COALESCE!

狗嵜ネムリ

文字の大きさ
上 下
108 / 111
番外編、大雅の物語

しおりを挟む
「大雅」
 低い声で名前を呼ばれ、同時に中の下着ごと部屋着のズボンを下ろされる。反応しているそれを見られたくなくて手で隠すと、竜介が笑った。
「隠してたら触れねえだろ」
「……見ないで」
「分かった、見ねえから」
 竜介に腕を掴まれ、ゆっくりとそこから離される。代わりに竜介の手があてがわれた瞬間、大雅の頬がカッと熱くなった。形を確かめるように握られ、撫でられて、……これでは見られているのと一緒だ。
「ん、や……やだ、竜介っ……」
「嫌じゃねえのは分かってる。恥ずかしいことじゃねえさ、男なら皆同じだ」
「……で、でも……」
「ほれ」
 竜介が自分でベルトを外し、ジーンズを下ろして見せた。
「あ……」
 露出したそれは大雅の方を向き、屹立している。竜介の男の証──。もともと他人の性器なんて興味は無いのに、何故だか竜介のそれだけは触れたくて堪らない。
「見られたくねえけど、俺のは見るんだな」
「や、……違うっ……」
 シャツを脱ぎながら笑う竜介。恥ずかしくて堪らず、大雅は寝たままの恰好で顔を背けて目を伏せた。

「綺麗だぜ、大雅」
「………」
 上から見下ろす形で、竜介が全裸になった大雅を見つめている。
「お前のこの姿が大勢の目に触れるって思うと、少し妬けるな」
「え……」
「でも、今だけ俺の物だ」
 それは芝居がかった「台詞」だったが、それでも大雅は嬉しかった。体の芯に感じる喜びが涙となって体外に溢れ出てくる。
 悟られないように軽く目元を拭い、大雅は顔を背けたまま視線だけを竜介に向けた。
「……今だけ恋人なんだから、好きにしてよ。竜介」
「大雅、……」
 可愛くない言い方をしてしまったが、それは自分の本心だ。余計なことは喋らず、考える余裕すらなくなるほどに、ただもう思い切り貪られたい……
「っ──!」
 きつく唇を噛み、体を強張らせる。竜介の唇が大雅のそれに被せられるその瞬間の衝撃は、何度経験しても慣れることができないのだ。不意の熱に包まれて逃げ場のなくなった自分のそれに、竜介の舌と唾液がねっとりと絡み付いてくる──耐えられる訳がなかった。
「あっ、……、ん、ぁ……! やっ、竜介、やだ……」
 普段の自分からは考えられないほどの高い声。それだけで、本当は嫌がっていないことなど竜介にはとっくに伝わっている。
「い、や……。そこ、やだっ……」
 自然と腰が揺れてしまう。息も荒くなり、視界も潤んでしまう。
「は、ぁっ……あぁっ、……」
 拒絶の声は既に甘い喘ぎに変わっていた。竜介の頭が上下するたび、大雅の声も大きくなって行く。その究極の愛撫は大雅の理性を壊すのに充分すぎる破壊力を持っていた。
「出、る……かも。竜介、だめ……」
「ん」
「放して、竜介……」
 せり上がってくる感覚に身悶えながら訴えるも、竜介は大雅のそれを咥えたまま離さない。
「竜介っ、……!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

生意気な少年は男の遊び道具にされる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...