お助けキャラの俺は、今日も元気に私欲に走ります。

出会い

回ったね

物凄く不機嫌そうな顔でずんずん前を歩いてゆく莉音くんを俺は慌てて追いかける。

小走りについて行く俺の後ろを双子くん達がピョコピョコついてくるんだが、なんでついてくるの！？

「「ねぇねぇ」」  

「君の名前は？」  

「教えてくれないの？」

「「なんで？なんで？」」

双子がものすごく鬱陶しい。

早歩きしている俺の両サイドから交互に頭を出して追いかけてくる。

俺はご存知の通り体力が壊滅的なんだ。早歩きだけでも息が上がってくる程度には。そんな俺の周りを動き回る生物が2匹いるんだけど叩き潰してもいいのかな？いいよね？

今日は肉体的にも精神的にも疲れていて正常な判断がつかない。

立ち止まり拳を握りしめた所でストップが入った

「は～い、レイくんそこまでですよ～。」

先生は息が上がりイライラが限界状態だった俺の前に立ち目の前でヒラヒラと手を振る。

はっ！俺は今から罪を犯そうとしてたのか！危ない危ない。

「先生ありがとうございます。」

「いいえ～、それより鈴森くんが今にも喧嘩を始めようとしてるので止めに行きましょう。」

前方を見ると生徒会ＶＳ風紀委員の喧嘩に莉音くんが参戦しようとしている。

はぁ俺の出番かぁ、怒ってる人を相手するのは正直苦手なんだけど、莉音くんを宥める時にさりげなく抱きつくことが出来るからまぁいいか。

「レイくん鈴森くんにセクハラしちゃいけませんよ～。」

今の先生の言葉は聞こえていないふりをした、てかセクハラじゃないし、莉音くんも嫌がってないし！多分。

「莉音くん！！落ち着いて！！！」

莉音くんに近づき勢いよく抱きつい........抱きつこうとした。そう[した]のだ。

莉音くんは華麗に俺を避けた、それは見事なほど綺麗にクルって、クルって回って避けた。

そんな俺は顔面から地面に.....転けなかった。

なんか分厚くて硬い何かに思いっきり突っ込んだ。
あーまた嫌な予感がするよー。