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ブレイズ、夢とエロスの強化合宿
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しおりを挟む大歓迎以外の何物でもない。
そう言って、竜介が自宅を「合宿場所」として提供してくれた。六本木の一戸建て、デカい庭とプール付き。恋人もパートナーもいない竜介は、この家で二匹の猫と暮らしている。何度か皆で遊びにきたことはあるものの、その度に感嘆の溜息をつくほど竜介の家は美しく立派だった。
「暑っちぃ……早く中入れてくれ」
「竜介、来たよー!」
「シロ! クロ!」
玄関で荷物を置いて両手を広げると、早速二匹の可愛い「竜介の嫁と娘」が出迎えてくれた。元は保護猫である白毛のシロと、シロよりまだ少し小さい黒毛のクロ。しなやかで美しい体を俺の足に擦り寄せて、甘えるような声で鳴いている。初めは警戒して姿を見せてくれなかったクロも、何度か通ううちにようやく慣れてくれたのだ。
「ああぁもう、愛おしいんだ……」
二匹の柔らかい腹の毛を撫でていると、後ろから潤歩に尻を蹴られた。
「早よ中に入れ。後がつかえてる」
「あ、すみません……」
慌てて靴を脱いで框に上がると、今度は潤歩がその場に屈んで「おいお前ら! 元気なのか!」と二匹を撫で始めた。
「竜介、ありがとう。しばらくお邪魔しちゃうけど家事とか手伝うからね。皆でお金も出すし!」
「構わないさ。一人で持て余してるからお前達が来てくれるのは逆に助かるよ」
獅琉と竜介が大人の挨拶をしている間も、俺は潤歩と一緒に猫達とじゃれていた。最後に現れた大雅が手ぶらなのは、生活に必要な物は日頃から竜介の家に置いてあるためだ。
「暑かっただろ、取り敢えずリビングで冷たい物でも飲んでくれ」
エアコンの効いた広い部屋で各々ソファやクッションの上に座り、竜介が出してくれたジンジャーエールの瓶を呷る。七月中旬──三十度超えのうだるような暑さに火照った体が中から冷やされて行く感覚が気持ち良くて、思わず溜息が出た。
「んまい!」
冷えたジンジャーエールをごくごく飲む潤歩と、「じゃあ先に昼食の準備するね」と立ち上がった獅琉と、クッションを抱えて寝転がる大雅と、「手伝おう」と獅琉の後を追った竜介と──。
最高の夏のひと時だ。このままずっとこうしていたい。
「って、違うんだ。俺達は合宿をしに来たんだ」
「……亜利馬、コンビニでお菓子買ってたでしょ。出して」
「おっ。いいね大雅、早速いっちゃう?」
コンビニ袋から大好きなスナック菓子「メルティチーズ」を取り出して、覚えたてのスナックボウル開けでテーブルの上に乗せる。起き上がった大雅が一気に四、五枚取って口に運び、潤歩が更に五、六枚取ってバリバリと食べ始めた。
「おいしい」
「うまっ」
「これ本当に俺のお勧めなんです。量も多いし幾らでも食べれます」
三人でスナックを食べながら、俺はハタと気付いて頭を振った。──せっかくの合宿なのに、先輩に昼飯を作らせておきながら早速だらけてどうする。
「俺、昼飯の準備手伝ってくる。……大雅も潤歩さんも、それ全部食べないでくださいよ。俺の分も残しといてくださいよ」
「アー、ハイハイ」
潤歩にめちゃくちゃ適当な返事をされて不安になったが、俺は立ち上がってキッチンの獅琉と竜介の元へと向かった。
「俺も手伝います、獅琉さん」
「ほんと? じゃあ亜利馬はレタスを一口大にカットして、他の野菜と一緒にお皿に盛りつけてくれる?」
獅琉は慣れた手付きでフライパンに卵を落とし、竜介はカウンターキッチンに乗せたまな板でタマネギをみじん切りにしている。男三人でウロウロしてもスペースにはまだ余裕がある。こうしているとまるで「ブレイズキッチン」って感じだ。
「料理動画もいいかもね」
「食べ物はやっぱ、一定の需要がありますから!」
「はっはっは、そしたら亜利馬は裸エプロンだな」
「や、やです!」
言いながら竜介と獅琉の裸エプロン姿を想像してしまい、久々に鼻血が出そうになった。こんな調子じゃ例え動画を撮ったとしてもすぐにお蔵入りだ。
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