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ぜんぶ初めての夜

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 体に触れていた蒼汰のそれが、俺の訴えにビクリと反応する。なのに蒼汰は少し困ったような笑みで、俺の顔を真上から覗き込んできた。
「痛いかもしれねえぞ?」
「それでも、い……」
 抜いた指の代わりに再びあてがわれた蒼汰のそれは、さっきよりも硬くなっている。硬くて、熱くて、まるで同じ男と思えないくらいに雄々しくて、……
「んっ、あ……!」
「力入れるな、楽にしろ」
「い、たぃ……より、……苦し……」
 圧迫される息苦しさと体の中に異物が入ってくる恐怖。俺は喘ぎながら涙を拭い、必死に体の力を抜こうとして無様な深呼吸を繰り返した。
 蒼汰が目元を拭う俺の手を引き剥がし、そっと甲にキスをする。
「翼、力抜け。力抜いて俺の顔を見ろ」
「あ、……」
 潤んだ目で見上げた先には、蒼汰の穏やかな笑みがあった。それは武虎や子供達に向けられていた、あの頼もしくて優しげな笑みだ。
「初めて自分を抱く相手の顔はちゃんと見ておくモンだろ」
「蒼汰……。あっ……」
「……翼」
 ベッドに肘をついた蒼汰が、至近距離で俺を見つめている。そうしながらゆっくりと腰を動かし、俺の中を緩やかに出入りしている。痛みが少ないのは先端までしか入っていないからだ。だけどそれが蒼汰の気遣いであることに気付くほどの余裕が、今の俺にはなかった。
「んあっ、あぁ、……やっ、あ」
「もう少し挿れるぞ」
「んっ──」
 蒼汰の腰に力が入り、俺の体にも緊張が走る。蒼汰の腕を掴んだ指が肌に食い込み、蒼汰の眉間に皺が寄る。
「は、ぁっ……!」
 多分この瞬間、俺と蒼汰は体と体で深く繋がったんだ。
 俺は生まれて初めて、誰かとセックスをしたんだ──。
「う、あ……。やば……」
「な、何がやばいの……? あっ、うあ……」
「翼の中で、さ。先走りが止まんねえ。熱いし、キツ……」
 その言葉に俺はもっと熱くなり、もっときつく蒼汰を締め付けてしまう。そうすれば蒼汰が更に苦悶の表情を浮かべ、俺を強く抱きしめて荒い呼吸を繰り返した。
「翼、……翼っ……」
 何度も腰を打ち付けながら、蒼汰が苦しそうに俺の名前を呼ぶ。俺は全身で蒼汰にしがみつき、深い繋がりを体中で味わった。気持ち良い、よりは心地好い。まだ、それが快楽なのかは分からない。
「あっ、あぁ……蒼汰、……あぁ、っん……!」
「堪んねえ、……翼。辛くねえか」
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