、よろしくお願いします、、」
莉緒は屈辱感で目に涙を浮かべながら挨拶した。教室に入る前に明音に今の自分の状況をきちんと自分の口から話すよう言われ、お昼寝の時間におねしょした場合に備えておむつ交換のお願いまでさせられたのだ。
「え、おむつ?」「男の子だったんだ、、」「高校生なのにおねしょしちゃうんだー」「おねしょって赤ちゃんみたいだね!」「おむつ丸見えで恥ずかしくないのかな?」
莉緒の挨拶を聞いた園児たちは高校生への恐怖などはなく、「高校生なのにおむつの取れない莉緒」を自分たちより下の存在として認識した。
「莉緒くんに質問ある子いるかな?」
「はい!莉緒ちゃんはどのくらいの頻度でおねしょするんですか?」
「お、おねしょしたのはここ最近だけで、、頻度ってほどは、、」
「じゃあ何日連続でおねしょしちゃったか答えてあげなさい。」
「き、昨日と一昨日の二日です、、」
莉緒が答えると教室は笑いの渦に包まれた。
「二日連続でおねしょしちゃったの(笑)」「おねしょなんて赤ちゃんしかしないのに。」
「じゃあおむつしないとだね!」
(うう、、こんな小さい子に馬鹿にされるなんて、、)
「他に質問ある子はいないかな?じゃあ今日は莉緒くんが入ってきたし、自由時間にしましょう。みんな莉緒くんと積極的に話してね。」
「「はーい!」」
「ねえねえ、莉緒ってほんとに男なのかよ?」
「そんなスカート履いて恥ずかしくないの?」
まず莉緒に話しかけてきたのは数人の男子たちだった。
「男ならちんこついてるだろ?見せてよ。」
幼稚園児という好奇心のまま動いている子供のお願いはモラルのかけらもないものだった。
「う、男だから、、!そんなもの見せられるわけないだろ!」
「えー、でもスカート履いてるし本当に男なのかなー?」
「だから、、スカートは仕方なく履いてるだけで、、!」
「こら、男子!莉緒ちゃんを困らせたらだめでしょ!」
莉緒が男子の追求をなんとか逃れようとしていると、今度は女子の集団が割って入ってきた。
「うわ、優香だ!逃げろー!」
女子の集団の中でも気の強そうな感じを放っている優香と呼ばれた少女は莉緒に近づいてきた。
「私は林優香。よろしくね、莉緒ちゃん。」
「よ、よろしく、、」
「お兄さん高校生なのにおむつ履いて恥ずかしくないの?」
「え、、?」
男子を追い払ってくれたと思っていた優香にそんなことを言われ莉緒は動揺した。優香は莉緒を助けたというよりも、新しくできた莉緒というおもちゃを取られないようにするために男子を追い払っただけであったのだ。
「私なんて幼稚園入る前には夜のおむつは卒業していたのに。高校生の男子がまだなんて恥ずかしくないの?」
「う、うるさい、、」
「私だったらおむつとか恥ずかしくて絶対無理なんだけど(笑)みんなもそうだよね?」
「うん!絶対無理!」「おむつとか赤ちゃんがつけるものだよ。」
「今日から妹として可愛がってあげる!」
(こ、これが年長、、?普通にクソガキすぎる、、!)
幼稚園児というからもっと幼く可愛らしいものを想像していた莉緒にとってこの年長組の園児たちは想定外のものであった。
(だから木村さんは年長組って言ったとき渋ったのか、、)
今さらながらに明音が難色を示した理由に気づいたがもはや手遅れだった。莉緒は幼稚園児に馬鹿にされながら通学しないといけないことが確定してしまった。
「じゃあ今日から私のことは優香お姉ちゃんって呼んでね。」
(な、、!この子も瑞希みたいなこと言いだしやがって、、)
瑞希のことですら最初以外はお姉ちゃんと呼んでいなかったのに幼稚園の子をお姉ちゃんと呼べるわけがない。
「そ、そんなの無理に決まってるだろ、、!」
「えー、でもさっき『おねしょしたらお姉ちゃんたちにおむつ交換してほしいです。』って言ってたじゃない。」
「あれは、、木村さんに言われたからで、、」
「明音先生―、莉緒ちゃんが私のことお姉ちゃんって呼んでくれないんですけどー。」
莉緒が拒否していると優香は明音にそう告げ口してしまった。
「莉緒くん、あなたは今幼稚園児なんだからそれらしい関係を作らないとだめですよ。おむつの取れない子は年長組にはいないんですから。まだおねしょしちゃう莉緒くんが一番下なの。」
「ほら言ったじゃない!おむつの取れない莉緒ちゃん。」
明音にまで言われてしまい、莉緒はどうしようもなくなってしまった。
「うう、、ゆ、優香、、お姉ちゃん、、、」
「うんうん。ちゃんと言えてえらいでちゅねー。」
優香は赤ちゃん言葉で莉緒をほめたが、莉緒からすればただの屈辱でしかない。
(ど、どこまで馬鹿にすれば気が済むんだよ、、!)
莉緒は家の外にでてもなお大声で抵抗しようとした。とはいえ大声で抵抗すれば余計注目を集めてしまう。
「何あの子?あんな大きいのにおむつ当ててるのかしら?」
「おむつ丸出しの変態だ(笑)」
「すごい恰好だね。恥ずかしくないのかな?」
「恥ずかしいのが好きなんじゃない?てかスカート履いてるけどあれって男の子?」
「え、まっさかー。いや、でも男の子っぽいかも、、」
「スカートからおむつ丸見えの男とかやばすぎでしょ(笑)写真撮っておこう。」
「や、やめて、、!」
写真を撮られそうになった莉緒はたまらずおむつを隠そうとスカートを引っ張った。それでも大量に当てられた布おむつは全く隠せておらず、通行人におむつ丸出しの写真を撮られてしまった。
「莉緒ちゃんったらそんな大きい声出したら目立っちゃうけどいいの?もしかしてみんなにその格好見られたいのかな?」
瑞希は笑いながら莉緒のおむつを触った。
「ち、ちが、、」
「まあ見られたいなら私は止めないけど警察に通報されないようにしてね。私まで巻き込まれたらめんどくさいし。ほら、行くよ!」
家を出てから15分ほど歩くと、「なのはな幼稚園」という幼稚園に到着した。もともと莉緒や瑞希も幼い頃はここの幼稚園に通っており、だいたいの子供がここに預けられる。
「懐かしいなー。莉緒ちゃんも昔はここに通ってたんだよね。」
「あ、ああ、、でもなんでここに、、?」
「それは中入ってから説明するから。まずは先生に挨拶しに行かないと。」
「先生、、?」
瑞希がそういうと20歳前後の若い女性の先生が現れた。
「こんにちは瑞希さん、莉緒くん、久しぶりね。」
「あ、明音お姉ちゃん!」
木村明音、莉緒の元同級生であり、瑞希ともよく遊んでいた。明音は中学卒業後、保育士として学べる専門高校に行き、今は高校に通いながらなのはな幼稚園で実習を積むことになっていた。
「き、木村さん、!?」
「いやー、久々に会ったけど莉緒くんすっかり可愛くなっちゃたね。瑞希ちゃんから話は聞いていたけどそんなおむつ丸見えの恰好って、、(笑)高校生にもなって恥ずかしくない?」
明音にそう言われ、莉緒は顔を真っ赤にしてしまった。
「でさ、明音お姉ちゃん、さっき話した件なんだけど、、」
「あ、うん!園長先生にお願いしたら二つ返事でOKもらえたよ。園児たちにもいい経験になるだろうしって。」
「やったー!よかったねお兄ちゃん!」
「え!?ど、どういうこと、、?」
「さっき電話でお兄ちゃんを幼稚園に体験入園させてもらえないか明音お姉ちゃんに聞いていたの。中々お兄ちゃん妹になってくれないんだもん。」
「は!?体験入園ってどういうことだよ!?」
「ほら、すぐそうやって自分の立場忘れる。そんなお兄ちゃんをちゃんとしつけるために幼稚園に入学してもらおうと思って。」
「いやいや、高校生の俺が幼稚園なんて意味わからないって。」
莉緒は急展開すぎる話についていけず、すっかり元の話し方に戻ってしまった。
「どこにおむつ当ててる高校生がいるのよ。今時幼稚園の子だってほとんどおむつ外れてるでしょうに。」
「そ、それは、、」
「1週間ぐらい幼稚園に通ってもらって、お兄ちゃんが自分の立場をちゃんと自覚出来たら卒園させてあげるから。それじゃあ明音お姉ちゃん、あとよろしく!」
瑞希はそれだけ言うとさっさと帰宅してしまい、部屋には莉緒と明音だけが残された。
「にしてもまさか莉緒くんがまだおむつなんてね(笑)瑞希ちゃんから聞いた時は何かの冗談かと思ってたよ。」
「いや、その、、」
元同級生の言葉に莉緒は何も言い返すことができず口ごもってしまった。
「瑞希ちゃんから聞いた話だとおねしょしちゃうからおむつなんだって?」
「え、、まあ、、」
「幼稚園児でもおねしょなんて中々聞かないのに高校生の莉緒くんが、、それで今日から幼稚園に通うんだ?」
「ほ、ほんとに俺が幼稚園に、、?」
「うん。園長先生にも許可貰ったし。まあ何個か条件つけられたけどその格好できる莉緒くんには問題ないと思う。」
「こ、この格好は好きでしてるんじゃ、、」
「そんなおむつ膨らませてたらどっちにせよズボンは履けないでしょ。で、出された条件っていうのが、なのはな幼稚園に通う以上ここの制服を着てもらうっていうのと、おむつは当てたままっていうことだけだから。そんなフリフリの服におむつ丸見えでここまで歩いて来られた莉緒くんなら余裕でしょ。」
「せ、制服、、?俺が着られるサイズなんてあるわけ、、」
高校生にしては低慎重な莉緒といえど、さすがに通常の幼稚園児が着るサイズでは入らない。
「だから特注よ。で、おむつは当てたままだから女子用の制服ね。あとはスモックもあるけどこれはまだいいか。」
「ここでもスカートなのかよ、、」
「たぶん今日の午後にはできるからそれまでは今の恰好のままでいいわ。あとは莉緒くんがこっから生活するクラスね。年少から年長まで三学年あるけど、、おむつしてるなら年少でいい?」
「な、、!せめて年長にしろよ、、!」
「うーん、、年長組の子はおむつしてる子なんていないし、、年少なら何人かおむつ外れてない子もいるから恥ずかしくないと思うんだけど、、まあさすがにそんな丸出しの子はいないけど。」
「う、、いや、でも、、」
「まあそこまで言うなら年長でもいっか。瑞希ちゃんにも学年までは指定されなかったし。」
(よかった、、いや、年長でも普通に嫌だけど、、)
「じゃあ学年も決まったし、クラスに行こっか。今なら園児全員教室にいるだろうし。」
「わ、わかった、、」
「ふふ、最初はあんなに嫌がってたのに思ったより素直に受け入れたわね。」
「それは、、拒否っても時間の無駄だってわかってたし、、」
「素直な子は好きだよ。じゃあちゃんと教室の人に挨拶してね。」
明音は教室のドアを勢いよく開けると莉緒を押し込んだ。
「あ、明音先生だー。」
「後ろにいる人誰?」
「スカートかわいいー。でもなんか見えてるよ?」
「はい、みなさん、今日からこのクラスに新しい子が入ることになりました。小倉莉緒くんです!」
「え?あの子?」「私たちよりおおきいー」「え、今先生莉緒くんって言った?」
園児たちは急に自分より大きい子がクラスに入ると言われ困惑しているようだった。
「じゃあ莉緒くん、ちゃんと挨拶してね。」
「は、はい、、あの、今日から1週間みんなと一緒に過ごす小倉莉緒です、、ほ、本当は高校二年生なんですけど、おねしょしてしまって、、、おむつを当てています、、男なんですけど、おむつでズボンが履けないからスカートを履いています、、み、みんなの妹だと思って仲良くしてほしい、です、、お、おねしょしたらお姉ちゃんたちにおむつ交換してほしいです、、よろしくお願いします、、」
莉緒は屈辱感で目に涙を浮かべながら挨拶した。教室に入る前に明音に今の自分の状況をきちんと自分の口から話すよう言われ、お昼寝の時間におねしょした場合に備えておむつ交換のお願いまでさせられたのだ。
「え、おむつ?」「男の子だったんだ、、」「高校生なのにおねしょしちゃうんだー」「おねしょって赤ちゃんみたいだね!」「おむつ丸見えで恥ずかしくないのかな?」
莉緒の挨拶を聞いた園児たちは高校生への恐怖などはなく、「高校生なのにおむつの取れない莉緒」を自分たちより下の存在として認識した。
「莉緒くんに質問ある子いるかな?」
「はい!莉緒ちゃんはどのくらいの頻度でおねしょするんですか?」
「お、おねしょしたのはここ最近だけで、、頻度ってほどは、、」
「じゃあ何日連続でおねしょしちゃったか答えてあげなさい。」
「き、昨日と一昨日の二日です、、」
莉緒が答えると教室は笑いの渦に包まれた。
「二日連続でおねしょしちゃったの(笑)」「おねしょなんて赤ちゃんしかしないのに。」
「じゃあおむつしないとだね!」
(うう、、こんな小さい子に馬鹿にされるなんて、、)
「他に質問ある子はいないかな?じゃあ今日は莉緒くんが入ってきたし、自由時間にしましょう。みんな莉緒くんと積極的に話してね。」
「「はーい!」」
「ねえねえ、莉緒ってほんとに男なのかよ?」
「そんなスカート履いて恥ずかしくないの?」
まず莉緒に話しかけてきたのは数人の男子たちだった。
「男ならちんこついてるだろ?見せてよ。」
幼稚園児という好奇心のまま動いている子供のお願いはモラルのかけらもないものだった。
「う、男だから、、!そんなもの見せられるわけないだろ!」
「えー、でもスカート履いてるし本当に男なのかなー?」
「だから、、スカートは仕方なく履いてるだけで、、!」
「こら、男子!莉緒ちゃんを困らせたらだめでしょ!」
莉緒が男子の追求をなんとか逃れようとしていると、今度は女子の集団が割って入ってきた。
「うわ、優香だ!逃げろー!」
女子の集団の中でも気の強そうな感じを放っている優香と呼ばれた少女は莉緒に近づいてきた。
「私は林優香。よろしくね、莉緒ちゃん。」
「よ、よろしく、、」
「お兄さん高校生なのにおむつ履いて恥ずかしくないの?」
「え、、?」
男子を追い払ってくれたと思っていた優香にそんなことを言われ莉緒は動揺した。優香は莉緒を助けたというよりも、新しくできた莉緒というおもちゃを取られないようにするために男子を追い払っただけであったのだ。
「私なんて幼稚園入る前には夜のおむつは卒業していたのに。高校生の男子がまだなんて恥ずかしくないの?」
「う、うるさい、、」
「私だったらおむつとか恥ずかしくて絶対無理なんだけど(笑)みんなもそうだよね?」
「うん!絶対無理!」「おむつとか赤ちゃんがつけるものだよ。」
「今日から妹として可愛がってあげる!」
(こ、これが年長、、?普通にクソガキすぎる、、!)
幼稚園児というからもっと幼く可愛らしいものを想像していた莉緒にとってこの年長組の園児たちは想定外のものであった。
(だから木村さんは年長組って言ったとき渋ったのか、、)
今さらながらに明音が難色を示した理由に気づいたがもはや手遅れだった。莉緒は幼稚園児に馬鹿にされながら通学しないといけないことが確定してしまった。
「じゃあ今日から私のことは優香お姉ちゃんって呼んでね。」
(な、、!この子も瑞希みたいなこと言いだしやがって、、)
瑞希のことですら最初以外はお姉ちゃんと呼んでいなかったのに幼稚園の子をお姉ちゃんと呼べるわけがない。
「そ、そんなの無理に決まってるだろ、、!」
「えー、でもさっき『おねしょしたらお姉ちゃんたちにおむつ交換してほしいです。』って言ってたじゃない。」
「あれは、、木村さんに言われたからで、、」
「明音先生―、莉緒ちゃんが私のことお姉ちゃんって呼んでくれないんですけどー。」
莉緒が拒否していると優香は明音にそう告げ口してしまった。
「莉緒くん、あなたは今幼稚園児なんだからそれらしい関係を作らないとだめですよ。おむつの取れない子は年長組にはいないんですから。まだおねしょしちゃう莉緒くんが一番下なの。」
「ほら言ったじゃない!おむつの取れない莉緒ちゃん。」
明音にまで言われてしまい、莉緒はどうしようもなくなってしまった。
「うう、、ゆ、優香、、お姉ちゃん、、、」
「うんうん。ちゃんと言えてえらいでちゅねー。」
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