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亜利馬、VSフリーズの「リーダー」
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「ああ、夕兎くんのDVDなら俺の所にも届いてたよ」
「えっ、獅琉さんの所にも?」
翌日。動画の打ち合わせが終わってからそのまま五人で話していると、意外な事実が判明した。昨日のDVDの件をそれとなく言ったら、獅琉にも同じDVDが届いていたと言うのだ。獅琉だけじゃない。大雅も、潤歩も、同じ「姦淫煉獄」が届いていたらしい。
「俺の所には来なかったぞ」
竜介が言うと、獅琉が少し考えてから「そっか」と目を丸くさせた。
「竜介は寮にいないからじゃない? 単純に、住所が分からなかっただけだよ」
「じゃああのDVDは、間違いなくアイツが送り付けてきたってことか」
潤歩が眉間に皺を寄せる。
「挑戦状のつもりか。ナメやがって」
「潤歩も見たの?」
「見るかボケ! 開封すらしてねえっての!」
「見た人、手あげて」
「………」
潤歩と竜介以外の三人が手をあげたのに、なぜか俺だけ「裏切り者が」と潤歩に頭をはたかれた。
「で、でも。実際見てみて、ちょっと凄いなって思いました。メインレーベルとはまた違うノリなんだなぁって……」
「あの人の演技も上手かった」
大雅が呟いて、獅琉が頷く。
「これはアレだね。ブレイズへの挑戦状だね」
「さっき俺が言ったっつうの!」
「うかうかしてたらフリーズに喰われちゃうかもしれないね。俺達ももっと良い作品作らないと、本当に人気持ってかれちゃうよ」
腕組みをして言いながら、獅琉は何だか楽しそうだ。お祭りみたいなものだと思っているらしい。
「そんなに良いVなら、俺も見てみてえなぁ」
「……竜介。今日、俺の貸すよ」
「おう、頼んだ大雅。で、抜けたのか?」
「………」
四人の視線が、一斉に俺に向けられた。
「な、何で俺を見るんですか……」
「亜利馬が一番、素直に反応するからさ。どうだった? 俺はもちろん良かったけど、昨日は遅くなったから抜く前に疲れて寝ちゃったんだよね」
「………」
「どうだったの、亜利馬」
「言えよ」
「ああ、気になるな」
「亜利馬」
会議室の時計の音さえも俺を急かしているようだ。
「ご、ごめんなさい……三分で発射しました」
「……カップラーメンかてめぇはっ! 相手の術中にハマってんじゃねえっ!」
潤歩の唾がもろに飛んでくる中、俺は縮こまって「でもでも」と言い訳した。
「本当にそれくらい、完成度が高かったんです。俺の時の拘束はただエロいだけでしたけど、夕兎さんの緊縛は何というか、芸術性のあるエロっていうか」
「様式美って感じだったよね」
「それです、獅琉さん。様式美!」
頷いて、獅琉が俺達の顔をまじまじと見つめた。
「イケメンに様式美出されちゃうと、太刀打ちするのが難しいんだよねぇ……。この中で一番緊縛が似合うのって言ったら、……やっぱ亜利馬かなぁ」
「な、何でですか! 俺より……えっと、そうだ、大雅の方が似合いますよっ。この絶世の美男子が縛られて薔薇で甚振られてるところ、想像してみてください!」
言いながら俺が興奮してしまいそうだ。なのに四人は冷めた目で俺を見つめるばかりで、全然同意してくれない。
「大雅は確かに絵になるけど、どっちかって言うと甚振る方だもんね」
「じゃ、じゃあ竜介さんが……。この筋肉質な体が縛られて、なおかつ大雅が攻めるっていうのはどうですか?」
「俺は構わないが、……」
「……俺は無理」
俺の即興設定を想像したのか、大雅の顔は真っ赤になっていた。
「取り敢えずさぁ。企画を考えるのは俺達じゃないけど、良い案があったら山野さんとか二階堂さんに、コソッと相談してみても良いかもね。前に亜利馬の逆ソープ企画が通ったこともあったし」
「あ、あれは俺が案を出したんじゃないですよっ。あくまでも『恥ずかしいことでもチャレンジします』って言っただけです」
「だから、さ。俺達も新しいことにチャレンジしたい、って意思表示をすればいいんだよ。コスプレでもシチュエーションでもドラマでも、色々やれることはあるじゃん!」
楽しくて堪らないといった表情の獅琉。彼はもう、こうなったら誰にも止めることができない。
「失礼します」
ふいに、会議室のドアがノックされた。
「えっ、獅琉さんの所にも?」
翌日。動画の打ち合わせが終わってからそのまま五人で話していると、意外な事実が判明した。昨日のDVDの件をそれとなく言ったら、獅琉にも同じDVDが届いていたと言うのだ。獅琉だけじゃない。大雅も、潤歩も、同じ「姦淫煉獄」が届いていたらしい。
「俺の所には来なかったぞ」
竜介が言うと、獅琉が少し考えてから「そっか」と目を丸くさせた。
「竜介は寮にいないからじゃない? 単純に、住所が分からなかっただけだよ」
「じゃああのDVDは、間違いなくアイツが送り付けてきたってことか」
潤歩が眉間に皺を寄せる。
「挑戦状のつもりか。ナメやがって」
「潤歩も見たの?」
「見るかボケ! 開封すらしてねえっての!」
「見た人、手あげて」
「………」
潤歩と竜介以外の三人が手をあげたのに、なぜか俺だけ「裏切り者が」と潤歩に頭をはたかれた。
「で、でも。実際見てみて、ちょっと凄いなって思いました。メインレーベルとはまた違うノリなんだなぁって……」
「あの人の演技も上手かった」
大雅が呟いて、獅琉が頷く。
「これはアレだね。ブレイズへの挑戦状だね」
「さっき俺が言ったっつうの!」
「うかうかしてたらフリーズに喰われちゃうかもしれないね。俺達ももっと良い作品作らないと、本当に人気持ってかれちゃうよ」
腕組みをして言いながら、獅琉は何だか楽しそうだ。お祭りみたいなものだと思っているらしい。
「そんなに良いVなら、俺も見てみてえなぁ」
「……竜介。今日、俺の貸すよ」
「おう、頼んだ大雅。で、抜けたのか?」
「………」
四人の視線が、一斉に俺に向けられた。
「な、何で俺を見るんですか……」
「亜利馬が一番、素直に反応するからさ。どうだった? 俺はもちろん良かったけど、昨日は遅くなったから抜く前に疲れて寝ちゃったんだよね」
「………」
「どうだったの、亜利馬」
「言えよ」
「ああ、気になるな」
「亜利馬」
会議室の時計の音さえも俺を急かしているようだ。
「ご、ごめんなさい……三分で発射しました」
「……カップラーメンかてめぇはっ! 相手の術中にハマってんじゃねえっ!」
潤歩の唾がもろに飛んでくる中、俺は縮こまって「でもでも」と言い訳した。
「本当にそれくらい、完成度が高かったんです。俺の時の拘束はただエロいだけでしたけど、夕兎さんの緊縛は何というか、芸術性のあるエロっていうか」
「様式美って感じだったよね」
「それです、獅琉さん。様式美!」
頷いて、獅琉が俺達の顔をまじまじと見つめた。
「イケメンに様式美出されちゃうと、太刀打ちするのが難しいんだよねぇ……。この中で一番緊縛が似合うのって言ったら、……やっぱ亜利馬かなぁ」
「な、何でですか! 俺より……えっと、そうだ、大雅の方が似合いますよっ。この絶世の美男子が縛られて薔薇で甚振られてるところ、想像してみてください!」
言いながら俺が興奮してしまいそうだ。なのに四人は冷めた目で俺を見つめるばかりで、全然同意してくれない。
「大雅は確かに絵になるけど、どっちかって言うと甚振る方だもんね」
「じゃ、じゃあ竜介さんが……。この筋肉質な体が縛られて、なおかつ大雅が攻めるっていうのはどうですか?」
「俺は構わないが、……」
「……俺は無理」
俺の即興設定を想像したのか、大雅の顔は真っ赤になっていた。
「取り敢えずさぁ。企画を考えるのは俺達じゃないけど、良い案があったら山野さんとか二階堂さんに、コソッと相談してみても良いかもね。前に亜利馬の逆ソープ企画が通ったこともあったし」
「あ、あれは俺が案を出したんじゃないですよっ。あくまでも『恥ずかしいことでもチャレンジします』って言っただけです」
「だから、さ。俺達も新しいことにチャレンジしたい、って意思表示をすればいいんだよ。コスプレでもシチュエーションでもドラマでも、色々やれることはあるじゃん!」
楽しくて堪らないといった表情の獅琉。彼はもう、こうなったら誰にも止めることができない。
「失礼します」
ふいに、会議室のドアがノックされた。
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