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第9話 ウサギとネコのお泊まり会
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翌日。
「栄治さん、栄治さん。今日って特にお出かけしないの?」
「うーん。……せっかくだしお前らをどこか連れてってやりたいが、こんなに天気が悪いと外に出る気も失せるだろ」
「梅雨だなぁ……」
恨めしげに窓の外を眺めている華深と、雑誌を読みながらコーヒーを飲んでいる幸嶋さんと、スマホで漫画を読む俺と。それぞれが過ごす中、華深だけがつまらなそうだ。
「誰か俺の相手してー。那由太、遊んでー」
「遊ぶのは良いけど、何する? ゲームとか何もなくて……あ、アプリのゲームで対戦でもする?」
「ううん、しない」
「勝手だなぁ華深は……」
呟けば、コーヒーを飲んでいた幸嶋さんが雑誌に視線を落としたままくすくすと笑った。
「那由太の色っぽい話聞きたい」
「えっ、そんなわざわざ聞くようなことなんてないよ。昨日ちょろっと話したけど、俺まだ全然そういうことに慣れてないし」
華深がソファに転がり、俺の太腿に頭を乗せて言った。
「慣れてない初々しい話が聞きたいんだよ」
「そんなこと言われてもなぁ……」
すると今まで黙っていた幸嶋さんが、テーブルの上にコーヒーカップを置いて俺達の方へ顔を向けた。
「しかし那由太がここ最近でロストバージンしたってことは、炎珠も刹も、クラブの規則をしっかり守ってたんだな。『ペット欲しい』って長年ギラついてたから、性欲に負けてすぐに手を出すかと思っていたが」
「二人ともPdMCメンバーになれたことに誇りを持ってるみたいですよ。規則は絶対だって言ってました」
「そうか、取り敢えずは一安心だな。那由太が泣かされることにでもなってたら、俺があいつらにヤキ入れなけりゃならねえところだった」
何と恐ろしい。炎珠さんと刹がまともなご主人で良かった。
「でもご主人が二人だと、奪い合いにならない? それと、那由太のご主人への愛情は贔屓なしで半々なの?」
「奪い合いはそんなに起こらないよ。冗談でケンカみたいなことしてる時はあるけどね。だから俺も、二人とも同じくらい好きなのかも……」
そこまで言ってハッとする。
「………」
──何の躊躇もなく「好き」なんて言葉を口にしていたことに、全く気付かなかった。
「栄治さん、栄治さん。今日って特にお出かけしないの?」
「うーん。……せっかくだしお前らをどこか連れてってやりたいが、こんなに天気が悪いと外に出る気も失せるだろ」
「梅雨だなぁ……」
恨めしげに窓の外を眺めている華深と、雑誌を読みながらコーヒーを飲んでいる幸嶋さんと、スマホで漫画を読む俺と。それぞれが過ごす中、華深だけがつまらなそうだ。
「誰か俺の相手してー。那由太、遊んでー」
「遊ぶのは良いけど、何する? ゲームとか何もなくて……あ、アプリのゲームで対戦でもする?」
「ううん、しない」
「勝手だなぁ華深は……」
呟けば、コーヒーを飲んでいた幸嶋さんが雑誌に視線を落としたままくすくすと笑った。
「那由太の色っぽい話聞きたい」
「えっ、そんなわざわざ聞くようなことなんてないよ。昨日ちょろっと話したけど、俺まだ全然そういうことに慣れてないし」
華深がソファに転がり、俺の太腿に頭を乗せて言った。
「慣れてない初々しい話が聞きたいんだよ」
「そんなこと言われてもなぁ……」
すると今まで黙っていた幸嶋さんが、テーブルの上にコーヒーカップを置いて俺達の方へ顔を向けた。
「しかし那由太がここ最近でロストバージンしたってことは、炎珠も刹も、クラブの規則をしっかり守ってたんだな。『ペット欲しい』って長年ギラついてたから、性欲に負けてすぐに手を出すかと思っていたが」
「二人ともPdMCメンバーになれたことに誇りを持ってるみたいですよ。規則は絶対だって言ってました」
「そうか、取り敢えずは一安心だな。那由太が泣かされることにでもなってたら、俺があいつらにヤキ入れなけりゃならねえところだった」
何と恐ろしい。炎珠さんと刹がまともなご主人で良かった。
「でもご主人が二人だと、奪い合いにならない? それと、那由太のご主人への愛情は贔屓なしで半々なの?」
「奪い合いはそんなに起こらないよ。冗談でケンカみたいなことしてる時はあるけどね。だから俺も、二人とも同じくらい好きなのかも……」
そこまで言ってハッとする。
「………」
──何の躊躇もなく「好き」なんて言葉を口にしていたことに、全く気付かなかった。
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