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亜利馬、ぶるぶる
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「亜利馬、大丈夫? 何してたの?」
みんなの元に戻ると、早速獅琉に訊かれてしまった。
「大丈夫ですよ。ちょっとマイクが付けにくかったので、着替えてきました」
「それじゃあ、取り敢えず八時まではフリーだ。カメラは気にせず好きに遊んでくれ。公園からは出るな。怪我もするなよ」
山野さんがベンチに座ってノートパソコンを開いた。その横では動画班が撮影用の機材をチェックしている。
獅琉が俺の腕を掴んで、目を輝かせながら言った。
「亜利馬、シーソーやろうよ」
「えっ! いきなりですか?」
「いきなりって、何が?」
「あ、……いえ、何でもないです。シーソーやりましょう!」
少し不安だけど、所詮は子供用の遊具だ。しかも俺の地元にあったような簡素なものではなく、子供の安全を第一に考えて作られているシーソーだから衝撃も少ない……はず。
「うぉーい!」
「あ、潤歩さんだ」
ワイド滑り台のてっぺんで、潤歩が両手を振っている。どうするんだろうと思って見ていると、特に面白いことをする訳でもなく潤歩がそのまま腹ばいで滑って行った。
竜介と大雅はのんびりブランコに座っている。漕がずにお喋りしている二人のイケメンという構図は、何だか青春ドラマのワンシーンみたいで綺麗だった。
「よいしょっと」
獅琉がシーソーに座り、俺も反対側を跨ぐ──が、どうにも俺の方が軽いせいかバランスが取れず、シーソーは斜めに上がったままだ。
「えいっ」
獅琉が地面を蹴って上がり、ようやく一度「ギッタン」することができた。だけど動いたのはその一度だけで、再び俺の方が上がったまま停止してしまう。
「……何か俺が太ってるキャラみたいで恥ずかしいなぁ」
「ち、違いますよ獅琉さん。俺がチビなだけですから!」
「何やってんだお前ら」
見かねた潤歩がやって来てシーソーに足をかけ、思い切り踏み込んだ。
「ぐうっ──!」
衝撃の全てがケツに集まり、腰から背中を電流のような刺激が駆け抜けて行く。今のでローターが数センチ奥へ入り込んでしまったかのようだ。
「おお、いいね潤歩。亜利馬のターンの時は今ので手伝ってよ」
「ちょ、待って……! 待ってください潤歩さ──んがあぁっ!」
二度目の衝撃に、今度は電流が頭のてっぺんまでを突き抜けて行った。
「続くと楽しいね!」
「んっ、ああ……!」
「あはは。亜利馬、大袈裟」
「あぁっ、んがぁっ!」
「だ、大丈夫?」
「ああぁんっ!」
「ちょっと潤歩、ストップストップ!」
ようやくシーソーが止まり、俺は転げるようにしてそこから降りた。まだスイッチも入っていないのに、既に尻へのダメージが一万円分を上回っている気がする。
「何だお前。普段掘られ慣れてるくせに、こんな衝撃くらいで大袈裟に痛がりやがって」
「は、ぁ……だ、大丈夫です……ちょっと、シーソーとか久々にやったので……」
「あんまり激しいのは止めといた方がいいかな? さっき潤歩が滑ってた滑り台にしようか」
地面に倒れたままぜえはあと呼吸する俺を、ケンさんがデジカメで撮っている。俺はカメラを睨んで親指を立て、視聴者に向けて「まだ大丈夫」の合図を送った。知らないのはブレイズメンバーだけで、視聴者は初めから俺の尻に仕込まれている「モノ」の存在を分かった上で動画を楽しめるように編集する予定なのだ。
みんなの元に戻ると、早速獅琉に訊かれてしまった。
「大丈夫ですよ。ちょっとマイクが付けにくかったので、着替えてきました」
「それじゃあ、取り敢えず八時まではフリーだ。カメラは気にせず好きに遊んでくれ。公園からは出るな。怪我もするなよ」
山野さんがベンチに座ってノートパソコンを開いた。その横では動画班が撮影用の機材をチェックしている。
獅琉が俺の腕を掴んで、目を輝かせながら言った。
「亜利馬、シーソーやろうよ」
「えっ! いきなりですか?」
「いきなりって、何が?」
「あ、……いえ、何でもないです。シーソーやりましょう!」
少し不安だけど、所詮は子供用の遊具だ。しかも俺の地元にあったような簡素なものではなく、子供の安全を第一に考えて作られているシーソーだから衝撃も少ない……はず。
「うぉーい!」
「あ、潤歩さんだ」
ワイド滑り台のてっぺんで、潤歩が両手を振っている。どうするんだろうと思って見ていると、特に面白いことをする訳でもなく潤歩がそのまま腹ばいで滑って行った。
竜介と大雅はのんびりブランコに座っている。漕がずにお喋りしている二人のイケメンという構図は、何だか青春ドラマのワンシーンみたいで綺麗だった。
「よいしょっと」
獅琉がシーソーに座り、俺も反対側を跨ぐ──が、どうにも俺の方が軽いせいかバランスが取れず、シーソーは斜めに上がったままだ。
「えいっ」
獅琉が地面を蹴って上がり、ようやく一度「ギッタン」することができた。だけど動いたのはその一度だけで、再び俺の方が上がったまま停止してしまう。
「……何か俺が太ってるキャラみたいで恥ずかしいなぁ」
「ち、違いますよ獅琉さん。俺がチビなだけですから!」
「何やってんだお前ら」
見かねた潤歩がやって来てシーソーに足をかけ、思い切り踏み込んだ。
「ぐうっ──!」
衝撃の全てがケツに集まり、腰から背中を電流のような刺激が駆け抜けて行く。今のでローターが数センチ奥へ入り込んでしまったかのようだ。
「おお、いいね潤歩。亜利馬のターンの時は今ので手伝ってよ」
「ちょ、待って……! 待ってください潤歩さ──んがあぁっ!」
二度目の衝撃に、今度は電流が頭のてっぺんまでを突き抜けて行った。
「続くと楽しいね!」
「んっ、ああ……!」
「あはは。亜利馬、大袈裟」
「あぁっ、んがぁっ!」
「だ、大丈夫?」
「ああぁんっ!」
「ちょっと潤歩、ストップストップ!」
ようやくシーソーが止まり、俺は転げるようにしてそこから降りた。まだスイッチも入っていないのに、既に尻へのダメージが一万円分を上回っている気がする。
「何だお前。普段掘られ慣れてるくせに、こんな衝撃くらいで大袈裟に痛がりやがって」
「は、ぁ……だ、大丈夫です……ちょっと、シーソーとか久々にやったので……」
「あんまり激しいのは止めといた方がいいかな? さっき潤歩が滑ってた滑り台にしようか」
地面に倒れたままぜえはあと呼吸する俺を、ケンさんがデジカメで撮っている。俺はカメラを睨んで親指を立て、視聴者に向けて「まだ大丈夫」の合図を送った。知らないのはブレイズメンバーだけで、視聴者は初めから俺の尻に仕込まれている「モノ」の存在を分かった上で動画を楽しめるように編集する予定なのだ。
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