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三杯目 疲れた体にガッツリチャーシュー麺

第7話 ラーメン屋、チャーシュー麺を夢見る

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■フェルハイム村

 ミアが俺達の傍に降りてきて敵の情報を伝えてくる。

「群れでこの村に来ているのはフレイムホッグっス。火山地帯の方から逃げてきている感じっスね。興奮状態のためか、一直線にこの村へ来てるっス」
「わかったわ、グリムリッジも迎撃に協力してもらえない?」
「さっきの【らぁめん】のお陰で調子がいい。ヴァルディールに帰るのはフレイムホッグを蹴散らしてからだな」
「酒も飲み足りん。軽い運動をしてから飲み直したいもんじゃのぅ」

 グリムリッジのダリウスとガロンがやる気に満ちていた。

「では、私は今のまま村の中で対応いたします。セシルは迎撃に回ってください」
「了解、得意の水魔法で蹴散らしてやるぜ、マーサ姉さん」

 セシルと呼ばれた優男は僧侶の女性にウィンク1つして、ダリウスとガロンについていって村の外へ向かう。
 イケメンってやつは何をやっても絵になるもんだと俺は思った。

「俺も戦闘能力では役に立ちそうもない。村の中での対応に回っておく」
「タケシが怪我などしたら【らぁめん】も【びぃる】も得られなくなるから、それでいいわ。ここはプロに任せなさいよ」

 カリンもミアと共に村の外へと向かう。
 騒がしいやり取りが終わった後、エリスとメアリーが俺の方へと近づいてきた。

「タケシ様、モンスターの襲来が来るということで村の皆様が不安になっていますの。何か手はありませんか?」
「泣き出している子供もいるようで、落ち着かせようと親御様が対応なさっていますが中々……」

 エリスとメアリーの言葉に俺は以前にチュロスを食べた後のエリスのステータスを思い出す。
 チョコレートには精神安定効果があり、それがこちらの世界では大きく効果が発揮されるようだった。

「ああ、チュロスを作るから食べさせて待つように行ってくれ。味も増やしてみるか……」

 まだ資金に余裕があったので、チュロスのチョコレートの味付けをストロベリーや抹茶などを追加してそれらを電子レンジで加熱してチュロスを量産していく。
 エリスとメアリーが出来上がったチュロスを子供たちを中心に配っていくと、落ち着いた雰囲気が戻ってきた。
 村の外では、魔法が飛びかい、剣撃の唸る音が聞こえてくる。
 戦闘が始まったので、エリスとメアリーをキッチンカーの助手席に座らせ、俺は運転席に座り様子をみることにした。
 冒険者としては俺は失格なのかもしれないが、生きることを優先するなら正しいと俺は自分に言い聞かせる。
 戦闘の終わりを告げる勝鬨の声がしばらくしたら聞こえてきた。

◇ ◇ ◇

「こいつは立派なイノシシだな」

 俺はフレイムホッグの死体の処理を〈アイテムボックス〉で行うために村の外へと出てきている。
 エリスやメアリーは村の中でマーサという僧侶の女に任せておいた。

「アイテムボックス持ちがいると、ギルドで素材を売るのが楽になっていいな。俺らの取り分も持ってってもらって助かる。細かいことだが、倒したモンスターの素材を運ぶのは遠くなるほど面倒なんでなぁ」

 ダリウスがバシバシと俺の肩を叩いてくる。
 この世界の男は肩を叩かないと話ができないのだろうか……。
 正直痛いのでやめてほしいところだ。

「イノシシ肉でもチャーシュー作れるから、カリン達が倒した分で1体か2体ぶんの肉を俺に売ってくれないか?」
「フレイムホッグを食べるの? タケシってなんでも食べるのね」
「ラーシャモも食べるっスからね。タケシにかかれば何でも食料っス」
「いやいや、命を無駄にしないってのは大事だからな?」

 価値観の違いを感じつつも、俺は解体用ナイフでもってフレイムホッグを解体していった。
 狩人のガロンも手伝ってくれたことでかなり早く終わったのはありがたい。
 チャーシューにするにも時間がかかるので、今のところは解体肉も含めて〈アイテムボックス〉に収納した。

「そういや、こいつらは火山地帯から来たと言っていたけど原因はわかるものなのか?」
「詳しいのは火山地帯まで足を延ばさないとわからないわね。報告してからになるかも……」

 カリンが顎に手をあてて悩んでいると、ルーミラが姿を見せて俺の耳を引っ張る。

「タケシ。このフレイムホッグから炎の妖精であるバーナムの気配を感じるよ。火山地帯に出て来たから追い立てられたのかも?」
「妖精が原因なら、俺なら何とかできるかも……か……」

 正直なところ、危なそうなところにはかかわりたくないが先ほどの不安な顔を浮かべた村人やエリス達を見てしまったので、このまま不安な状態が続くような状況は何とかしたい。
 カリンに相談して決めるとしよう。
 バーナムという妖精の情報を聞きながら、俺は情報を整理するのだった。
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