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一杯目 出会いのニンニク醤油ラーメン
第8話 ラーメン屋、街での出店を考える
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■ヴァルディール・商店街
商店街の賑わいは異世界でも、日本でもかわらない。
キッチンカーでラーメン屋をやろうとしたときも、仕入れのためにこうした商店街を歩いていた。
「あたしもラーメンたべたーい!」
「屋敷に戻ったらな、ただいつまでも屋敷に引きこもっているわけにもいかないから、出店場所確保したいんだよな」
俺は歩きながら、商店街の中でも露店や屋台が並ぶ通りを見つける。
こうした場所ならば、出店についてのルールが確認できるはずだ。
違法に店をだして、絡まれるようなことは避けたい。
俺のモットーは『居案思危』だ。常に不測の事態を考えて用心を怠らないことがブラック企業で心をすりつぶさないためのポイントだ。
「なぁ、このあたりで店を出したいんだが、手続きはどうしたらいいんだ?」
気のよさそうな屋台で串焼きを売っているおっちゃんに銀貨1枚で串焼きと情報を買う。
「商業ギルドで許可をもらう必要があるな。営業可能なのは朝から夕方までが基本。夜は祭りの時くらいだな」
「なるほどなぁ……商業ギルドか……」
冒険者として登録をしていたが、出店をするなら商業ギルドで登録しておいた方がよかったかもしれないな。
何かする前の情報収集は大切だ。
ネット検索ができない異世界だから、なおさら直接見聞きしたりすることが重要だろう。
俺が考えている時、ルーミラが俺の手にある串焼きの一番上にかじりついていた。
ペットを飼っている気分ってこういうのなんだろうなぁと微笑ましくなる。
「おっちゃん、ありがとな」
「あんた妖精と一緒なのは珍しいな。妖精は高く売れると取られたりすることもあるから気を付けなよ。特にあんたは黒髪、黒目だからな。この街は比較的受け入れているが、よくないと思っている奴もおおいしよ」
「おう、串焼き美味かったよ」
俺はルーミラが食べ残した串焼きを食べきると、商業ギルドの場所を聞いて向かうことにした。
黒髪黒目のことを言われてから、周囲を見回すと視線を逸らす人が幾人かいる。
カリンのおかげでイメージ回復はしてきているものの、根深い問題のようだ。
■ヴァルディール 商業ギルド
「まるで役所だな」
「ヤクショってなに?」
「なんていうか、説明しづらいな……忘れてくれ」
商業ギルドに入って感じたことを口にしたらルーミラが訪ねてくる。
好奇心旺盛なのか、疑問をなんでも聞いてくるが答えられないことも多いので、困ることが増えた。
「商店街で飲食店をだしたいんだが、手続きはどうしたらいい?」
「かしこまりました……まず、商業ギルドの会員になっていただくことが必要になります。登録費用は銀貨5枚です」
「冒険者として登録しているが、多重登録はできるよな?」
「はい、問題ありません。こちらの用紙に必要事項の記入をお願いいたします」
受付の女性から紙を受け取り、店の内容について記載していった。
「ありがとうございます……こちら、結構場所をとられるんですね。メインストリートでは出店場所がないので、少し外れた場所でしたら、用意できるかと思います。出店料は事前に1か月分をいただいています。ここでしたら金貨2枚ですね」
「銀貨20枚でいいか?」
「はい、確かに……」
事前の支払いは痛かったが、仕方ない。
服も買ったので、カリンからもらった分はほぼほぼ使い切っている状態なのだ。
「では、店の問題がないかの確認があります。出店場所まで案内いたします。販売可能状態になりましたら、また商業ギルドで手続きをお願いいたします」
「ああ、それなら今日からすぐにでも販売できるから、案内頼めるかな?」
「わかりました。改めまして、タケシさんの担当になります商業ギルドのイリナです」
受付嬢あらため、イリナと俺は握手をした。
20歳前半くらいだろうか、若いけどしっかりしている。
「では、行きましょうか」
「よろしく頼む」
窓口からでてきたイリナの後ろに続き、俺は商業ギルドを後にした。
商店街の賑わいは異世界でも、日本でもかわらない。
キッチンカーでラーメン屋をやろうとしたときも、仕入れのためにこうした商店街を歩いていた。
「あたしもラーメンたべたーい!」
「屋敷に戻ったらな、ただいつまでも屋敷に引きこもっているわけにもいかないから、出店場所確保したいんだよな」
俺は歩きながら、商店街の中でも露店や屋台が並ぶ通りを見つける。
こうした場所ならば、出店についてのルールが確認できるはずだ。
違法に店をだして、絡まれるようなことは避けたい。
俺のモットーは『居案思危』だ。常に不測の事態を考えて用心を怠らないことがブラック企業で心をすりつぶさないためのポイントだ。
「なぁ、このあたりで店を出したいんだが、手続きはどうしたらいいんだ?」
気のよさそうな屋台で串焼きを売っているおっちゃんに銀貨1枚で串焼きと情報を買う。
「商業ギルドで許可をもらう必要があるな。営業可能なのは朝から夕方までが基本。夜は祭りの時くらいだな」
「なるほどなぁ……商業ギルドか……」
冒険者として登録をしていたが、出店をするなら商業ギルドで登録しておいた方がよかったかもしれないな。
何かする前の情報収集は大切だ。
ネット検索ができない異世界だから、なおさら直接見聞きしたりすることが重要だろう。
俺が考えている時、ルーミラが俺の手にある串焼きの一番上にかじりついていた。
ペットを飼っている気分ってこういうのなんだろうなぁと微笑ましくなる。
「おっちゃん、ありがとな」
「あんた妖精と一緒なのは珍しいな。妖精は高く売れると取られたりすることもあるから気を付けなよ。特にあんたは黒髪、黒目だからな。この街は比較的受け入れているが、よくないと思っている奴もおおいしよ」
「おう、串焼き美味かったよ」
俺はルーミラが食べ残した串焼きを食べきると、商業ギルドの場所を聞いて向かうことにした。
黒髪黒目のことを言われてから、周囲を見回すと視線を逸らす人が幾人かいる。
カリンのおかげでイメージ回復はしてきているものの、根深い問題のようだ。
■ヴァルディール 商業ギルド
「まるで役所だな」
「ヤクショってなに?」
「なんていうか、説明しづらいな……忘れてくれ」
商業ギルドに入って感じたことを口にしたらルーミラが訪ねてくる。
好奇心旺盛なのか、疑問をなんでも聞いてくるが答えられないことも多いので、困ることが増えた。
「商店街で飲食店をだしたいんだが、手続きはどうしたらいい?」
「かしこまりました……まず、商業ギルドの会員になっていただくことが必要になります。登録費用は銀貨5枚です」
「冒険者として登録しているが、多重登録はできるよな?」
「はい、問題ありません。こちらの用紙に必要事項の記入をお願いいたします」
受付の女性から紙を受け取り、店の内容について記載していった。
「ありがとうございます……こちら、結構場所をとられるんですね。メインストリートでは出店場所がないので、少し外れた場所でしたら、用意できるかと思います。出店料は事前に1か月分をいただいています。ここでしたら金貨2枚ですね」
「銀貨20枚でいいか?」
「はい、確かに……」
事前の支払いは痛かったが、仕方ない。
服も買ったので、カリンからもらった分はほぼほぼ使い切っている状態なのだ。
「では、店の問題がないかの確認があります。出店場所まで案内いたします。販売可能状態になりましたら、また商業ギルドで手続きをお願いいたします」
「ああ、それなら今日からすぐにでも販売できるから、案内頼めるかな?」
「わかりました。改めまして、タケシさんの担当になります商業ギルドのイリナです」
受付嬢あらため、イリナと俺は握手をした。
20歳前半くらいだろうか、若いけどしっかりしている。
「では、行きましょうか」
「よろしく頼む」
窓口からでてきたイリナの後ろに続き、俺は商業ギルドを後にした。
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