32 / 59
ぜんぶ初めての夜
2
しおりを挟む
「金曜の夜は母親の常連が家に来るから、俺は五百円玉だけ持たされて、ファミレスで何時間も時間潰してよ。つい早く帰っちゃった時なんかは、押入れで寝たっけな。母親との思い出は殆どねえけど、これだけは覚えてるんだ。あの頃の俺は何よりも金曜日が嫌いだったわ」
「……蒼汰」
「でも今は金曜が一番好きだぜ。武虎にも会えるし、翼とも会える」
ずるい奴だ。そんな話をされたら、湯船の中で腰に回された腕を振り払うことができなくなるじゃないか。
「翼、いい匂いがするな」
うなじに蒼汰の息がかかる。
「泡の匂いだろ……」
「こっち向けよ」
視界が涙で潤んでいるのは、恥ずかしさと、余裕がないのと、緊張と期待のせいだ。
振り向くまでもなく蒼汰の手が俺の顎を捉え、ぐるりと後ろを向かされた。
「あ……」
前髪の先から滴る雫。湯気に濡れた瞳。熱い息遣い、……鼓動。
動揺する俺を見て可笑しそうに唇を弛めながら、蒼汰がゆっくりと距離を縮めてきた。
「蒼、……」
触れた唇は温かかった。差し込まれた舌は更に熱く、濡れていた。頭の芯まで蕩かすような蒼汰の舌と唇は、俺の体をも熱くさせてゆく。
「ん、う……。んあ、蒼汰、……」
声が漏れてしまうのは、蒼汰の手が後ろから俺を弄るせいだ。狭いバスタブの中では逃げ場なんてどこにもない。
それでも蒼汰はまるで俺を逃がさまいとするかのように、腹と胸をしっかりと押さえ込んでいる。泡で見えないお湯の中、その手はどこか卑猥な動きでますます俺を熱くさせた。
「乳首、固くなってる」
「さ、触るから、ぁ……」
唾液の糸を引いて離れた唇。蒼汰は俺の首筋から肩へと舌を這わせながら、執拗に胸元と下腹部の辺りを撫で回している。恥ずかしいのに心地好く、初めての経験なのに気持ちが昂ぶって止まらない。
「ん、く、……あぁっ」
うなじを舐め上げられた瞬間、自分でも驚くほど体がビクついた。蒼汰の舌と息は燃えるように熱いのに、どうしてこんなに震えてしまうのだろう。
「……蒼汰」
「でも今は金曜が一番好きだぜ。武虎にも会えるし、翼とも会える」
ずるい奴だ。そんな話をされたら、湯船の中で腰に回された腕を振り払うことができなくなるじゃないか。
「翼、いい匂いがするな」
うなじに蒼汰の息がかかる。
「泡の匂いだろ……」
「こっち向けよ」
視界が涙で潤んでいるのは、恥ずかしさと、余裕がないのと、緊張と期待のせいだ。
振り向くまでもなく蒼汰の手が俺の顎を捉え、ぐるりと後ろを向かされた。
「あ……」
前髪の先から滴る雫。湯気に濡れた瞳。熱い息遣い、……鼓動。
動揺する俺を見て可笑しそうに唇を弛めながら、蒼汰がゆっくりと距離を縮めてきた。
「蒼、……」
触れた唇は温かかった。差し込まれた舌は更に熱く、濡れていた。頭の芯まで蕩かすような蒼汰の舌と唇は、俺の体をも熱くさせてゆく。
「ん、う……。んあ、蒼汰、……」
声が漏れてしまうのは、蒼汰の手が後ろから俺を弄るせいだ。狭いバスタブの中では逃げ場なんてどこにもない。
それでも蒼汰はまるで俺を逃がさまいとするかのように、腹と胸をしっかりと押さえ込んでいる。泡で見えないお湯の中、その手はどこか卑猥な動きでますます俺を熱くさせた。
「乳首、固くなってる」
「さ、触るから、ぁ……」
唾液の糸を引いて離れた唇。蒼汰は俺の首筋から肩へと舌を這わせながら、執拗に胸元と下腹部の辺りを撫で回している。恥ずかしいのに心地好く、初めての経験なのに気持ちが昂ぶって止まらない。
「ん、く、……あぁっ」
うなじを舐め上げられた瞬間、自分でも驚くほど体がビクついた。蒼汰の舌と息は燃えるように熱いのに、どうしてこんなに震えてしまうのだろう。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる