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出会い

決意

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はぁ~。出血多量で死ぬかと思った。てか鼻血出過ぎて死ぬとかあるのかな?それが死因だったクソダサいな。

まぁ鼻血大量噴出事件は鼻にティッシュを詰め込んで解決したんだけど、それよりも莉音くん学校行きたくない事件だよ!!

「莉音くんでも俺は学校側と話し合って保健室登校にしてもらってるんだよ?」

「うぅ........。でも教室いきたくないんだもん....」

莉音くんは泣き出してしまった。

「じゃあお父さんと相談して学校側に伝えるとか....」

「そんなことっ....言えるわけないじゃん!!」

あぁ、そういえば莉音くんは家の人と仲良くないんだったな。

「んー、でもそれじゃ出席日数足りなくなっちゃって進級できなくなっちゃうよ?」

「でも......」

どうすればいいんだろ。ひとりが辛いんだよね?考えろ俺。大好きな莉音くんを助けるにはどうすればいいか。んー、思いつかん。全神経を脳に集中させて........あっ!1つ莉音くんが教室に行ける方法を思いついたけど....。

その場合俺が死ぬな。でもなー、莉音くんのためにはそうするしかないんだろうなー、やだなー、怖いなー、でもこれは莉音くんのため。

そう莉音くんのため。莉音くんのため、莉音くんのため、莉音くんのため.....(以下略)

自分に暗示をかけて己を奮い立たせる。覚悟は決まった!!!

「り、莉音くん?そのお、俺が...教室一緒に行こうか?」

そう言った瞬間莉音くんが俺の肩を掴んで揺さぶった。

「ほ、ほんとに!?いいの!?....ってかレイくんすごい震えてんじゃん!!」

そう震えが止まらない、正直めっちゃ嫌。

「こんなに震えて....僕のために無理しなくていいよ....」

莉音くんは涙声で言った。俺は何をしてるんだ!!推しが目の前で苦しんでるのに!!こんな顔莉音くんにさせてファンとして恥ずかしくないのか!!!

俺は自分で自分にビンタした。ビンタしたことによって震えをおさまった。莉音くんは突然の俺の奇行に目をぱちくりさせている。

「大丈夫!!莉音くんのためなら頑張れる!!」

俺はそう言って笑った。

「あ、ありがどぉーーー。」

莉音くんはまた泣き出してしまった。でもこれは悲しい方のじゃない、嬉しい方のだ。莉音くんが幸せなら俺も幸せ!

俺はその日教室に行くことを決意した。





———————————side莉音


レイくんが倒れた。レイくんといつも一緒にいる保健室の先生は体に異常はないから疲れているだけだと言った。

それでもレイくんは2日も目を覚まさなかった。すごく不安で夜眠れなかった。もしかしたら莉音くんが目を覚ますかもしれないと思って夜通しレイくんを見つめていた。

ゲームの中と同じ。いやそれ以上に綺麗なレイくん。前世から大好きな子。

眠っている姿は白くてフワフワしている髪の毛が月明かりに照らされて少し緑がかっている。閉じられた目は髪の毛同様白くて長い睫毛が覆っている。肌も雪みたいに白くて頬と唇は綺麗なピンク色。本当に天使みたいに綺麗な子だ。

レイくんをずっと見ていたらだんだん眠気が襲ってきた。眠らないように抗うけど抵抗虚しく僕は深い眠りについた。

朝起きたらレイくんが目を覚ましていた。寝起きがあんまり良くない僕はレイくんに悪態をついてしまった。それから部屋の空気が気まづくなった。

はぁ。失敗したな。翌日学校に登校してから朝のホームルームが始まるまでの時間そんなことを考える。

そしてふと僕の周りで楽しそうに友人と喋ったりしている子達を見て、胸がズキズキした。

いいな。みんな友達と楽しそうにしゃべっている。いままでは1人でも気にしてなかったのに、レイくんと友達になったあの日から友達と喋る楽しさを知ってしまって、教室にいるのが苦しくなった。

苦しくて苦しくて僕は無意識に教室を出て保健室に向かっていた。

レイくんに会いたい、教室にいたくない。そんなことを考えながら保健室に入りレイくんの居る個室のドアを開ける。

レイくんは僕を見て驚いている。僕はレイくんにどうしてここに来たのか説明した。説明している間苦して涙が出た。こんなに泣いても周りに迷惑をかけるだけなのは分かっている。

でもそんな僕を見てレイくんは自分が一緒に教室に登校してくれると言ってくれた。でもすごく震えてる。本当は嫌なのに無理してる。僕はレイくんに無理して欲しくない、だから断ったけどレイくんは笑って大丈夫という。

レイくんはなんでそんなに優しいの?僕はそんなレイくんに甘えてもいいの?ごめんねレイくん。無理させて、本当はもっと強く断った方がいいのかもしれないけど僕は弱いからレイくんの優しさに甘えちゃう。

ごめんねレイくん。僕もレイくんの隣に堂々と立てるように強くなるから、もう少し待ってね。

僕を落ち着かせようとしてぎこちなく笑った強くて綺麗な初めての友達......いやそれ以上の存在になっている彼に心の中でそう誓った。
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