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第一章 大岳ダンジョン編

第19話 プロジェクトD~探検者達~

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■奥多摩 大岳ダンジョン 51階層

 Dtuberとして100万人登録をしている”織姫”こと姫野織香は語る。

「まさか、サグルさんにあんな一面があるなんて思ってもみませんでした」

 配信はしないが、撮影している中で、サグルはトーコ先生をスパルタで鍛えていた。

「今のままじゃ、トーコ先生はこの先が辛いです。俺も守れる限り守りますが、現状では限界があります。なので、実地で鍛えましょう」
「ひ、ひぃ~、もう、もう少し、や、優しくしてぇ~」
「ダメです。限界の先に成果があるんです」

 涙目で叫ぶトーコ先生の姿を見た織香は配信しなくてよかったと思っている。
 何かのスイッチが入ったのか、サグルはビシビシとモンスターを追い立ててはトーコ先生に止めをささせたり、回避の練習をさせていた。

『うちのサークルの部員がいない理由の一つにサグルのアレがあるんだよねぇ』
「ああ、そうなんですか?」
『あいつ探検大好きなロマンチストではあるんだけど、そのための努力は惜しまないストイックなところもあるのさ。それを結構周りに強要して、逃げられたりしたんだよ。あいつなりの不器用な優しさではあるんだが……』
「そういうことなんですね。けど、トーコ先生も動きがよくなってきているから、そこそこ戦えるようにはなりそうかもです」
『まぁ、動画素材の確保だけはやっておいてねん。配信に使わなかったものも含めてDVD化とか考えてるからさ。初のダンジョン攻略動画だから売れるぞ~』
「本当によく考えますよね……」
『それで稼いだ資金で会社の経営したりする予定だからね。ダンジョン探検家のメソッドをしっかり作っておいて安全にダンジョン攻略を目指せる方法を確立しなくちゃ』

 織香はイカルの言葉に感心をする。
 サグルはわかりやすい大学生のお兄さんという感じだが、イカルは既にカリスマ社長といえるような素質を持っているように思える。

「トーコ先生、さっき倒したヒュージスパイダーから粘液糸のスキルカードがでましたので、使ってください」
「ああ、あの糸を飛ばしたりする奴だねぇ~? ワタシに使いこなせるかなぁ~」
「戦闘で無理に使わなくてもいいです。糸ので罠を張ることや天井に伸ばして戻すことで、移動手段にもなりますから」
「なるほど~。そういうことなら、ワタシにも使いこなせそうだね~。あやとりは得意だったんだよ~」

 スキルカードを使ったトーコ先生が早速〈粘着糸〉を手から出して、いろいろやりはじめていた。

「じゃあ、モンスターを追い立てるので対処お願いします。織香は危なくなったらフォローを入れてくれ!」

 サグルがダンジョンの奥の方へモンスターを探しに移動していく。
 トーコ先生はそんなサグルには目もくれず、〈粘着糸〉を出してあやとりを始めていた。

「大丈夫ですか?」
「う~ん、大丈夫じゃないといったら、代わってくれるかなぁ~?」
「ちょっと私でも断りたいですね」
「Bランク冒険者にそういわれちゃう目にあっているのはどうなんだろうねぇ~。ワタシはただの研究者なのに~」

 しょんぼりとうなだれるトーコ先生を見た織香はクスクスと笑った。
 このパーティでは最年長なのだが、リアクションが可愛く、配信中でも結構ファンがついてきている。
 織香としてはサグルの用にプロデュースしてみたい欲が湧きたっていた。

「ま、まぁ……サグルクンがワタシのためにいろいろしてくれるのは嬉しいからねぇ~。頑張りたくなるんだよ~」
「むむむっ!」

 ちょっと顔を赤くしてにへらと笑うトーコ先生の姿に織香の乙女心が反応する。
 これはライバルになるのではないかという警戒心だ。
 本音を訪ねてみようとしたとき、ザワザワと音が響き、サグルがヒュージスパイダーや、タイタンを追い立ててくる。

「じゃあ、罠を張ってみるかねぇ~。そ~れ、四段ばしご!」

〈粘液糸〉を大きく太く伸ばしたトーコ先生は通路を塞ぐように広げて繋いだ。
 あやとりの四段ばしごが目の前に出来上がり、モンスター達が突っ込んでいき身動きが取れなくなる。

「これなら止めは楽だねぇ~」
「はい、片付けていきましょう!」

 織香とトーコ先生は動きづらくなったモンスター達を倒し、ステータスポイントをしっかり稼いだのだった。
 このやり方が後にサグル式ダンジョンブートキャンプとして有名になるのだが、それはまた別の話である。
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