7 / 86
亜利馬、職業AVモデル
6
しおりを挟む
「……亜利馬は、デビューの時からそういう感じだったから、仕方ないよ」
「そうだけどさぁ」
その夜、俺は同じ寮内の401号室──大雅の部屋で布団に転がりながら意味なくじたばたしていた。俺の部屋は504号室、隣の505は獅琉の部屋だけど、こうして愚痴を言う時はいつも同い年の大雅に付き合ってもらっている。
大抵俺が愚痴っている間に大雅は自分のベッドで寝てしまうけれど、今日は遅く起きたのか珍しく零時を過ぎても目がぱっちり開いていた。
「それに、亜利馬はウケ専でしょ。どうしても需要は偏る」
ウケ専とは同性同士のセックスにおける「ネコ役」、つまり相手のペニスを受け入れる側だけを担当しているモデルのことだ。同じような意味でタチ専というのもあって、竜介なんかはどんな企画でもタチ役──挿れる側専門のモデルとして活動している。
ちなみにいま目の前でゴロゴロしている大雅はタチウケ両方できるモデルだ。リーダー獅琉とヤンキー潤歩も、企画に応じてタチウケどちらにでもなる。三人ともタチとウケで全く違う顔を見せることのできるモデルなのだ。かといって竜介が我儘を言ってウケ役を拒否している訳ではない。ファンは皆「タチの竜介」が見たいから、それに応えているだけだ。
需要があるから供給している。そうなると俺がウケ専であることも、ファンには需要がある訳で……。
「大雅はデビューの時からタチウケやってたんだっけ?」
「ううん。俺も始めはウケ専だった。竜介と絡む時以外はタチでいこうと思ってたんだけど、……俺、性格的にタチ向いてない」
「どういうこと?」
「亜利馬と絡むのは好き。だけど、その頃は他のモデルと絡むのがちょっと嫌だった。タチだとどうしても自分がリードしなきゃいけないでしょ。俺、そういうの上手くできないから」
「……そっかぁ。確かに特殊な企画じゃない限りは、良い絡みが撮れるかどうかって、タチ役に懸かってるもんなぁ。ウケの子がどういう感じ方するかとか、どういう持って行き方すれば自然に気持ち良くなれるかとか、実は皆考えてるもんね」
それが上手い男だからこそ、竜介はタチ専で人気を博しているのだろう。
「亜利馬はウケ役の方が魅力が出るから、会社もウケ専で売ってるんだと思う。それに亜利馬がウケ専になってくれてるから、ブレイズも上手く回ってるし……有難いって思ってるよ」
「そ、そうかなぁ」
身を起こしてベッドに顔を乗せると、大雅が俺の額にキスをしてくれた。
「亜利馬はブレイズに必要なメンバーだよ。自信持って」
こういう時に大雅が見せる控えめな笑顔が大好きだ。可愛くて優しい俺の聖天使。早く竜介と幸せになってくれと心から思う。
「……へへ、ありがと大雅」
俺のブレイズでの役割が本当に「やられ役」なら。俺がそれをすることでメンバーの役に立ち、ブレイズがより一層高みを目指せるなら。
「今の俺は、もらった仕事を頑張るしかないもんな!」
「うん、俺も頑張る。色々決まったら一緒に練習しよ」
「了解!」
「そうだけどさぁ」
その夜、俺は同じ寮内の401号室──大雅の部屋で布団に転がりながら意味なくじたばたしていた。俺の部屋は504号室、隣の505は獅琉の部屋だけど、こうして愚痴を言う時はいつも同い年の大雅に付き合ってもらっている。
大抵俺が愚痴っている間に大雅は自分のベッドで寝てしまうけれど、今日は遅く起きたのか珍しく零時を過ぎても目がぱっちり開いていた。
「それに、亜利馬はウケ専でしょ。どうしても需要は偏る」
ウケ専とは同性同士のセックスにおける「ネコ役」、つまり相手のペニスを受け入れる側だけを担当しているモデルのことだ。同じような意味でタチ専というのもあって、竜介なんかはどんな企画でもタチ役──挿れる側専門のモデルとして活動している。
ちなみにいま目の前でゴロゴロしている大雅はタチウケ両方できるモデルだ。リーダー獅琉とヤンキー潤歩も、企画に応じてタチウケどちらにでもなる。三人ともタチとウケで全く違う顔を見せることのできるモデルなのだ。かといって竜介が我儘を言ってウケ役を拒否している訳ではない。ファンは皆「タチの竜介」が見たいから、それに応えているだけだ。
需要があるから供給している。そうなると俺がウケ専であることも、ファンには需要がある訳で……。
「大雅はデビューの時からタチウケやってたんだっけ?」
「ううん。俺も始めはウケ専だった。竜介と絡む時以外はタチでいこうと思ってたんだけど、……俺、性格的にタチ向いてない」
「どういうこと?」
「亜利馬と絡むのは好き。だけど、その頃は他のモデルと絡むのがちょっと嫌だった。タチだとどうしても自分がリードしなきゃいけないでしょ。俺、そういうの上手くできないから」
「……そっかぁ。確かに特殊な企画じゃない限りは、良い絡みが撮れるかどうかって、タチ役に懸かってるもんなぁ。ウケの子がどういう感じ方するかとか、どういう持って行き方すれば自然に気持ち良くなれるかとか、実は皆考えてるもんね」
それが上手い男だからこそ、竜介はタチ専で人気を博しているのだろう。
「亜利馬はウケ役の方が魅力が出るから、会社もウケ専で売ってるんだと思う。それに亜利馬がウケ専になってくれてるから、ブレイズも上手く回ってるし……有難いって思ってるよ」
「そ、そうかなぁ」
身を起こしてベッドに顔を乗せると、大雅が俺の額にキスをしてくれた。
「亜利馬はブレイズに必要なメンバーだよ。自信持って」
こういう時に大雅が見せる控えめな笑顔が大好きだ。可愛くて優しい俺の聖天使。早く竜介と幸せになってくれと心から思う。
「……へへ、ありがと大雅」
俺のブレイズでの役割が本当に「やられ役」なら。俺がそれをすることでメンバーの役に立ち、ブレイズがより一層高みを目指せるなら。
「今の俺は、もらった仕事を頑張るしかないもんな!」
「うん、俺も頑張る。色々決まったら一緒に練習しよ」
「了解!」
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
人外CPにはなりません
ストックなくなるまでは07:10に公開
3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!


王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い



俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる