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二杯目 お肌プルプル鶏皮醤油ラーメン
第10話 ラーメン屋、夜の女と出会う
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■ヴァルディール 月光広場
人波が落ち着いたころ、俺は休憩中の看板を立てて休憩に入った。
「あー疲れたー。また、あとでね~」
ルーミラの足元に魔法陣が出てきたかと思うとすうっと吸い込まれるようにして消えていく。
妖精界に行っているらしいがどんなとこなんだろうか?
俺も休みたいが、賄いを作る必要があるので一休み前に用意する。
マイアと俺とフローラの分の鶏皮醤油ラーメンと餃子を出した。
「ラーメンと餃子と来たら、次は米が食いたいなぁ」
テーブルに座り、ラーメンを食べていると俺はぼそっと呟く。
「ライスですか? この街でも少数派ではありますけど、食堂などでは出してますね」
「そいつはいい情報を聞いたな。ありがとうマイア。オススメの店があったら今度でいいから教えてくれ」
〈異邦人〉と呼ばれる日本からの転移者がいる世界の中で、比較的好意的に受けいられている街では子孫たちが店をやっていたりするとマイアは話してくれた。
ここでも米が食べられるのか、だいぶ稼ぎは安定しはじめたから、ちょっと食堂を探しにいったりしなくちゃな。
マイアは賄いを食べたら、ユウナと交代する予定だ。
「こんばんわー、あー、賄い食べてるー!」
「おう、ユウナも来たか。先に食べるか?」
「うん! それで何の話をしてたの?」
「ライスの話をしていたのよ。タケシさんがおいしいお店紹介してほしいってさ」
「そうなんだー。でも、タケシなら夜鴉のメンバーと親しいからそちらから聞いてもいいんじゃない?」
ユウナがやってきて、俺が賄いの準備をしている間にテーブルではユウナが入ったことで話が盛り上がっていた。
そんな中でもモソモソとフローラは食事を続けている。
マイペースな子だなと思うが、この後も大丈夫なんだろうか?
「フローラはこの後も大丈夫なのか?」
コクリと頷いたので、頑張ってもらうとしよう。
それでも無理はさせられないがな。
「では、私はこれで。ユウナは朝まで頑張ってね」
「はーい、マイアはおやすみ~」
マイアが去ったところで、ユウナは俺が出した賄いを勢いよく食べていく。
「喉を詰まらせるなよ」
俺は苦笑しながら、後半分の仕込みに入っていった。
◇ ◇ ◇
再び、人の波が増えてくる。
商人たちの姿は減って冒険者や、娼婦だろうか、派手な女性が増えてきた印象だ。
また、自分の店を閉めて遅い食事を求める酒場や食堂の店主や、酒場でいい感じに盛り上がった後の二次会で寄ってきた人もいる。
この光景に日本の眠らないある街を思い出していた。
「さぁ、ラーメン売ってるよ。お肌プルプルになる鶏皮醤油ラーメンと餃子もあるよ」
俺が声をだしていると、派手な女性の一団がこちらにやってくる。
一番前を歩いているのは銀色のウェーブかかったロングヘアーを広げ、前髪は左目が隠れるように垂らした美女だ。
モミジさんの様な年上の魅力というよりかは、漂う妖艶さが目立つ。
そんな、水商売系の香りのする一団がキッチンカーの前についた。
香水の甘ったるい香りがキッチンカーの中にいる俺にまで漂ってくる。
「注文してもいいかしら?」
「注文はここでもいいが、テーブルを確保しておく方がオススメだな」
俺の言葉を受け、銀髪の美女が目線を後ろに向けると、ついて来ていた女たちが席を確保した。
「じゃあ、改めて注文ね。トリカワショーユラーメンを4つ。それだけでいいわ、こんな夜遅くですもの」
ふふふと上品に笑った女はハッと気づいたように名乗り始めた。
「ごめんなさい、あなたは街に来て日が浅いから私のこと知らないわよね? ザビーネよ」
「俺はタケシだ。冒険者なんだが、ほとんどラーメン作ってる」
ザビーネは名乗り、木製の名前の入った板を渡してくる。
これはもしかして、名刺なのか?
「ありがとう、機会あれば行かせてもらうよ。幸い売り上げはいいんだ」
こっちに来てから、いろいろとご無沙汰なのを思い出して、俺はザビーネに小声で答えた。
「私は高いけれど、他の子でもよければ、より取り見取りさ」
「そいつは楽しみだ。はいよ、鶏皮醤油ラーメン4つおまち」
「ありがとう、これでお肌がよくなるって人気だから、気になっていたんだよ」
「ゆっくり味わってくれよ」
俺はそう、ザビーネに伝える。
手を振ったザビーネがテーブルにいき、鶏皮醤油ラーメンを食べると肌の変化に喜んで、はしゃいだのは見ていて面白かった。
◇ ◇ ◇
「空が明るくなってきたわね~」
ルーミラの言葉に空を見上げてみれば、夜が終わり明るくなりはじめている。
夜市の終わりが来たのだ。
「みんな、お疲れ! 今日はありがとうな」
俺は働いてくれたみんなに頭を下げる。
はじめての夜市を乗り越えれたのはみんなのお陰だ。
感謝してもしきれない思いを胸に俺は思う。
(今日はもう帰って寝たいなぁ)
人波が落ち着いたころ、俺は休憩中の看板を立てて休憩に入った。
「あー疲れたー。また、あとでね~」
ルーミラの足元に魔法陣が出てきたかと思うとすうっと吸い込まれるようにして消えていく。
妖精界に行っているらしいがどんなとこなんだろうか?
俺も休みたいが、賄いを作る必要があるので一休み前に用意する。
マイアと俺とフローラの分の鶏皮醤油ラーメンと餃子を出した。
「ラーメンと餃子と来たら、次は米が食いたいなぁ」
テーブルに座り、ラーメンを食べていると俺はぼそっと呟く。
「ライスですか? この街でも少数派ではありますけど、食堂などでは出してますね」
「そいつはいい情報を聞いたな。ありがとうマイア。オススメの店があったら今度でいいから教えてくれ」
〈異邦人〉と呼ばれる日本からの転移者がいる世界の中で、比較的好意的に受けいられている街では子孫たちが店をやっていたりするとマイアは話してくれた。
ここでも米が食べられるのか、だいぶ稼ぎは安定しはじめたから、ちょっと食堂を探しにいったりしなくちゃな。
マイアは賄いを食べたら、ユウナと交代する予定だ。
「こんばんわー、あー、賄い食べてるー!」
「おう、ユウナも来たか。先に食べるか?」
「うん! それで何の話をしてたの?」
「ライスの話をしていたのよ。タケシさんがおいしいお店紹介してほしいってさ」
「そうなんだー。でも、タケシなら夜鴉のメンバーと親しいからそちらから聞いてもいいんじゃない?」
ユウナがやってきて、俺が賄いの準備をしている間にテーブルではユウナが入ったことで話が盛り上がっていた。
そんな中でもモソモソとフローラは食事を続けている。
マイペースな子だなと思うが、この後も大丈夫なんだろうか?
「フローラはこの後も大丈夫なのか?」
コクリと頷いたので、頑張ってもらうとしよう。
それでも無理はさせられないがな。
「では、私はこれで。ユウナは朝まで頑張ってね」
「はーい、マイアはおやすみ~」
マイアが去ったところで、ユウナは俺が出した賄いを勢いよく食べていく。
「喉を詰まらせるなよ」
俺は苦笑しながら、後半分の仕込みに入っていった。
◇ ◇ ◇
再び、人の波が増えてくる。
商人たちの姿は減って冒険者や、娼婦だろうか、派手な女性が増えてきた印象だ。
また、自分の店を閉めて遅い食事を求める酒場や食堂の店主や、酒場でいい感じに盛り上がった後の二次会で寄ってきた人もいる。
この光景に日本の眠らないある街を思い出していた。
「さぁ、ラーメン売ってるよ。お肌プルプルになる鶏皮醤油ラーメンと餃子もあるよ」
俺が声をだしていると、派手な女性の一団がこちらにやってくる。
一番前を歩いているのは銀色のウェーブかかったロングヘアーを広げ、前髪は左目が隠れるように垂らした美女だ。
モミジさんの様な年上の魅力というよりかは、漂う妖艶さが目立つ。
そんな、水商売系の香りのする一団がキッチンカーの前についた。
香水の甘ったるい香りがキッチンカーの中にいる俺にまで漂ってくる。
「注文してもいいかしら?」
「注文はここでもいいが、テーブルを確保しておく方がオススメだな」
俺の言葉を受け、銀髪の美女が目線を後ろに向けると、ついて来ていた女たちが席を確保した。
「じゃあ、改めて注文ね。トリカワショーユラーメンを4つ。それだけでいいわ、こんな夜遅くですもの」
ふふふと上品に笑った女はハッと気づいたように名乗り始めた。
「ごめんなさい、あなたは街に来て日が浅いから私のこと知らないわよね? ザビーネよ」
「俺はタケシだ。冒険者なんだが、ほとんどラーメン作ってる」
ザビーネは名乗り、木製の名前の入った板を渡してくる。
これはもしかして、名刺なのか?
「ありがとう、機会あれば行かせてもらうよ。幸い売り上げはいいんだ」
こっちに来てから、いろいろとご無沙汰なのを思い出して、俺はザビーネに小声で答えた。
「私は高いけれど、他の子でもよければ、より取り見取りさ」
「そいつは楽しみだ。はいよ、鶏皮醤油ラーメン4つおまち」
「ありがとう、これでお肌がよくなるって人気だから、気になっていたんだよ」
「ゆっくり味わってくれよ」
俺はそう、ザビーネに伝える。
手を振ったザビーネがテーブルにいき、鶏皮醤油ラーメンを食べると肌の変化に喜んで、はしゃいだのは見ていて面白かった。
◇ ◇ ◇
「空が明るくなってきたわね~」
ルーミラの言葉に空を見上げてみれば、夜が終わり明るくなりはじめている。
夜市の終わりが来たのだ。
「みんな、お疲れ! 今日はありがとうな」
俺は働いてくれたみんなに頭を下げる。
はじめての夜市を乗り越えれたのはみんなのお陰だ。
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