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第二章 洞窟の聖地

第43話 闇を切り裂く一筋の光

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■沖永良部島 大樹ダンジョン 闇の迷路

 暗い闇に炎の絨毯が広がったことで移動がしやすくなる。
 〈暗視〉を手に入れた俺が先行しつつ、〈粘液糸〉による道を作っていくことで迷路の進みが早くなった。
 とはいうものの音を大きく立てたらトラップが発動するのでは早歩きというややかっこ悪い進行の仕方なのだが……。

「小松原三佐、この迷路はどれくらい大きいんだ?」
『〈完全製図〉で見る限り、現在のところ半分くらいの位置です早く抜けたいところではありますね』
「外の状況がわからないからな……」
『そうですね。ダンジョン外の中継地との通信ができなくなりましたから……』
「配信も接続が切れてしまっていますね」

 小松原三佐や織香がいうように俺達が闇の迷路を進んでいる間。
 闇の迷路内の人物同士はやり取りできるものの、外部の人間とのやり取りはできなくなっていた。
 ダンジョンはどうにも不思議なものである。

「どうせ配信をつなげても暗闇が大半だ、面白い画はとれないだろう」
「おっ、サグルさんもわかってきましたね♪ インフルエンサーの第一歩ですよ」

 暗闇の中で床に走る炎の絨毯に照らされて、織香は喜んでいた。
 怖いことがあまりないんだろうなと織香を見ながら思う。

「何度も言うが、俺の本文は探検家だ。インフルエンサーとか冒険者を本格的に目指すつもりはないっ!」

 〈暗視〉で見つけたシャドゥゲッコーをスコップで叩き潰し、ドロップした肉を食べた。

〔シャドウゲッコーの捕食に成功しました。〈吸着〉レベル1を手に入れました〕

 新しいスキルが発現したようである。
 ヤモリの吸着ということは、壁などに触れても大丈夫になるスキルだろうか?

「爬虫類系はまぁまぁ食いなれたな……ただ、スライムゼリーをデザートで食べたくなる」
「スライムをデザートにするなんて、サグルさんくらいですよ」
『いえ、モンスターイーターズでは杏仁豆腐のようにして提供しておりますわよ?』

 織香が俺の食べっぷりにゲンナリしていると、意外なところから情報が入ってくる。
 そういえば、すでに食べているから手を出さなかったがメニューにはあったな。
 高級ランチくらいの値段はしたが……。

「これで壁を壊せたら楽なんだがな」

 俺が早速〈吸着〉の効果で壁に引っ付き、思いっきり引っ張るとガガガという音が響いて壁が砕けて地面に転がる。

「おう……」
「フラグをしっかり回収したね~」
『なんですか!? 今は何があったんですか!?』
「あー、スキルで壁の一部を破壊できた。最短コースで突き進めるかもしれない。案内を頼む」
『わかりました、道中で詳しい事情を教えてくださいね』

 小松原三佐の声が冷たいものだったので、俺は説明をしたくなくなった。
 それでも言わなければいわないで、面倒なのはわかっているので、謝りながら素直にしゃべる。
 本当にダンジョンっていうのはよくわからないものだ。
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