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第9話 ウサギとネコのお泊まり会
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「そういう訳で、来週末は幸嶋さんと華深がお泊まりしに来てくれることになったよ。那由太、華深に会うのは二回目だけど仲良くできるかな?」
「いやできますけど、……そもそも炎珠さん達、どこに行くんですか? お仕事とか……?」
「ちょっとお呼ばれしちゃってね。刹と二人、俺の里親に」
「あ……」
炎珠さんを引き取った、お金持ちの里親。どんな人達なのかは知らないけれど、「親」に会うなら確かに俺は留守番していた方が良さそうだ。
「そんな堅苦しい感じじゃないと思うから、三日後すぐに帰って来るよ。それまで留守番お願いね、那由太」
「は、はい。分かりました」
「何かあったらこの番号に電話しろ」
刹が紙に書いた数字を、壁の目立つ所にテープで貼る。たった三日なら特に問題も起こらないだろうし、幸嶋さんと華深が来てくれるなら更に安心だ。二人にはゆっくりしてきてもらいたい。
「それじゃあ来週末は会えなくなるから、今のうちにたくさん那由太と遊ぼうっと!」
「わっ……炎珠さん、尻を揉まないで下さいっ!」
「次は俺が独り占めする番だ。お前は指咥えて見てろ」
「えー、ずるい刹」
「どっちがだ」
「喧嘩しないで下さいって……」
そうして翌週、金曜日。
「炎珠さんも刹も、気を付けていってらっしゃい。ゆっくりして来て下さいね」
「那由太も気を付けてね。幸嶋さんの言うことをよく聞くんだよ」
「浮気するなよ、にゃん太。あと、菓子を食い過ぎるな」
一緒に家の外まで見送りに来てくれた幸嶋さんと華深は、呆れた様子で俺のご主人達を眺めている。
「飛行機の時間、間に合わなくなりますよ。俺は平気ですから早く行って下さい」
「ああ、手塩に掛けた我が子と離れ離れになるって、こんな気持ちなんだね……」
「たった三日だ、我慢しろ炎珠。──じゃあな、頼んだぞ幸嶋さん」
「……おう。さっさと行けっての」
手を振りながら、心の中で溜息をつく。二人の気持ちは嬉しいけれど、やっぱりちょっと大袈裟だ。
「よし、うるさいのもいなくなったし。こっちはこっちでのんびり過ごそうぜ。──三日間よろしくな、那由太」
「す、すいません……こんなことで呼び出してしまって、ご迷惑おかけします……。華深まで付き合ってもらって……」
幸嶋さんが華深の背中を押して玄関に入れながら、豪快に笑った。
「良いってことよ。ちゃんとお前の主人達からは報酬をもらってるからな。お前のことになるとあいつら金に糸目を付けなくなるから、三日分ちゃんと仕事してやるって」
一体幸嶋さんに幾ら支払ったのだろう。聞くのも恐ろしくて、俺はごくりと唾を飲み込んだ。
「いやできますけど、……そもそも炎珠さん達、どこに行くんですか? お仕事とか……?」
「ちょっとお呼ばれしちゃってね。刹と二人、俺の里親に」
「あ……」
炎珠さんを引き取った、お金持ちの里親。どんな人達なのかは知らないけれど、「親」に会うなら確かに俺は留守番していた方が良さそうだ。
「そんな堅苦しい感じじゃないと思うから、三日後すぐに帰って来るよ。それまで留守番お願いね、那由太」
「は、はい。分かりました」
「何かあったらこの番号に電話しろ」
刹が紙に書いた数字を、壁の目立つ所にテープで貼る。たった三日なら特に問題も起こらないだろうし、幸嶋さんと華深が来てくれるなら更に安心だ。二人にはゆっくりしてきてもらいたい。
「それじゃあ来週末は会えなくなるから、今のうちにたくさん那由太と遊ぼうっと!」
「わっ……炎珠さん、尻を揉まないで下さいっ!」
「次は俺が独り占めする番だ。お前は指咥えて見てろ」
「えー、ずるい刹」
「どっちがだ」
「喧嘩しないで下さいって……」
そうして翌週、金曜日。
「炎珠さんも刹も、気を付けていってらっしゃい。ゆっくりして来て下さいね」
「那由太も気を付けてね。幸嶋さんの言うことをよく聞くんだよ」
「浮気するなよ、にゃん太。あと、菓子を食い過ぎるな」
一緒に家の外まで見送りに来てくれた幸嶋さんと華深は、呆れた様子で俺のご主人達を眺めている。
「飛行機の時間、間に合わなくなりますよ。俺は平気ですから早く行って下さい」
「ああ、手塩に掛けた我が子と離れ離れになるって、こんな気持ちなんだね……」
「たった三日だ、我慢しろ炎珠。──じゃあな、頼んだぞ幸嶋さん」
「……おう。さっさと行けっての」
手を振りながら、心の中で溜息をつく。二人の気持ちは嬉しいけれど、やっぱりちょっと大袈裟だ。
「よし、うるさいのもいなくなったし。こっちはこっちでのんびり過ごそうぜ。──三日間よろしくな、那由太」
「す、すいません……こんなことで呼び出してしまって、ご迷惑おかけします……。華深まで付き合ってもらって……」
幸嶋さんが華深の背中を押して玄関に入れながら、豪快に笑った。
「良いってことよ。ちゃんとお前の主人達からは報酬をもらってるからな。お前のことになるとあいつら金に糸目を付けなくなるから、三日分ちゃんと仕事してやるって」
一体幸嶋さんに幾ら支払ったのだろう。聞くのも恐ろしくて、俺はごくりと唾を飲み込んだ。
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