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#8 男子高校生の夏休み
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「夢魔の世界って、平和なのか?」
ぼんやりとそんな質問をすると、サバラがトンネルに手を突っ込みながら「どうかな」と答えた。
「それなりに事件は起きるし、それなりに賑わってる。孤児の教育をする場所もある。俺達の住む獄界は文明も発達しているが、田舎の方はまだ貧しい暮らしをしているのもいる」
「あんまり変わらないんだな、こっちと」
サバラが苦笑し、開通したトンネルからゆっくりと手を抜く。
「炎樽くんが夢魔の世界に来たら、一分と持たずに喰われてしまうだろうね」
「えぇっ」
「俺達にとっては普通でも、人間が生きて行けるような場所じゃない。……まぁ、俺やマカロの護衛付きなら炎樽くんも観光くらいはできるかもしれないが」
「……え、遠慮しとく」
強烈な陽射しの下で鳥肌を立てながら、俺は思わず膝を抱えた。
それから泳ぎ疲れた天和が浜辺で肌を焼きながら昼寝をし、まだ体力が有り余っているマカロが砂浜の城作りに参加し、完成してからサバラに浮き輪を装着させ、沖の方から俺達の城を眺めた。
波に委ねて揺れながら、俺は頭上の太陽を見上げた。
何の変哲もない夏休み。だけどそれが楽しくて堪らない――。
「あー、焼き過ぎた。体痛てぇ」
「天和、背中真っ赤だぞ。見てるだけで痛くなってくる」
お湯を張ったバスタブに身を沈める俺と、湯船に入れず洗い場の椅子に座り込む天和。天窓から見える星たちは美しく、ここから丁度三日月も見える。
「水で冷やした方がいいんじゃないか?」
「背中洗ってくれ、炎樽」
遠慮なく言われて、俺は仕方なく湯船から出た。
後ろを向いた天和の背中にシャワーの水をかけ、手のひらに落としたボディソープをゆっくりと滑らせる。触れているだけで熱を持っていると分かる天和の背中は筋肉質で広く、男らしかった。
「ああ、気持ちいいわ」
「いらっしゃいませー、的なやつだな」
「いいな。そのまま抱き付いて、体で洗ってくれよ」
「阿呆」
背中を流し終えてからシャワーを止めると、その手を天和に握られた。
「………」
そのまま軽く引かれてバランスを崩した腰を絡め取られ、椅子に座った天和の右膝に跨る恰好になってしまう。
この状況で拒否することはできない。跨った天和の膝も熱いし、そこに触れる俺自身も灼けるように熱い……。
「……ん」
顔を寄せてきた天和に素直に目を閉じ、唇を重ねる。するとすぐに天和がもう片方の手で俺の背中を支え、より密着する形で俺達は抱き合った。
「は、あ……」
風呂場だからか小さな声も響いてしまって、恥ずかしさから天和に強くしがみついてしまう。
こんな風に好きな男と触れ合ってキスができるって、きっと素晴らしいことだ。お互いに「したい」って思うのって、多分そんなに当たり前なことじゃない。
「炎樽。後ろから抱かせろ」
「ん、……」
風呂場の熱気とお互いの体の熱が混ざり合う中、俺達は早々に息を荒くさせながら立ち上がった。
浴室の白い壁に手をつき、天和に後ろから抱きしめられる。大きな手が俺の胸の上を滑り、既に硬くなっていた乳首に触れた。
「あっ……」
「激弱い」
「う、るさい……、あっ、……」
突起を指で弾かれる度に出てしまう声が浴室の壁に反響して、俺の耳を火照らせる。尻の辺りに感じる天和の熱……意識すれば少しすつ体が疼き出してしまう。
「お、押し付けんな、あ……!」
「自分で腰動かしてんの、気付いてねえのか?」
「うそ、……あっ、やだ……」
また天和のそれが硬くなった。
「やっ、……」
一度胸元から離れたと思った天和の手が再び、今度は俺の屹立したそこに触れる。手のひらのボディソープを塗りつけるようないやらしい動きで、俺の欲望を底から押し上げるように強く、優しく、ゆっくりと上下に擦られる。
「んあぁ、……き、もち、いい……」
「はぁ、……」
天和が俺の耳で熱くなった息を吐き出した。尻に当たるそれは切ないほど硬度を増し、何だか今すぐにでも俺の中に入ろうとして躍起になっているみたいだ。
見上げた天窓の向こうに見える星は潤んでいた。
潤んでぼやけて、まるで心からの幸福に泣いているようだった。
「付けるぞ、炎樽」
「え、……なにを……?」
シャンプーやボディソープのボトルが並んでいる棚へと手を伸ばした天和が、そこに置いてあったスキンの袋を破いて俺のそこに装着させる。
「ど、どうして俺に……」
「これでいいのか分かんねえけど、お前にも取り敢えず」
そう言って天和が自身のそこにもスキンを着ける。腰を突き出すよう言われて背中を反らせると、天和の手が俺の股の間を割るようにして入ってきた。
「あ、ん……」
「夏休みの旅行なんて初めてだったけど、結構いいモンだな」
「天和、……」
「来年も再来年も、どっか行けるといいな」
少し笑っているような声で天和が囁く。そうしてあてがわれた先端が、俺の中へと少しずつ侵入し始める。
「ん、……天和。俺も、一緒に行きたい」
「早ぇよ。挿れたばかりだ」
「ちがう、って……あぁっ! もう、馬鹿、あぁ……!」
背後から密着する形で、何度も天和の腰が打ち付けられる。俺は懸命に壁についた手で体を支え、腰をくねらせてその強烈な愛撫を味わった。
立ったまま繋がるのは俺にとって少しハードルが高かったけれど、後ろから天和に抱きしめられると何だか凄く愛されている感じがして、胸が高鳴る。
「あっ、あ……好き、……だよ、天和っ……」
「……お前がそれ言う時って、マジで余裕がない時だよな。本音がポロッと出る感じ、すげえ可愛い」
「んぁっ、や、……激し、って……!」
風呂にいるのに汗が止まらなくて、どろどろに溶けて行くみたいだ。
「ああぁっ……!」
俺は後ろから添えられた天和の手に促されるまま、装着させた膜の中へと思い切り欲望を吐き出した。
ぼんやりとそんな質問をすると、サバラがトンネルに手を突っ込みながら「どうかな」と答えた。
「それなりに事件は起きるし、それなりに賑わってる。孤児の教育をする場所もある。俺達の住む獄界は文明も発達しているが、田舎の方はまだ貧しい暮らしをしているのもいる」
「あんまり変わらないんだな、こっちと」
サバラが苦笑し、開通したトンネルからゆっくりと手を抜く。
「炎樽くんが夢魔の世界に来たら、一分と持たずに喰われてしまうだろうね」
「えぇっ」
「俺達にとっては普通でも、人間が生きて行けるような場所じゃない。……まぁ、俺やマカロの護衛付きなら炎樽くんも観光くらいはできるかもしれないが」
「……え、遠慮しとく」
強烈な陽射しの下で鳥肌を立てながら、俺は思わず膝を抱えた。
それから泳ぎ疲れた天和が浜辺で肌を焼きながら昼寝をし、まだ体力が有り余っているマカロが砂浜の城作りに参加し、完成してからサバラに浮き輪を装着させ、沖の方から俺達の城を眺めた。
波に委ねて揺れながら、俺は頭上の太陽を見上げた。
何の変哲もない夏休み。だけどそれが楽しくて堪らない――。
「あー、焼き過ぎた。体痛てぇ」
「天和、背中真っ赤だぞ。見てるだけで痛くなってくる」
お湯を張ったバスタブに身を沈める俺と、湯船に入れず洗い場の椅子に座り込む天和。天窓から見える星たちは美しく、ここから丁度三日月も見える。
「水で冷やした方がいいんじゃないか?」
「背中洗ってくれ、炎樽」
遠慮なく言われて、俺は仕方なく湯船から出た。
後ろを向いた天和の背中にシャワーの水をかけ、手のひらに落としたボディソープをゆっくりと滑らせる。触れているだけで熱を持っていると分かる天和の背中は筋肉質で広く、男らしかった。
「ああ、気持ちいいわ」
「いらっしゃいませー、的なやつだな」
「いいな。そのまま抱き付いて、体で洗ってくれよ」
「阿呆」
背中を流し終えてからシャワーを止めると、その手を天和に握られた。
「………」
そのまま軽く引かれてバランスを崩した腰を絡め取られ、椅子に座った天和の右膝に跨る恰好になってしまう。
この状況で拒否することはできない。跨った天和の膝も熱いし、そこに触れる俺自身も灼けるように熱い……。
「……ん」
顔を寄せてきた天和に素直に目を閉じ、唇を重ねる。するとすぐに天和がもう片方の手で俺の背中を支え、より密着する形で俺達は抱き合った。
「は、あ……」
風呂場だからか小さな声も響いてしまって、恥ずかしさから天和に強くしがみついてしまう。
こんな風に好きな男と触れ合ってキスができるって、きっと素晴らしいことだ。お互いに「したい」って思うのって、多分そんなに当たり前なことじゃない。
「炎樽。後ろから抱かせろ」
「ん、……」
風呂場の熱気とお互いの体の熱が混ざり合う中、俺達は早々に息を荒くさせながら立ち上がった。
浴室の白い壁に手をつき、天和に後ろから抱きしめられる。大きな手が俺の胸の上を滑り、既に硬くなっていた乳首に触れた。
「あっ……」
「激弱い」
「う、るさい……、あっ、……」
突起を指で弾かれる度に出てしまう声が浴室の壁に反響して、俺の耳を火照らせる。尻の辺りに感じる天和の熱……意識すれば少しすつ体が疼き出してしまう。
「お、押し付けんな、あ……!」
「自分で腰動かしてんの、気付いてねえのか?」
「うそ、……あっ、やだ……」
また天和のそれが硬くなった。
「やっ、……」
一度胸元から離れたと思った天和の手が再び、今度は俺の屹立したそこに触れる。手のひらのボディソープを塗りつけるようないやらしい動きで、俺の欲望を底から押し上げるように強く、優しく、ゆっくりと上下に擦られる。
「んあぁ、……き、もち、いい……」
「はぁ、……」
天和が俺の耳で熱くなった息を吐き出した。尻に当たるそれは切ないほど硬度を増し、何だか今すぐにでも俺の中に入ろうとして躍起になっているみたいだ。
見上げた天窓の向こうに見える星は潤んでいた。
潤んでぼやけて、まるで心からの幸福に泣いているようだった。
「付けるぞ、炎樽」
「え、……なにを……?」
シャンプーやボディソープのボトルが並んでいる棚へと手を伸ばした天和が、そこに置いてあったスキンの袋を破いて俺のそこに装着させる。
「ど、どうして俺に……」
「これでいいのか分かんねえけど、お前にも取り敢えず」
そう言って天和が自身のそこにもスキンを着ける。腰を突き出すよう言われて背中を反らせると、天和の手が俺の股の間を割るようにして入ってきた。
「あ、ん……」
「夏休みの旅行なんて初めてだったけど、結構いいモンだな」
「天和、……」
「来年も再来年も、どっか行けるといいな」
少し笑っているような声で天和が囁く。そうしてあてがわれた先端が、俺の中へと少しずつ侵入し始める。
「ん、……天和。俺も、一緒に行きたい」
「早ぇよ。挿れたばかりだ」
「ちがう、って……あぁっ! もう、馬鹿、あぁ……!」
背後から密着する形で、何度も天和の腰が打ち付けられる。俺は懸命に壁についた手で体を支え、腰をくねらせてその強烈な愛撫を味わった。
立ったまま繋がるのは俺にとって少しハードルが高かったけれど、後ろから天和に抱きしめられると何だか凄く愛されている感じがして、胸が高鳴る。
「あっ、あ……好き、……だよ、天和っ……」
「……お前がそれ言う時って、マジで余裕がない時だよな。本音がポロッと出る感じ、すげえ可愛い」
「んぁっ、や、……激し、って……!」
風呂にいるのに汗が止まらなくて、どろどろに溶けて行くみたいだ。
「ああぁっ……!」
俺は後ろから添えられた天和の手に促されるまま、装着させた膜の中へと思い切り欲望を吐き出した。
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