18 / 38
二杯目 お肌プルプル鶏皮醤油ラーメン
第7話 ラーメン屋、臨時バイトを探す
しおりを挟む
■ヴァルディール 酒場『一角亭』
注文した料理を待っている間で、俺は手の空いているウェイトレス二人に真面目な相談を持ち掛ける。
ルーミラが茶化したおかげで変な空気になったのを何とか払拭しなくてはならなかった。
「バイトの話なんだけどな、俺が今、孤児院で屋台をやっているのは知っているだろ?」
「はい、食べに行ったことはないですが、とても美味しくて、お肌がつるつるになるとか聞いていますね」
「事実よー。私のこのお肌を見なさいよ!」
ウェイトレスの中で最年長のマイアが自慢してくるルーミラをじーっと眺めながら話す。
ルーミラも鶏皮醤油ラーメンを食べているので、お肌つるつるのぷるぷるだ。
「夜の営業の手伝いだから、こっちの店もあるし無理にとは言わないんだが手伝ってくれると嬉しい。まかないとしてラーメンだすし、バイト代も弾むぞ」
「あたしとしては、バイト代と賄いつきなの魅力的だよ!」
俺の提示した条件にユウナが食いついてきた。
バイト代の詳細を言っていないのにすごい興味を持たれているのは賄いのお陰だろう。
昼間から夕方くらいまでの孤児院でしか売られていないラーメンに興味を持たれているのは夜市への参加が楽しみになってきた。
新規客層の開拓は商売としてはやっていかなければならないことなので、チャンスが巡ってきたことに心でガッツポーズをする。
「お待たせね。ホーンラビットのシチューとパンよ。何の話をしていたのかしら?」
「今度の夜市に俺も出店できることになったので手伝いしてもらえないかと相談していたんです」
「うちの看板娘の引き抜きは遠慮してほしいですけれど、タケシさんの屋台なら特別に許可はだしますね」
料理を運んできた女将のマリーナが、優しい微笑みを浮かべてきた。
女将にも許可を出してもらえるのならば、俺としても一安心である。
「今日来ていない子でも、夜市にこれそうな子がいたら紹介してくれると嬉しいです」
「うふふ、それじゃあ紹介料とかもらっちゃおうかしら?」
「俺には伝手がないんで、そこはお支払いいたします」
餅は餅屋。自分の足りないところはお金を払ってでも解決していくのがビジネスマン!
自分一人で抱え込んで無理したって、体を壊すだけだというのを俺は前世でさんざん味わってきていた。
「わかったわ。それはまた連絡するわね? ユウナちゃんとマイアちゃんはテーブルのお掃除等に回ってね」
「「わかりました」」
二人はそろって返事をすると、その場から離れて空いているテーブルの掃除を軽くはじめている。
「タケシー。話し合いもいいけど、シチュー食べよーよー」
「はいはい、先に食ってりゃいいのに……」
「こういうのは一緒に食べたほうがおいしいものでしょ?」
「ごもっとも」
食事をするのを待っていたルーミラに促された俺は一緒にホーンラビットのシチューを食べるのだった。
■ヴァルディール 『夜鴉』ホーム 裏庭
一角亭で遅めの夕食を済ませた後、俺は『夜鴉』のホームでカリンを探す。
いろいろな人に聞いで、裏庭で訓練していることを知った俺は足早に向かった。
すれ違ったら、また探さなければいけなくなる……それだけは避けたい。
「カリン! ちょっといいか?」
「なんだか、久しぶりに話す気がするわね」
汗を布で拭いていたカリンが俺を見つけて、手を振ってきた。
カリンのいうようにゆっくり話す機会はなかった気がする。
「お互い忙しかったしな……それで、今度の夜市に出店するからカリンの方でも知り合いがいたら手伝いを紹介してくれると助かる」
「そうなの!? 夜市ってことは酒も出すのよね? 商業ギルドのギルドマスターも太鼓判を押すお酒と聞いているから楽しみね」
どこからそんな情報を得たのか、一流冒険者の情報網は恐ろしい……。
俺は心に浮かんだ恐怖をごまかすような笑顔を浮かべ、カリンに答えた。
「酒は楽しみにしていてくれ。餃子とマッチするいいのを提供できるようになったからな」
「タケシとも大体1か月過ごしたのよね……おかげでお肌もいい感じになったわ♪ 触ってみる?」
「大人をからかうなよ……じゃあ、手伝いの人員については頼むな」
頬を俺に向けて近づいてきたカリンから離れて、俺はその場から立ち去る。
40超えたおっさんに何を仕掛けてくるんだ!
注文した料理を待っている間で、俺は手の空いているウェイトレス二人に真面目な相談を持ち掛ける。
ルーミラが茶化したおかげで変な空気になったのを何とか払拭しなくてはならなかった。
「バイトの話なんだけどな、俺が今、孤児院で屋台をやっているのは知っているだろ?」
「はい、食べに行ったことはないですが、とても美味しくて、お肌がつるつるになるとか聞いていますね」
「事実よー。私のこのお肌を見なさいよ!」
ウェイトレスの中で最年長のマイアが自慢してくるルーミラをじーっと眺めながら話す。
ルーミラも鶏皮醤油ラーメンを食べているので、お肌つるつるのぷるぷるだ。
「夜の営業の手伝いだから、こっちの店もあるし無理にとは言わないんだが手伝ってくれると嬉しい。まかないとしてラーメンだすし、バイト代も弾むぞ」
「あたしとしては、バイト代と賄いつきなの魅力的だよ!」
俺の提示した条件にユウナが食いついてきた。
バイト代の詳細を言っていないのにすごい興味を持たれているのは賄いのお陰だろう。
昼間から夕方くらいまでの孤児院でしか売られていないラーメンに興味を持たれているのは夜市への参加が楽しみになってきた。
新規客層の開拓は商売としてはやっていかなければならないことなので、チャンスが巡ってきたことに心でガッツポーズをする。
「お待たせね。ホーンラビットのシチューとパンよ。何の話をしていたのかしら?」
「今度の夜市に俺も出店できることになったので手伝いしてもらえないかと相談していたんです」
「うちの看板娘の引き抜きは遠慮してほしいですけれど、タケシさんの屋台なら特別に許可はだしますね」
料理を運んできた女将のマリーナが、優しい微笑みを浮かべてきた。
女将にも許可を出してもらえるのならば、俺としても一安心である。
「今日来ていない子でも、夜市にこれそうな子がいたら紹介してくれると嬉しいです」
「うふふ、それじゃあ紹介料とかもらっちゃおうかしら?」
「俺には伝手がないんで、そこはお支払いいたします」
餅は餅屋。自分の足りないところはお金を払ってでも解決していくのがビジネスマン!
自分一人で抱え込んで無理したって、体を壊すだけだというのを俺は前世でさんざん味わってきていた。
「わかったわ。それはまた連絡するわね? ユウナちゃんとマイアちゃんはテーブルのお掃除等に回ってね」
「「わかりました」」
二人はそろって返事をすると、その場から離れて空いているテーブルの掃除を軽くはじめている。
「タケシー。話し合いもいいけど、シチュー食べよーよー」
「はいはい、先に食ってりゃいいのに……」
「こういうのは一緒に食べたほうがおいしいものでしょ?」
「ごもっとも」
食事をするのを待っていたルーミラに促された俺は一緒にホーンラビットのシチューを食べるのだった。
■ヴァルディール 『夜鴉』ホーム 裏庭
一角亭で遅めの夕食を済ませた後、俺は『夜鴉』のホームでカリンを探す。
いろいろな人に聞いで、裏庭で訓練していることを知った俺は足早に向かった。
すれ違ったら、また探さなければいけなくなる……それだけは避けたい。
「カリン! ちょっといいか?」
「なんだか、久しぶりに話す気がするわね」
汗を布で拭いていたカリンが俺を見つけて、手を振ってきた。
カリンのいうようにゆっくり話す機会はなかった気がする。
「お互い忙しかったしな……それで、今度の夜市に出店するからカリンの方でも知り合いがいたら手伝いを紹介してくれると助かる」
「そうなの!? 夜市ってことは酒も出すのよね? 商業ギルドのギルドマスターも太鼓判を押すお酒と聞いているから楽しみね」
どこからそんな情報を得たのか、一流冒険者の情報網は恐ろしい……。
俺は心に浮かんだ恐怖をごまかすような笑顔を浮かべ、カリンに答えた。
「酒は楽しみにしていてくれ。餃子とマッチするいいのを提供できるようになったからな」
「タケシとも大体1か月過ごしたのよね……おかげでお肌もいい感じになったわ♪ 触ってみる?」
「大人をからかうなよ……じゃあ、手伝いの人員については頼むな」
頬を俺に向けて近づいてきたカリンから離れて、俺はその場から立ち去る。
40超えたおっさんに何を仕掛けてくるんだ!
8
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
防火管理者、異世界でほのぼの火の用心ライフを送る
ずいずい瑞祥
ファンタジー
人生で初の資格「甲種防火管理者」を取得して喜んだのも束の間、僕は階段から落ちて異世界に転移してしまう。チートスキルを期待したのに、装備された能力はショボい「防火管理者」。けれども通りかかった食堂で小火に遭遇して……。
無双はできないけど、のんびり防火管理者生活、はじめます。
(カクヨムにも同じ作品を公開しています)
ハルフェン戦記 -異世界の魔人と女神の戦士たち-
レオナード一世
ファンタジー
軌道エレベーターを築き上げ、月の植民地化まで果たした地球に生きるウィルフレッド。 アルマと呼ばれる生体兵器である彼は旧知との戦いのさなか、剣と魔法の異世界ハルフェンへと転移した。 彼は仲間と女神の巫女達とともに邪神ゾルドの復活を目論む邪神教団ゾルデと戦うことになるが…
カクヨムにて同時掲載中。
他のイラストレータ様のキャラ等の依頼絵はtwitterにて。
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる