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ブレイズ、みんなで竜介をお祝いする
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「時々人が悪いです、竜介さん……」
「悪い悪い。大雅が抜き足差し足で来てたからさ」
「……亜利馬も一緒にご飯食べる?」
帰り支度を済ませた大雅が冷めた目で俺を見下ろす。付いて行きたかったけれど大雅と竜介の間にある不器用なソレを考えれば、ちょっと空気を読んだ方が良さそうだ。
「大丈夫。俺、獅琉さんの部屋でご飯食べる約束してたからさ。二人でゆっくりして来てよ。それからこれ、大雅の分のパウンドケーキ」
「それじゃ行こう大雅、もう腹が減って仕方ねえんだ」
三人で会議室を出てビルを出て、交差点で別々の道を進む。手を振る二人に俺も手を振って応え、少し寒い風に震えて寮への道を急いだ。
「なるほどねえ、甘酸っぱい青春ですなぁ」
「そうか? まだるっこしくて面倒臭せえだろ。さっさとくっつけばいいのによ」
獅琉と潤歩に今日の報告をすると、それぞれ違う反応が返ってきた。どっちの言うことも理解できるけれど、そこはもう俺達が口を出すべきじゃない。
「結局、俺達の心配は杞憂だったみたいです。パーティーもいつも通り、変なことしないでみんなで盛り上がればいいと思いますよ」
「そうだね。俺もそっちの方が楽しいから賛成かな」
「俺は飲めれば何でもいいや」
こっちも結局、相変わらずの俺達だ。
何てったって、楽しいのが一番!
*
そうしてやってきた、竜介の四周年記念、当日。
場所は何というかその、……渋谷のとあるラブホテル。『女子会やパーティーに最適・フリータイムナイトコース』という五人まで入れる部屋を潤歩が予約してくれて、他に良い場所もなかったためにそこに決めた。
明るい部屋。大型ベッドにお洒落で重厚なソファ、バスルームも広くて壁では熱帯魚も泳いでいる。
「めちゃくちゃ綺麗ですね……」
こういう場所は撮影以外で入ったことがないけれど、今時のラブホテルって全然エッチな感じがしないどころか、スイートルームみたいな豪華な部屋もあるんだなと感動した。撮影で使う部屋は大体ベッドとテレビしかなくて、いかにも「ヤります!」って感じのものばかりなのだ。
エロ目的以外でも使ってもらえるようにというコンセプトは、AVファン以外からもモデルを好きになってもらえるようにというインヘルのやり方と似ている。少しずつ何かが変わってきている時代なんだ。
「竜介はあと十分くらいで到着するって」
「了解です。……大雅、準備は大丈夫? 緊張してない?」
「別にしてないけど」
「おい、見ろよ! アダルトチャンネルで俺達のVも見放題になってるぞ。亜利馬の最新作上映しながらパーティーしようぜ」
「ちょっ、潤歩さん怒りますよ!」
豪華な円形のテーブルには、獅琉が作ってきた料理がずらりと並んでいる。電子レンジもあるし、冷蔵庫ではシャンパンもビールもジュースも冷えている。後は竜介が来るのを待つのみだ。
「何か知らないけど俺が緊張してきました……」
「このベッドいいなぁ。こういうので毎日寝たいなぁ」
「あの寮じゃ無理だっつうの」
大雅はマフラーの入った紙袋を膝に乗せ、じっとソファに座っている。その顔はいつも通りの無表情だけど、ほんの少しだけ緊張しているようにも見えた。
「悪い悪い。大雅が抜き足差し足で来てたからさ」
「……亜利馬も一緒にご飯食べる?」
帰り支度を済ませた大雅が冷めた目で俺を見下ろす。付いて行きたかったけれど大雅と竜介の間にある不器用なソレを考えれば、ちょっと空気を読んだ方が良さそうだ。
「大丈夫。俺、獅琉さんの部屋でご飯食べる約束してたからさ。二人でゆっくりして来てよ。それからこれ、大雅の分のパウンドケーキ」
「それじゃ行こう大雅、もう腹が減って仕方ねえんだ」
三人で会議室を出てビルを出て、交差点で別々の道を進む。手を振る二人に俺も手を振って応え、少し寒い風に震えて寮への道を急いだ。
「なるほどねえ、甘酸っぱい青春ですなぁ」
「そうか? まだるっこしくて面倒臭せえだろ。さっさとくっつけばいいのによ」
獅琉と潤歩に今日の報告をすると、それぞれ違う反応が返ってきた。どっちの言うことも理解できるけれど、そこはもう俺達が口を出すべきじゃない。
「結局、俺達の心配は杞憂だったみたいです。パーティーもいつも通り、変なことしないでみんなで盛り上がればいいと思いますよ」
「そうだね。俺もそっちの方が楽しいから賛成かな」
「俺は飲めれば何でもいいや」
こっちも結局、相変わらずの俺達だ。
何てったって、楽しいのが一番!
*
そうしてやってきた、竜介の四周年記念、当日。
場所は何というかその、……渋谷のとあるラブホテル。『女子会やパーティーに最適・フリータイムナイトコース』という五人まで入れる部屋を潤歩が予約してくれて、他に良い場所もなかったためにそこに決めた。
明るい部屋。大型ベッドにお洒落で重厚なソファ、バスルームも広くて壁では熱帯魚も泳いでいる。
「めちゃくちゃ綺麗ですね……」
こういう場所は撮影以外で入ったことがないけれど、今時のラブホテルって全然エッチな感じがしないどころか、スイートルームみたいな豪華な部屋もあるんだなと感動した。撮影で使う部屋は大体ベッドとテレビしかなくて、いかにも「ヤります!」って感じのものばかりなのだ。
エロ目的以外でも使ってもらえるようにというコンセプトは、AVファン以外からもモデルを好きになってもらえるようにというインヘルのやり方と似ている。少しずつ何かが変わってきている時代なんだ。
「竜介はあと十分くらいで到着するって」
「了解です。……大雅、準備は大丈夫? 緊張してない?」
「別にしてないけど」
「おい、見ろよ! アダルトチャンネルで俺達のVも見放題になってるぞ。亜利馬の最新作上映しながらパーティーしようぜ」
「ちょっ、潤歩さん怒りますよ!」
豪華な円形のテーブルには、獅琉が作ってきた料理がずらりと並んでいる。電子レンジもあるし、冷蔵庫ではシャンパンもビールもジュースも冷えている。後は竜介が来るのを待つのみだ。
「何か知らないけど俺が緊張してきました……」
「このベッドいいなぁ。こういうので毎日寝たいなぁ」
「あの寮じゃ無理だっつうの」
大雅はマフラーの入った紙袋を膝に乗せ、じっとソファに座っている。その顔はいつも通りの無表情だけど、ほんの少しだけ緊張しているようにも見えた。
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