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亜利馬、恋愛について少し考える
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共働きだから掃除洗濯も交代で行ない、朝と夕は一緒にご飯を食べて、休日はのんびりと二人で過ごして、お互いの給料から毎月少しずつ貯金をして、いつか一軒家を建てるのが二人の夢だという。ちなみにお互い家族には紹介済みだ。
「めちゃくちゃ理想的なカップルじゃないですか! 憧れます、そういうの」
「二人ともノンケだったら絶対『良い旦那さん』になってるよ。そんな旦那さん同士が一緒にいるんだから、上手く行くのは当然だよね!」
腕組みをして鼻高々の庵治さん。雄二さんは照れ臭そうに笑って、ほっぺたをかいている。
「……ちなみに、夜の方とかも聞いちゃっていいんですか?」
「僕達はお互いリバだからどっちも楽しんでるよ。今日は僕がタチ、明日はゆうちゃんがタチ、みたいな感じ。一晩で両方やる時もあるしね。ちなみに今日は僕がウケ!」
「……お、おーちゃん……」
爆発しそうなほど赤くなってしまう雄二さん。その横では俺も真っ赤になっていた。
「で、でもそれだと、お互いに『今日はコッチがいい』ってぶつかることもあるんじゃないですか?」
「その時は二回ヤるけど、疲れてる時とか朝早い時はバトルだよね。こう見えてもゆうちゃんて、タチの時は猛獣みたいにめちゃくちゃ激しいからさ。バトルになると力でねじ伏せられて、結局僕が抱かれちゃうんだ。まあ、途中から気持ち良くてタチウケどうでも良くなっちゃうからいいんだけどね」
「……あ、亜利馬くん。この話はこの辺で……」
一旦休憩を挟み、その後は二人を囃し立ててキスさせたり、お互いの良いところ直してほしいところを言い合ったり、撮影は順調に進んでエンディングを迎えた。
「そんなわけで、インヘルで働くゲイカップルの第一号は僕とゆうちゃんでした」
「ご視聴ありがとうございました!」
「またねー!」
*
あの二人にあてられたせいか、俺は会議室で一人弁当を食べながらぼんやりと「恋人」について考えていた。
いつかは俺にも現れるかもしれない、運命の恋人。今のところそんな気配は全くないけど、もしもその時がきたら俺はどうするんだろう。
AVやってる、またはやってた過去を、そのまま受け入れてもらえたら嬉しいけれど、なかなかそうはいかないだろうなと思う。……だとしたら、同じモデル仲間だろうか?
「うーん……」
ブレイズの皆は家族だ。俺に恋人ができたとしたら、まずはブレイズの皆に紹介したいと思っている。獅琉は喜びそうだけど、潤歩は娘に彼氏ができた時の父親みたいな態度を取りそうだ。大雅は人見知りだから始めは無言だろうし、竜介はいつも通り笑って歓迎してくれるだろう。
……でもそんなことになったら、こないだみたいな「企画の練習」は浮気になる。というかAVに出ること自体が浮気になる? でも仕事だし……でもセックスだし。
「難しいなぁ。まあでも、好きな人もできそうにないし……それに、今は誰とも付き合うつもりないもんな。仕事の方が楽しいし……」
こういう時、俺と同い年の大雅はどう思っているんだろうと気になってしまう。竜介と今後付き合うことになったら、モデルの仕事はどうするんだろうか。
だけど大雅の場合は少し俺とは違うというか、撮影で竜介が他のモデルを抱いても全く気にしていないと言っていた。そこに竜介の気持ちがないからだ。大雅は仕事と日常を完全に分けて見ることができている。こないだの企画の練習だって、大雅にとっては仕事の延長なのだ。
大雅と竜介に上手くいって欲しいと思う反面、それでブレイズのバランスが崩れたら少し怖いなという気持ちもある。あの二人のことだから、例えそうなっても今まで通りにやりそうだけど……もしも二人でモデルを辞めるとなった場合、俺達も気持ち良く送り出してあげなければならない。それが家族ってものだ。
「ずっと五人一緒に、今の関係でいられたらいいのにな……」
モデルを引退しても、五人別々の仕事をすることになっても、一緒にいられたら。
「……って、ずっと竜介さんちに居座るわけにはいかないか」
だけど、ちょっと素敵だなと思う。
「めちゃくちゃ理想的なカップルじゃないですか! 憧れます、そういうの」
「二人ともノンケだったら絶対『良い旦那さん』になってるよ。そんな旦那さん同士が一緒にいるんだから、上手く行くのは当然だよね!」
腕組みをして鼻高々の庵治さん。雄二さんは照れ臭そうに笑って、ほっぺたをかいている。
「……ちなみに、夜の方とかも聞いちゃっていいんですか?」
「僕達はお互いリバだからどっちも楽しんでるよ。今日は僕がタチ、明日はゆうちゃんがタチ、みたいな感じ。一晩で両方やる時もあるしね。ちなみに今日は僕がウケ!」
「……お、おーちゃん……」
爆発しそうなほど赤くなってしまう雄二さん。その横では俺も真っ赤になっていた。
「で、でもそれだと、お互いに『今日はコッチがいい』ってぶつかることもあるんじゃないですか?」
「その時は二回ヤるけど、疲れてる時とか朝早い時はバトルだよね。こう見えてもゆうちゃんて、タチの時は猛獣みたいにめちゃくちゃ激しいからさ。バトルになると力でねじ伏せられて、結局僕が抱かれちゃうんだ。まあ、途中から気持ち良くてタチウケどうでも良くなっちゃうからいいんだけどね」
「……あ、亜利馬くん。この話はこの辺で……」
一旦休憩を挟み、その後は二人を囃し立ててキスさせたり、お互いの良いところ直してほしいところを言い合ったり、撮影は順調に進んでエンディングを迎えた。
「そんなわけで、インヘルで働くゲイカップルの第一号は僕とゆうちゃんでした」
「ご視聴ありがとうございました!」
「またねー!」
*
あの二人にあてられたせいか、俺は会議室で一人弁当を食べながらぼんやりと「恋人」について考えていた。
いつかは俺にも現れるかもしれない、運命の恋人。今のところそんな気配は全くないけど、もしもその時がきたら俺はどうするんだろう。
AVやってる、またはやってた過去を、そのまま受け入れてもらえたら嬉しいけれど、なかなかそうはいかないだろうなと思う。……だとしたら、同じモデル仲間だろうか?
「うーん……」
ブレイズの皆は家族だ。俺に恋人ができたとしたら、まずはブレイズの皆に紹介したいと思っている。獅琉は喜びそうだけど、潤歩は娘に彼氏ができた時の父親みたいな態度を取りそうだ。大雅は人見知りだから始めは無言だろうし、竜介はいつも通り笑って歓迎してくれるだろう。
……でもそんなことになったら、こないだみたいな「企画の練習」は浮気になる。というかAVに出ること自体が浮気になる? でも仕事だし……でもセックスだし。
「難しいなぁ。まあでも、好きな人もできそうにないし……それに、今は誰とも付き合うつもりないもんな。仕事の方が楽しいし……」
こういう時、俺と同い年の大雅はどう思っているんだろうと気になってしまう。竜介と今後付き合うことになったら、モデルの仕事はどうするんだろうか。
だけど大雅の場合は少し俺とは違うというか、撮影で竜介が他のモデルを抱いても全く気にしていないと言っていた。そこに竜介の気持ちがないからだ。大雅は仕事と日常を完全に分けて見ることができている。こないだの企画の練習だって、大雅にとっては仕事の延長なのだ。
大雅と竜介に上手くいって欲しいと思う反面、それでブレイズのバランスが崩れたら少し怖いなという気持ちもある。あの二人のことだから、例えそうなっても今まで通りにやりそうだけど……もしも二人でモデルを辞めるとなった場合、俺達も気持ち良く送り出してあげなければならない。それが家族ってものだ。
「ずっと五人一緒に、今の関係でいられたらいいのにな……」
モデルを引退しても、五人別々の仕事をすることになっても、一緒にいられたら。
「……って、ずっと竜介さんちに居座るわけにはいかないか」
だけど、ちょっと素敵だなと思う。
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