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ブレイズ、そこにいる5人
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「それじゃ、亜利馬くん笑ってください!」
満面の笑みを浮かべる俺と、そんな俺の頬に左右からキスをする獅琉と潤歩。背景は赤と白とピンクのバラで、それだけ見ると凄くハッピーなワンシーンといった感じだ。直前に俺と潤歩がくだらないことで言い合いをしていたなんて微塵も感じさせない。
「獅琉くん、自然な感じで後ろから亜利馬くんをギュっとできるかな」
「ラブラブ設定だ」
何度もシャッターが切られる中、背後から俺を抱きしめる獅琉と軽いキスをする。その後は潤歩が俺をお姫様抱っこして、そこでもまたキスをした。
普段着から黒いスーツに衣装チェンジし、少し大人っぽいショットも撮って行く。強引に顎を捕らえキスをする獅琉と俺。首筋に舌を這わせる潤歩と切なげに目を伏せる俺。見つめ合ったり壁ドン床ドンされたり、ふざけて尻を揉まれたり。
ブレイズメンバーとの写真撮影は大好きだ。直前に潤歩と喧嘩をしていたって、撮影後にはもう無かったことになって笑い合っている。初めは緊張して動けなくてもみんなが笑わせてくれる。一番近い距離で先輩達の表情を勉強できるし、普段は絶対に着られないような衣装を着て、いつもとは違う自分になれる。
──そうだ。俺はいつもと違う、俺以外の「俺」を演じる。
例えそれが女装であっても淫乱であっても、天使でも悪魔でも。それぞれのキャラを演じて、それぞれのセックスを魅せる。
求められ続ける限り、ずっと。
「お疲れ様! 疲れたけど楽しかったなぁ」
「なあ、飯食いに行かねえか? そろそろ大雅と竜介も撮影終わる頃だろ」
「じゃあ会議室で待ちましょうか。俺コンビニ行ってくるんで、何か欲しいのあれば買って来ますよ」
財布だけ持ってビルを出ると、頭上はまだ太陽が照っていた。もうすぐ五時になるのに、ここ最近だいぶ日が長くなってきたとはっきり分かる。俺にとって東京での初めての夏──仕事もプライベートも、楽しみで仕方がない。
「亜利馬」
「あっ、山野さん。お疲れ様です、買い物ですか?」
丁度コンビニから出てきた山野さんと鉢合わせし、慌てて頭を下げる。
「一旦休憩を入れて、煙草が切れたから買いに来ただけだ。雑誌の撮影はもう終わったのか」
「終わりました。いいの撮れたって言ってもらえましたよ! 大雅と竜介の方は、もう少しかかりそうですか?」
「後は本番の絡みが一本で終わりだな。待つのか」
「はい、三人で待ってます。夕飯食べに行こうって話になって」
山野さんが口元を弛めて笑った。
「仲が良いな、本当に──いや、良くなった、という方が合ってるか」
「え?」
「獅琉と潤歩は学生時代からの友人で、竜介と大雅はあの通りだろう。そこに新人のお前を入れるのに始めは不安もあったが……要らん心配だったようだ」
「………」
「お前の存在が四人の良い刺激になって、全体のバランスが上手く取れたんだろうと思う」
照れ臭くてつい笑ってしまった。山野さんも笑っていた。
渋谷の街を照らすのは七月の太陽。
今日も暑い夜になりそうだ。
満面の笑みを浮かべる俺と、そんな俺の頬に左右からキスをする獅琉と潤歩。背景は赤と白とピンクのバラで、それだけ見ると凄くハッピーなワンシーンといった感じだ。直前に俺と潤歩がくだらないことで言い合いをしていたなんて微塵も感じさせない。
「獅琉くん、自然な感じで後ろから亜利馬くんをギュっとできるかな」
「ラブラブ設定だ」
何度もシャッターが切られる中、背後から俺を抱きしめる獅琉と軽いキスをする。その後は潤歩が俺をお姫様抱っこして、そこでもまたキスをした。
普段着から黒いスーツに衣装チェンジし、少し大人っぽいショットも撮って行く。強引に顎を捕らえキスをする獅琉と俺。首筋に舌を這わせる潤歩と切なげに目を伏せる俺。見つめ合ったり壁ドン床ドンされたり、ふざけて尻を揉まれたり。
ブレイズメンバーとの写真撮影は大好きだ。直前に潤歩と喧嘩をしていたって、撮影後にはもう無かったことになって笑い合っている。初めは緊張して動けなくてもみんなが笑わせてくれる。一番近い距離で先輩達の表情を勉強できるし、普段は絶対に着られないような衣装を着て、いつもとは違う自分になれる。
──そうだ。俺はいつもと違う、俺以外の「俺」を演じる。
例えそれが女装であっても淫乱であっても、天使でも悪魔でも。それぞれのキャラを演じて、それぞれのセックスを魅せる。
求められ続ける限り、ずっと。
「お疲れ様! 疲れたけど楽しかったなぁ」
「なあ、飯食いに行かねえか? そろそろ大雅と竜介も撮影終わる頃だろ」
「じゃあ会議室で待ちましょうか。俺コンビニ行ってくるんで、何か欲しいのあれば買って来ますよ」
財布だけ持ってビルを出ると、頭上はまだ太陽が照っていた。もうすぐ五時になるのに、ここ最近だいぶ日が長くなってきたとはっきり分かる。俺にとって東京での初めての夏──仕事もプライベートも、楽しみで仕方がない。
「亜利馬」
「あっ、山野さん。お疲れ様です、買い物ですか?」
丁度コンビニから出てきた山野さんと鉢合わせし、慌てて頭を下げる。
「一旦休憩を入れて、煙草が切れたから買いに来ただけだ。雑誌の撮影はもう終わったのか」
「終わりました。いいの撮れたって言ってもらえましたよ! 大雅と竜介の方は、もう少しかかりそうですか?」
「後は本番の絡みが一本で終わりだな。待つのか」
「はい、三人で待ってます。夕飯食べに行こうって話になって」
山野さんが口元を弛めて笑った。
「仲が良いな、本当に──いや、良くなった、という方が合ってるか」
「え?」
「獅琉と潤歩は学生時代からの友人で、竜介と大雅はあの通りだろう。そこに新人のお前を入れるのに始めは不安もあったが……要らん心配だったようだ」
「………」
「お前の存在が四人の良い刺激になって、全体のバランスが上手く取れたんだろうと思う」
照れ臭くてつい笑ってしまった。山野さんも笑っていた。
渋谷の街を照らすのは七月の太陽。
今日も暑い夜になりそうだ。
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