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sunny day

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「ベンガルトラって、トラの中でもかなりでかい方なんだよな。デザインもかっこいいし、食物連鎖の頂点だし」
 何気ない蒼汰の呟きに、俺も呟きで返す。
「へえ……ライオンより強いんだろうか」
「場合によるけど、かなり強いだろうな。ジャングルなら負けなし。サバンナではどうだろ」
「蒼汰って動物に詳しかったりする?」
「全然。テレビで見たぐらい」
 俺達の間で、武虎は跳ねたり手を振ったりと大忙しだ。何とかトラの気を惹こうとしているが、当然ながら全て無視されている。
「蒼汰先生。どうすれば起きてくれる?」
   ついに万策尽きた武虎が、頼みの綱である蒼汰の袖を引っ張った。
「諦めろって。武虎も眠い時に無理矢理起こされるの嫌だろ?」
 言ったのは俺だ。「そうだけど」と俯いた武虎の頭に、蒼汰が軽く手を置いて笑う。
「まあ、大丈夫だ。もう少ししたら起きるって」
「ほんとに?」
「絶対」
 いやに自信ありげな蒼汰。適当なことを言っているのかと思ったら、蒼汰が武虎に気付かれないよう俺に目配せしてきた。
「……ん」
 視線の先には、さっき俺が見たベンガルトラの名前などが描かれている看板。体重や特徴などの説明の下には、こんな素っ気ない一文が添えられていた。
 おやつタイム・三時。──もうすぐだ。
「なるほど」
 俺も楽しみになってきて、武虎と二人、手摺りに齧り付くようにしてその時を待った。
「つばさ、本当にタイガ、起きるかな?」
「起きる、起きる」
 その証拠に、時間が近付くにつれて檻の向こうの二頭がそわそわとしだした。
「ほら、起きた」
「本当だ!」
 そうこうしているうちに飼育員がやって来て、最前列にいた俺達に、というよりも武虎や他の子供達に、優しく笑いながら言った。
「トラにおやつをあげてみたいですか?」
「はいっ、おれやります!」
 真っ先に武虎が手を挙げ、他の子供達もそれに釣られてハイハイハイと手を挙げる。どさくさに紛れて俺と蒼汰も挙手し、どうにか餌やり権をゲットすることができた。と言っても子供優先のためか、俺と蒼汰は二人で一回、という括りだ。
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