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日、月、暇なし

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 月曜日の朝は時間との戦いだ。

 六時、朝食を作るついでに弁当箱に炊き立ての白飯を詰める。昨夜夕飯で出した鮭が残っていたからそれを入れて、ポテトサラダと唐揚げを適当に詰め込む。味噌汁の味見をして問題がないのを確認し、それを保温機能付きの水筒に注ぐ。
「おはよう翼、今朝は目玉焼きトーストか。美味そうだ」
「おはよう父さん。昨日はごめん」
「まだ打ったところが痛いよ」
 父さんは昨夜、武虎のミイラ姿に腰を抜かして本当に転んでしまったのだ。体格に似合わず幽霊モノが苦手で、心臓が止まるかと思うほど驚いたらしい。
「味噌汁まだあるから飲む? パンには合わないかもだけど」
「飲む、飲む。今朝は寒いから温かいものなら何でもいい」
「何か急に冷えてきたな。昨日はまだ暖かかったのに」
 父さんと一緒に朝食を済ませ、少し休憩してから今度は武虎の朝食作りに取り掛かる。昨日買っておいたウィンナーの袋を開けてフライパンに並べ、耳を切った食パンにピーナツバターを塗ってサンドイッチを作った。それとは別にもう一つ、これにはハムと卵を挟んだ。
「何だ、父さんもサンドイッチが良かったぞ。武虎ばっかりいいな」
「子供みたいなこと言うなよ」
 七時、父さんを見送ってから、今度は二階に上がって武虎の部屋をノックした。当然、返事はない。
「起きろ武虎。学校だぞ」
「んん……」
 布団に包まって呻る武虎の肩を軽く揺すり、カーテンを開ける。太陽の光がいっぱいに注がれるが、外はやはり寒そうだ。
「朝だぞ。顔洗って歯磨かないと」
「あと五分だけ……眠いから、少しだけ」
「武虎。昨日、父さんがびっくりして転んでたな」
「……ふふ」
 目を閉じてもしっかり笑っている。その勢いで武虎の体をグッと抱き上げ、布団の上に立たせた。
「おはようつばさ。ロンメル、イスに座らせて」
「はいよ」
 毎晩一緒に寝ているトラのぬいぐるみを武虎の椅子に座らせ、部屋を出た武虎が洗面所へ向かったのを見届けてから、俺は一階に降りて再び台所に立った。
「歯磨いた。お腹空いた」
「サンドイッチとウィンナーがあるから、食べろ」
 椅子に座って牛乳に口をつける武虎の横で、今日学校へ持って行かせる体操着を畳む。紅白帽が見つからず洗濯物の山を探っていると、武虎が背後から「つばさ」と俺を呼んだ。
「どうした?」
「サンドイッチ美味しい。たくさん食べる」
「うん、足りなかったら作るから言え」
 手元に視線を戻して紅白帽を見つけ、体操着と一緒に袋の中に入れる。袋の名札が取れかかっているのに気付いたが今はどうすることもできず、そのままランドセルのフックにかける。
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