48 / 86
亜利馬、みんなのお兄ちゃんになる
4
しおりを挟む
みんな、俺に叱られないようにお行儀よく食事をしている。メニューは園児の一人である獅琉が作ってくれたクリームシチューだ。あったかくて甘味があってほっこりしてしまう美味しさ。ついでに一口フライドチキンもたくさん揚げてくれて、美味しいロールパンもあるし実に最高のランチとなった。
「はあぁ、美味しい! 幸せ……」
「ありませんせーが気に入ってくれて、俺も嬉しいな」
「ありま先生、口にクリームが付いてるぞ。ほら、ティッシュ」
「……ありまお兄ちゃん、俺のニンジンあげる」
俺の機嫌を損ねないようにあれこれ言ってくれる園児たち。だけどそんな中、潤歩少年だけは睨むような目で俺を見ていた。
「チビが調子に乗りやがって……」
「潤歩くん、何か言ったかな?」
「な、何でもないよありま先生! ね、潤歩!」
慌てて獅琉がフォローに入り、俺と潤歩は同時にプイとそっぽを向いた。
「はい! ご飯も食べたし、次はお歌の時間にしようか!」
「ありまお兄ちゃん」
獅琉が手をあげ、ニコニコ顔で発言する。
「どうしたの、獅琉くん?」
「えっと、俺が通ってた幼稚園では、お昼の後はみんなでゆっくりするお昼寝タイムがありました。先生が本を読んでくれて、みんなで横になって、すっごく心地良い時間だったよ」
「そ、そうなの? じゃあお昼寝タイムの方がいいのかな……」
「デカい毛布なら何枚かあるぞ」
竜介が既に用意してくれていた毛布を見て、俺は目を輝かせた。カシミヤ羊毛の高級毛布。暖かくてもふもふで、包まれたらすっごく気持ち良さそう……。
お腹がいっぱいになったのもあって、毛布を見ているだけで眠くなってくる。
「……そ、それじゃみんなでお昼寝にしようか!」
「やったー!」
リビングの広いスペース。絨毯の上へ四人が各々転がり、暖かい毛布を被る。全員ぽかぽかの幸せそうな顔だ。
「お、俺も……」
「あっ、ありまお兄ちゃんは寝たら駄目だよ。絵本を読んでくれなきゃ」
「えっ?」
「先生ってそういうモンだよなぁ。園児そっちのけで昼寝する先生なんてソッコーでクビだぜ」
潤歩がニヤつきながら言って、俺はむっと口を閉じた。
仕方なくスマホを取り出し、絵本のサイトを開く。
「じゃあ本を読みますよ。みんなが寝たら俺も寝ます」
「……先生って昼寝するの?」
大雅の言葉を無視して、俺はスマホの絵本を読み始めた。
「むかしむかし、ある所に三匹の仔豚が住んでいました。仔豚の兄弟はお母さんに言われてそれぞれの家を作ることになりました」
「………」
「みんな寝るの早っ!」
静かに寝息を立てている四人の大きな子供達。その心地良さそうな寝顔を見ていると、本物と比べたらデカさは違えど「幼稚園の先生もいいな」という気持ちになってくる。
「……それじゃ、俺もお邪魔して……」
毛布の端っこを捲り、中へ体をねじ込ませる。みんなバラバラに寝ているから毛布の中で何本もの脚がぶつかり合っているが、こんなのももう慣れっこだ。
もふもふの毛布、気持ち良い……。
「………」
「はあぁ、美味しい! 幸せ……」
「ありませんせーが気に入ってくれて、俺も嬉しいな」
「ありま先生、口にクリームが付いてるぞ。ほら、ティッシュ」
「……ありまお兄ちゃん、俺のニンジンあげる」
俺の機嫌を損ねないようにあれこれ言ってくれる園児たち。だけどそんな中、潤歩少年だけは睨むような目で俺を見ていた。
「チビが調子に乗りやがって……」
「潤歩くん、何か言ったかな?」
「な、何でもないよありま先生! ね、潤歩!」
慌てて獅琉がフォローに入り、俺と潤歩は同時にプイとそっぽを向いた。
「はい! ご飯も食べたし、次はお歌の時間にしようか!」
「ありまお兄ちゃん」
獅琉が手をあげ、ニコニコ顔で発言する。
「どうしたの、獅琉くん?」
「えっと、俺が通ってた幼稚園では、お昼の後はみんなでゆっくりするお昼寝タイムがありました。先生が本を読んでくれて、みんなで横になって、すっごく心地良い時間だったよ」
「そ、そうなの? じゃあお昼寝タイムの方がいいのかな……」
「デカい毛布なら何枚かあるぞ」
竜介が既に用意してくれていた毛布を見て、俺は目を輝かせた。カシミヤ羊毛の高級毛布。暖かくてもふもふで、包まれたらすっごく気持ち良さそう……。
お腹がいっぱいになったのもあって、毛布を見ているだけで眠くなってくる。
「……そ、それじゃみんなでお昼寝にしようか!」
「やったー!」
リビングの広いスペース。絨毯の上へ四人が各々転がり、暖かい毛布を被る。全員ぽかぽかの幸せそうな顔だ。
「お、俺も……」
「あっ、ありまお兄ちゃんは寝たら駄目だよ。絵本を読んでくれなきゃ」
「えっ?」
「先生ってそういうモンだよなぁ。園児そっちのけで昼寝する先生なんてソッコーでクビだぜ」
潤歩がニヤつきながら言って、俺はむっと口を閉じた。
仕方なくスマホを取り出し、絵本のサイトを開く。
「じゃあ本を読みますよ。みんなが寝たら俺も寝ます」
「……先生って昼寝するの?」
大雅の言葉を無視して、俺はスマホの絵本を読み始めた。
「むかしむかし、ある所に三匹の仔豚が住んでいました。仔豚の兄弟はお母さんに言われてそれぞれの家を作ることになりました」
「………」
「みんな寝るの早っ!」
静かに寝息を立てている四人の大きな子供達。その心地良さそうな寝顔を見ていると、本物と比べたらデカさは違えど「幼稚園の先生もいいな」という気持ちになってくる。
「……それじゃ、俺もお邪魔して……」
毛布の端っこを捲り、中へ体をねじ込ませる。みんなバラバラに寝ているから毛布の中で何本もの脚がぶつかり合っているが、こんなのももう慣れっこだ。
もふもふの毛布、気持ち良い……。
「………」
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
人外CPにはなりません
ストックなくなるまでは07:10に公開
3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる