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一杯目 出会いのニンニク醤油ラーメン

閑話 ギルド職員、ラーメンのポテンシャルを知る

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■ヴァルディール 商業ギルド

 私はその日、書類仕事がスムーズに運んでいくことに驚きを隠せませんでした。
 
「もっとかかるかと思ったのに終わっちゃいました……」

 商業ギルドを出る前に私の机の上に積まれていた書類は、私が外に出ている間に三倍くらい積まれていましたが、今では綺麗に整えられて上司のハンコを待つばかりとなっています。
 これだけ早く終わるなんて、商業ギルドで働いていてきて初めてでした。

「でも、これならゆっくり『ぎょぉざ』を食べれますね♪ あったかいうちに食べれるのは嬉しいです」

 私は妖精さんから受け取った『ぎょぉざ』の皿をテーブルに置いて、フォークで突き刺して口に入れる。
 アツアツではないもの、ほど良く熱を持った肉汁が口の中に広がってきました。

「すごく……おいしい!」

 肉の柔らかい触感の中に、野菜のシャキシャキ感があり、お酒が欲しくなる味です。
 二つ目、三つ目を口に入れてモグモグと味わっていると先輩職員が顔をのぞかせてきました。

「美味そうに食べているが、それは何なんだ?」
「店主がいうには『ぎょぉざ』という料理らしいですよ。今日屋台の出店を申請にきた方の商品です」
「一つもらうぞ」
 
 先輩職員は指でぎょぉざをつかんで口に入れてモグモグと味わいます。
 目を閉じて味や触感を楽しんでいたかと思うと、目をクワッと開いて私の肩に手を置きました。
 
「おい、この料理はすげぇな……作り方とか教えてもらったりできないか?」
「えええ、急にどうしたんですか、先輩……」
「これは酒場の新メニューとかでだしたら流行る。使っている材料とかがわからないが、レシピだけでも高い値段が付くぞ」
「明日のお昼頃に様子見に行こうと思いますので、先輩も一緒にいきますか? 『らぁめん』も美味しいですよ」
 
 私は他の人に『ぎょぉざ』を食べられないように先に食べきりながら、先輩を視察に誘います。
 店主に紹介すると言った手前、草の根を分けて広めていくのが一番だと思いました。

「わかった、楽しみにしているぜ。じゃあ、お先にな」

 先輩は私の肩をバンバンとたたいてから、嬉しそうに足早に商人ギルドを後にします。

「私が仕事を早く終えれたのも『らぁめん』のお陰なんでしょうかね?」

 立ち去った先輩を見送ると、私は自分の仕事がすんなり終わった理由を思い返しました。
 昨日も同じくらいの分量の仕事をしていましたが仕事が終わったのは夜に入ってしばらくしてのことです。
 今日は夜に入ってすぐで、仕事が片付いてしまいました。

「体が軽くなったりするというのは『らぁめん』に何かの効果があったんでしょうか……そのあたりも明日確認したいですね」

 んーと大きく伸びをした私は机の上を整理し直してから、立ち上がる。

「それじゃあ、お先に失礼します」

 私はこれから付き合っていく屋台に思いをはせながら商業ギルドを後にしました。
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