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三杯目 疲れた体にガッツリチャーシュー麺
第5話 ラーメン屋、救援物資の準備をする
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アルヴィン邸でのパーティの翌日。
俺は朝一番で商業ギルドに向かい、イリスを呼び出した。
「おはようございます。タケシさん、朝一番でどうされましたか?」
「これ、領主様からの依頼でフェルハイム村への救援物資を届けに行くんだ」
救援物資を運ぶことに関する依頼書とリストをイリスに渡して、手続きを進めていく。
リストをチェックしたイリスは同僚に声をかけて、その同僚はまた別の人に声をかけてと大勢がバタバタと動き出す事態になっていった。
静かだった朝の商業ギルドは途端に騒がしくなる。
「なんか、悪いな……」
「いえいえ、フェルハイム村がモンスターに襲われた話は冒険者ギルドを経由してこちらにも届いてましたから、領主様が対応してくれてありがたいですよ」
「そうか……」
「お父様は立派な領主ですもの、当然ですわ」
俺とイリスは商業ギルドではあまり聞かない少女の声を耳にして、視線をそちらに向ける。
商業ギルドの入口にメイドと共に立つエリスがいた。
肩まで伸びている金髪を揺らしながら、俺の方へと歩いてくる。
「お父様の名代として、わたくしも同行することになりましたわ」
「申し訳ございません、お嬢様がどうしてもとおっしゃられて……タケシさんが一緒であるということが旦那様からの条件となりますので、無理な場合はお断りいただいてもかまいません」
エリスが隣のメイドにぷぅーっと頬を膨らませてポカポカ叩いた。
黙っていて欲しかったのだろう、すねているところを見るとまだまだ子供らしさがある。
「お嬢様、はしたないですよ。タケシ様が呆れてみてらっしゃいます」
「あ、タケシ様……ごめんなさい」
「俺は構わないさ。イリス、物資が集まるのはもう少しかかりそうだよな?」
「そうですね。食料品だけでなく、医薬品や衣料品もありますので手分けして集めていますから……置き場は商業ギルドの前でいいですか?」
「ああ、頼む。そのまま俺が〈アイテムボックス〉へ突っ込んでいく」
物資の集まり具合を確認しながら、俺達は商業ギルドの外の馬車置き場で待機することにした。
◇ ◇ ◇
体感で一時間ほど経過してくると、物資がどんどん集まってくる。
費用は俺が支払っておいて、後ほど領主様へ経費として申請する流れだ。
「〈アイテムボックス〉の上限確認にもちょうどよかったな……」
俺は集まってきている物資をドンドンと〈アイテムボックス〉に詰め込んでいった。
ラーシャモを入れるくらいしか活用してなかった〈アイテムボックス〉が大活躍である。
「タケシ! 護衛任務で私達も来たわよ」
俺が荷物整理をしていると、馬を連れてきたカリンをはじめとした夜鴉の面々が商業ギルドのほうへやってきた。
久しぶりに会うメンバーもちらほらいるので、懐かしい気持ちになる。
「タケシと話をするのはずいぶん久しぶりだね」
ハーフエルフの魔法剣士であるエルザが俺に握手を求めてきた。
屋敷でもあまり絡んでいなかったので、こういう機会で話ができるのは嬉しいので、握手を返す。
「それでタケシは馬に乗ったり、馬車でフェルハイム村にいくの?」
「俺は馬に乗れないし、馬車もケツが痛くなりそうだからなぁ……」
カリンの問いかけに俺はむむむと悩み、結論としてキッチンカーをそのまま運転していくことに決めた。
2日間の旅をするなら快適なほうがいいに決まっている。
「一泊するにしても車中泊すればいいしな」
「え、あのタケシ様の屋台は動くんですの? 乗ってみたいですわ!」
俺が荷物をしまい終えて、次の準備のためにカリンと話していると、その間にエリスが目を輝かせて割り込んできた。
メイドさんにどうしたらいいのかと顔を向けたら、首を振ってどうにもできないとアピールしてくる。
なんてこった。
「まぁ、ちょっと乗ってみるか?」
「ありがとうございます♪ ぜひ、乗らせていただきますわ!」
エリスの笑顔に根負けして、俺はキッチンカーへの同乗を許可するのだった。
■野営地
それから、俺達はキッチンカーを馬で護衛しながら進むという流れでフェルハイム村へと向かう。
やはり、車は楽ちんで助手席に座るメイドさんと、俺とメイドさんの合間に座るエリスはご機嫌だった。
馬車より快適なのは長年の技術者の努力のたまものだろう。
「野営地についたようだ」
「タケシ様、この屋台すごいんですのね! 長距離移動が快適なのは初めてでしたわ!」
興奮冷めやまぬエリスをメイドさんと一緒に助手席から降ろして、俺はキッチンカーでの準備を始めた。
長旅になったので、美味しいご飯を食べて野営をしてほしい。
そんな思いから俺はラーメンを作る。
「タケシー。ラーメンもいいけど、ぎょうざと缶ビール、あとデザートにチュロスもよろしくね」
「最近は新作食べたいっス!」
「おう、待ってろよ」
カリンやシアが注文をしてくるので、調理を始めた。
明日はフェルハイム村に行くので、酒はあまり出さないように気を付けつつ、英気を養ってもらいたい。
俺は美女だらけの中で男一人であることを今更ながらに気づき、酒を飲まないように心に決めた。
俺は朝一番で商業ギルドに向かい、イリスを呼び出した。
「おはようございます。タケシさん、朝一番でどうされましたか?」
「これ、領主様からの依頼でフェルハイム村への救援物資を届けに行くんだ」
救援物資を運ぶことに関する依頼書とリストをイリスに渡して、手続きを進めていく。
リストをチェックしたイリスは同僚に声をかけて、その同僚はまた別の人に声をかけてと大勢がバタバタと動き出す事態になっていった。
静かだった朝の商業ギルドは途端に騒がしくなる。
「なんか、悪いな……」
「いえいえ、フェルハイム村がモンスターに襲われた話は冒険者ギルドを経由してこちらにも届いてましたから、領主様が対応してくれてありがたいですよ」
「そうか……」
「お父様は立派な領主ですもの、当然ですわ」
俺とイリスは商業ギルドではあまり聞かない少女の声を耳にして、視線をそちらに向ける。
商業ギルドの入口にメイドと共に立つエリスがいた。
肩まで伸びている金髪を揺らしながら、俺の方へと歩いてくる。
「お父様の名代として、わたくしも同行することになりましたわ」
「申し訳ございません、お嬢様がどうしてもとおっしゃられて……タケシさんが一緒であるということが旦那様からの条件となりますので、無理な場合はお断りいただいてもかまいません」
エリスが隣のメイドにぷぅーっと頬を膨らませてポカポカ叩いた。
黙っていて欲しかったのだろう、すねているところを見るとまだまだ子供らしさがある。
「お嬢様、はしたないですよ。タケシ様が呆れてみてらっしゃいます」
「あ、タケシ様……ごめんなさい」
「俺は構わないさ。イリス、物資が集まるのはもう少しかかりそうだよな?」
「そうですね。食料品だけでなく、医薬品や衣料品もありますので手分けして集めていますから……置き場は商業ギルドの前でいいですか?」
「ああ、頼む。そのまま俺が〈アイテムボックス〉へ突っ込んでいく」
物資の集まり具合を確認しながら、俺達は商業ギルドの外の馬車置き場で待機することにした。
◇ ◇ ◇
体感で一時間ほど経過してくると、物資がどんどん集まってくる。
費用は俺が支払っておいて、後ほど領主様へ経費として申請する流れだ。
「〈アイテムボックス〉の上限確認にもちょうどよかったな……」
俺は集まってきている物資をドンドンと〈アイテムボックス〉に詰め込んでいった。
ラーシャモを入れるくらいしか活用してなかった〈アイテムボックス〉が大活躍である。
「タケシ! 護衛任務で私達も来たわよ」
俺が荷物整理をしていると、馬を連れてきたカリンをはじめとした夜鴉の面々が商業ギルドのほうへやってきた。
久しぶりに会うメンバーもちらほらいるので、懐かしい気持ちになる。
「タケシと話をするのはずいぶん久しぶりだね」
ハーフエルフの魔法剣士であるエルザが俺に握手を求めてきた。
屋敷でもあまり絡んでいなかったので、こういう機会で話ができるのは嬉しいので、握手を返す。
「それでタケシは馬に乗ったり、馬車でフェルハイム村にいくの?」
「俺は馬に乗れないし、馬車もケツが痛くなりそうだからなぁ……」
カリンの問いかけに俺はむむむと悩み、結論としてキッチンカーをそのまま運転していくことに決めた。
2日間の旅をするなら快適なほうがいいに決まっている。
「一泊するにしても車中泊すればいいしな」
「え、あのタケシ様の屋台は動くんですの? 乗ってみたいですわ!」
俺が荷物をしまい終えて、次の準備のためにカリンと話していると、その間にエリスが目を輝かせて割り込んできた。
メイドさんにどうしたらいいのかと顔を向けたら、首を振ってどうにもできないとアピールしてくる。
なんてこった。
「まぁ、ちょっと乗ってみるか?」
「ありがとうございます♪ ぜひ、乗らせていただきますわ!」
エリスの笑顔に根負けして、俺はキッチンカーへの同乗を許可するのだった。
■野営地
それから、俺達はキッチンカーを馬で護衛しながら進むという流れでフェルハイム村へと向かう。
やはり、車は楽ちんで助手席に座るメイドさんと、俺とメイドさんの合間に座るエリスはご機嫌だった。
馬車より快適なのは長年の技術者の努力のたまものだろう。
「野営地についたようだ」
「タケシ様、この屋台すごいんですのね! 長距離移動が快適なのは初めてでしたわ!」
興奮冷めやまぬエリスをメイドさんと一緒に助手席から降ろして、俺はキッチンカーでの準備を始めた。
長旅になったので、美味しいご飯を食べて野営をしてほしい。
そんな思いから俺はラーメンを作る。
「タケシー。ラーメンもいいけど、ぎょうざと缶ビール、あとデザートにチュロスもよろしくね」
「最近は新作食べたいっス!」
「おう、待ってろよ」
カリンやシアが注文をしてくるので、調理を始めた。
明日はフェルハイム村に行くので、酒はあまり出さないように気を付けつつ、英気を養ってもらいたい。
俺は美女だらけの中で男一人であることを今更ながらに気づき、酒を飲まないように心に決めた。
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