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亜利馬、職業AVモデル
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その日の午後八時、写真撮影を終えた俺は早速「ブレイズ部屋」と呼ばれている事務所の隣にある会議室へと飛び込んだ。
「お疲れ様ですっ!」
ここに来ればメンバーの誰かしらがいる。いなくても待っていれば誰かが必ず来る。予め時間を決めていなくても、ここは俺達の待ち合わせ場所だった。
「亜利馬! お疲れ様!」
一番に返事をしてくれたのは、ブレイズのリーダーでもあるトップモデル・獅琉だ。ミルクティ色の柔らかい髪に綺麗な肌、整った王子様みたいな優しい顔立ち。獅琉は俺がこの仕事を始めてすぐに紹介された先輩で、誰に対しても分け隔てない態度で接する神様みたいなイケメンだった。
「おせえぞ、クソガキ。どんだけ待たせんだっつうの」
この超絶口が悪い赤目の先輩は、リーダーの獅琉と同期かつ幼馴染でもある潤歩だ。逆立たせた髪は紫色で、最近少し切ったらしくスポーツマンみたいだ。穴空きの黒いパーカ。捲った袖から伸びる腕には、革のブレスレットやらリストバンド、ストーンなど色々なアクセサリーがついている。口は悪いがここぞという時は頼りになる、俺にとっては齢の近い兄のような存在。
「……亜利馬。ドーナツあるよ」
抑揚のない声と無表情がデフォルトの大雅は、俺と同い年で大の親友だ。と言っても俺よりずっと背が高く絶世の色白金髪美青年で、口数が少なく人見知りが激しいが、俺には猫のように懐いてくれている。俺は彼よりずっとチビのちんちくりんだけど、大雅のことが可愛くて仕方なくて、心の中で勝手に弟とすら思っている。
「だいぶ急いで来たみたいだな、髪がボサボサだぞ!」
そうして豪快に笑うのが、メンバーでは最年長二十三歳の竜介。その肉体美と撮影で見せる獣のような演技には、マッチョなハードゲイのお兄さんから二丁目のオネエさんまで幅広い層のファンがついている。見た目はワイルドでも気さくで面倒見が良く、多少のことは笑い飛ばしてしまうような底抜けに明るい人だ。
四人とも俺の尊敬する先輩であり、大事な仲間だ。彼らがいたから俺もこの仕事を楽しいと思えている。俺一人だったら途中でめげてしまうようなことがあっても、彼らのアドバイスと支えがあるから頑張れる。ブレイズのメンバーは俺にとって東京での家族、そのものだった。
「ヘアメイクの雄二さんがドーナツ差し入れてくれたんだよ。亜利馬も食べな」
そう言って獅琉が大雅の前にある平べったい箱を指した。チョコレートにイチゴミルク、クッキー入りクリーム、……カラフルでオシャレなドーナツが沢山並んでいる。
「やった! 頂きます!」
「……亜利馬がチョコ選ぶと思って、残しといた」
「わ、ありがとう大雅!」
早速大雅の隣に座って、大好きなチョコレートドーナツを頬張る。甘くてサクサク、中はふわふわ。ブレイズメンバーは潤歩を除いて全員甘党だから、差し入れは必然的に甘い物になるのだ。
「たまには激辛チキントマトバーガーとか差し入れてくれねえかな」
言いつつも潤歩はちゃっかとりドーナツを摘まんでいる。
甘い物を食べて、他愛のない話で盛り上がって、いじられたりいじったり、会議室中に笑い声が響く──そんな高校生の放課後っぽい雰囲気が好きだった。五人がこうやって揃うだけで、何かが始まるぞという気持ちになってくる。
「……そうだ! 始まるんですよね、ドラマ撮影!」
ドーナツを手にしたまま立ち上がると、既に皆その話を聞いていたようで四人全員が笑っていた。
「お疲れ様ですっ!」
ここに来ればメンバーの誰かしらがいる。いなくても待っていれば誰かが必ず来る。予め時間を決めていなくても、ここは俺達の待ち合わせ場所だった。
「亜利馬! お疲れ様!」
一番に返事をしてくれたのは、ブレイズのリーダーでもあるトップモデル・獅琉だ。ミルクティ色の柔らかい髪に綺麗な肌、整った王子様みたいな優しい顔立ち。獅琉は俺がこの仕事を始めてすぐに紹介された先輩で、誰に対しても分け隔てない態度で接する神様みたいなイケメンだった。
「おせえぞ、クソガキ。どんだけ待たせんだっつうの」
この超絶口が悪い赤目の先輩は、リーダーの獅琉と同期かつ幼馴染でもある潤歩だ。逆立たせた髪は紫色で、最近少し切ったらしくスポーツマンみたいだ。穴空きの黒いパーカ。捲った袖から伸びる腕には、革のブレスレットやらリストバンド、ストーンなど色々なアクセサリーがついている。口は悪いがここぞという時は頼りになる、俺にとっては齢の近い兄のような存在。
「……亜利馬。ドーナツあるよ」
抑揚のない声と無表情がデフォルトの大雅は、俺と同い年で大の親友だ。と言っても俺よりずっと背が高く絶世の色白金髪美青年で、口数が少なく人見知りが激しいが、俺には猫のように懐いてくれている。俺は彼よりずっとチビのちんちくりんだけど、大雅のことが可愛くて仕方なくて、心の中で勝手に弟とすら思っている。
「だいぶ急いで来たみたいだな、髪がボサボサだぞ!」
そうして豪快に笑うのが、メンバーでは最年長二十三歳の竜介。その肉体美と撮影で見せる獣のような演技には、マッチョなハードゲイのお兄さんから二丁目のオネエさんまで幅広い層のファンがついている。見た目はワイルドでも気さくで面倒見が良く、多少のことは笑い飛ばしてしまうような底抜けに明るい人だ。
四人とも俺の尊敬する先輩であり、大事な仲間だ。彼らがいたから俺もこの仕事を楽しいと思えている。俺一人だったら途中でめげてしまうようなことがあっても、彼らのアドバイスと支えがあるから頑張れる。ブレイズのメンバーは俺にとって東京での家族、そのものだった。
「ヘアメイクの雄二さんがドーナツ差し入れてくれたんだよ。亜利馬も食べな」
そう言って獅琉が大雅の前にある平べったい箱を指した。チョコレートにイチゴミルク、クッキー入りクリーム、……カラフルでオシャレなドーナツが沢山並んでいる。
「やった! 頂きます!」
「……亜利馬がチョコ選ぶと思って、残しといた」
「わ、ありがとう大雅!」
早速大雅の隣に座って、大好きなチョコレートドーナツを頬張る。甘くてサクサク、中はふわふわ。ブレイズメンバーは潤歩を除いて全員甘党だから、差し入れは必然的に甘い物になるのだ。
「たまには激辛チキントマトバーガーとか差し入れてくれねえかな」
言いつつも潤歩はちゃっかとりドーナツを摘まんでいる。
甘い物を食べて、他愛のない話で盛り上がって、いじられたりいじったり、会議室中に笑い声が響く──そんな高校生の放課後っぽい雰囲気が好きだった。五人がこうやって揃うだけで、何かが始まるぞという気持ちになってくる。
「……そうだ! 始まるんですよね、ドラマ撮影!」
ドーナツを手にしたまま立ち上がると、既に皆その話を聞いていたようで四人全員が笑っていた。
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