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第19話 スプラッシュ!!
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緊張で心臓が落ち着かなくても、頼寿に触れられると夢心地のとろとろ状態になる。最近は普通のセックスをしていなかったから、余計にだ。
「んふ」
頬を撫でられて、心地好さからつい変な声が出てしまった。頼寿はそんな俺を笑うでもなく、ただ焦らすように俺の頬を愛撫している。
頼寿は分かってるんだ。俺が興奮していることも、もっと触って欲しいと思っていることも。だって俺をそんな気にさせるために触っているんだから。
「楽しみだな、今夜」
「プ、プール……?」
「それもそうだが、お前とセックスするのも久しぶりだろ。この体に何日触れてねえと思ってる」
はあぁ、そんなこと言われると期待してしまう。
俺はベッドに寝たまま、頼寿の手を掴んで唇を噛み締めた。こんな仕草だけで「今」触れて欲しいと俺が思っていることも、頼寿なら察してくれる。
だけど頼寿はそれ以上俺に触れることはせず、二、三度もう片方の手で俺の頭を撫でてからベッドを離れてしまった。
それもこれも、今夜のステージで俺を本気にさせるためだ。
──お前がそう出るなら、俺だって。
「なあ、頼寿もセックスしたいって思ってる?」
ベッドから起き上がって問いかけると、頼寿が冷蔵庫にあった水のボトルを取り出し、キャップを外しながら言った。
「砂糖水で浮きながら、ってのは俺も初めてだからな。体中がベトベトになるだろうが、興味はある」
「ステージのことじゃなくて、単純にセックスの話」
「やりてえも何も、するだろ」
俺の言いたいことが伝わらなくて、何だかこっちが恥ずかしくなってくる。エロい癖にこういう時だけ悪気のないかっこつけみたいなキャラになるんだ、全くこの男は。
「そうじゃなく!」
ベッドを降りて、頼寿の前へと移動する。
「何をキレてんだ」
「キレてはないけど……なあ、俺のこと抱きたいって思ってないのかよ?」
「すげえ発言だな。自分に自信のある奴が言う台詞だ」
「こ、この意地悪バカ地獄!」
「その悪口はセンスねえな」
頼寿のこれは俺をからかっているのではなく、限りなく天然に近いものだ。元々俺ごときが頼寿相手にエロい駆け引きなんてできるはずもないのだから、……回りくどいのはもう諦めるしかないか。
「ヤりたいって思ってるの、俺だけかよ……」
頼寿の胸に頭を預けてむくれてみせると、ようやく頼寿がフンと笑って俺の額を撫でてきた。
「本気でそう思ってるのか?」
「頼寿も俺とセックスしたいって思ってる?」
「当然だろ、俺はお前の男だからな」
初めと同じ言葉で聞いたのに、この反応の違いは何なのか。
でもまあいいや、と俺は頼寿の胸にめいっぱい甘えて抱きついた。新しいスーツの匂い、少しの煙草の匂い。早くこの体に抱かれたい。あと何時間あるんだ。何でもいいからステージ立たせろ……って、さっきまでの緊張はどうしたというんだ、俺。
「タマは発情すると擦り寄ってくるな。体が疼いてる証拠だ」
「はぁ……全力で寄りかかってもビクともしない……頑丈な体、最高……」
「何だそりゃ。……おい、そんな押し付けんな。寄りかかっ……押すな、危ねぇだろタマ。聞いてんのか!」
──全く。早く夜にならないかな。
「んふ」
頬を撫でられて、心地好さからつい変な声が出てしまった。頼寿はそんな俺を笑うでもなく、ただ焦らすように俺の頬を愛撫している。
頼寿は分かってるんだ。俺が興奮していることも、もっと触って欲しいと思っていることも。だって俺をそんな気にさせるために触っているんだから。
「楽しみだな、今夜」
「プ、プール……?」
「それもそうだが、お前とセックスするのも久しぶりだろ。この体に何日触れてねえと思ってる」
はあぁ、そんなこと言われると期待してしまう。
俺はベッドに寝たまま、頼寿の手を掴んで唇を噛み締めた。こんな仕草だけで「今」触れて欲しいと俺が思っていることも、頼寿なら察してくれる。
だけど頼寿はそれ以上俺に触れることはせず、二、三度もう片方の手で俺の頭を撫でてからベッドを離れてしまった。
それもこれも、今夜のステージで俺を本気にさせるためだ。
──お前がそう出るなら、俺だって。
「なあ、頼寿もセックスしたいって思ってる?」
ベッドから起き上がって問いかけると、頼寿が冷蔵庫にあった水のボトルを取り出し、キャップを外しながら言った。
「砂糖水で浮きながら、ってのは俺も初めてだからな。体中がベトベトになるだろうが、興味はある」
「ステージのことじゃなくて、単純にセックスの話」
「やりてえも何も、するだろ」
俺の言いたいことが伝わらなくて、何だかこっちが恥ずかしくなってくる。エロい癖にこういう時だけ悪気のないかっこつけみたいなキャラになるんだ、全くこの男は。
「そうじゃなく!」
ベッドを降りて、頼寿の前へと移動する。
「何をキレてんだ」
「キレてはないけど……なあ、俺のこと抱きたいって思ってないのかよ?」
「すげえ発言だな。自分に自信のある奴が言う台詞だ」
「こ、この意地悪バカ地獄!」
「その悪口はセンスねえな」
頼寿のこれは俺をからかっているのではなく、限りなく天然に近いものだ。元々俺ごときが頼寿相手にエロい駆け引きなんてできるはずもないのだから、……回りくどいのはもう諦めるしかないか。
「ヤりたいって思ってるの、俺だけかよ……」
頼寿の胸に頭を預けてむくれてみせると、ようやく頼寿がフンと笑って俺の額を撫でてきた。
「本気でそう思ってるのか?」
「頼寿も俺とセックスしたいって思ってる?」
「当然だろ、俺はお前の男だからな」
初めと同じ言葉で聞いたのに、この反応の違いは何なのか。
でもまあいいや、と俺は頼寿の胸にめいっぱい甘えて抱きついた。新しいスーツの匂い、少しの煙草の匂い。早くこの体に抱かれたい。あと何時間あるんだ。何でもいいからステージ立たせろ……って、さっきまでの緊張はどうしたというんだ、俺。
「タマは発情すると擦り寄ってくるな。体が疼いてる証拠だ」
「はぁ……全力で寄りかかってもビクともしない……頑丈な体、最高……」
「何だそりゃ。……おい、そんな押し付けんな。寄りかかっ……押すな、危ねぇだろタマ。聞いてんのか!」
──全く。早く夜にならないかな。
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お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
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よければ覗いてみてください。
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次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。



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