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第8話 玉雪、オンステージ!
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言ってから俺は目をつぶった。客の顔を見るのが恥ずかしいというのもあるけれど、目を閉じて情報をシャットアウトした方が集中できると思ったからだ。
「頼寿のおっきい手で、イかせて欲しい……。お願い、します……もう涎止まんない……」
「………」
俺のそれを握った頼寿の手に、軽く力が込められる。
「派手に鳴けよ、玉雪」
「──あぁっ!」
瞬間、その大きな手が俺のペニスを激しく擦り始めた。
ずっと待っていた、突き抜けるような快感。泣けるほどの高揚感。閉じた目蓋越しにフラッシュライトの閃光が瞬き、その一瞬、射精よりも強烈な高ぶりが俺の全身を包み込む──
「い、あぁっ……! 頼寿っ、すご、……気持ちいっ──」
「玉雪、脚を開け」
言われてすぐ、何を考える間もなく俺は片脚を持ち上げた。その膝の裏を頼寿の片手が支え、立ったまま更に大きく開脚する恰好となる。
丸見えになっているであろう俺の下半身。みっともないほど勃起したモノを頼寿に扱かれているところも、品のない声をあげて体をくねらせている俺自身も……
全部全部、見られている。
「よ、り、ひさ……最高……」
薄目を開けて背後の頼寿を振り向くと、冷たい目がほんの少しだけ柔らかくなった気がした。
「ようやく自覚したか?」
「う、あ……あ」
──気持ちいい。
直接俺を擦っている頼寿の手も、そんな俺を見ている大勢の視線も。
頼寿の手によって翻弄される俺に注がれる好奇の目、狂喜の目。そして声、拍手、興奮の色が浮かんだ男達の表情。
気持ち良くて堪らない──!
「あっ、う……もうダメ、イきそう俺っ、出ちゃうから、あぁっ……!」
「いいぜ、客席まで飛ばせ」
「頼寿、もっと……やめないで、もっとちんちん擦って……あっ、あっ」
腰が勝手に動き、自ら頼寿の手に擦り付けてしまう。
もう何だっていい。イきたい。
皆が見てる前で、思い切り射精したい。
「───」
正直、そこから先のことは断片的にしか覚えていない。
射精の瞬間は魂まで抜けてしまったのではと思うほど気持ち良かったのは記憶にある。
その後は気付いたら頼寿に抱っこされていて、ライトもBGMもなくなっていて、ロッソ君の顔が見えて、車に乗せられて……
目が覚めたのは、朝。自分のベッドの中だった。
「………」
ぼんやりとした頭でまず考えたのは、昨夜のことは全て夢だったのではということだ。それなら記憶が途切れ途切れなのも理解できる。
だけど夢じゃないということは、「俺自身」が証明していた。ロッソ君にセットしてもらった頭。壁の鏡に写るタレ目メイクの顔。それから裸だったけれど、外し忘れたリストバンドが未だにはめられている手首。
ということは、俺は昨日あの後で意識を飛ばしてしまったのだろうか。持ち上げられたり開いたりしていたせいで、脚の付け根が痛い。夢じゃない。これは現実だ。
あの世界のことを未だよく分かっていないのに、俺はデビューしてしまったんだ。
「よ、頼寿……?」
ドアに向かって呼びかけると、「起きたか」という低い声と共に頼寿が顔を覗かせた。
「その、俺……昨日は……」
「人生最高の絶頂だったろ。仰け反って自分から腰振って、エロいこと叫びながら射精していた」
「っ……!」
記憶にない。イッたのは覚えてるのに、どうイッたのか全然覚えていない。
俺は口をパクパクさせて頼寿を見つめた。
「仲間入り歓迎するぜ、タマ」
つづく!
「頼寿のおっきい手で、イかせて欲しい……。お願い、します……もう涎止まんない……」
「………」
俺のそれを握った頼寿の手に、軽く力が込められる。
「派手に鳴けよ、玉雪」
「──あぁっ!」
瞬間、その大きな手が俺のペニスを激しく擦り始めた。
ずっと待っていた、突き抜けるような快感。泣けるほどの高揚感。閉じた目蓋越しにフラッシュライトの閃光が瞬き、その一瞬、射精よりも強烈な高ぶりが俺の全身を包み込む──
「い、あぁっ……! 頼寿っ、すご、……気持ちいっ──」
「玉雪、脚を開け」
言われてすぐ、何を考える間もなく俺は片脚を持ち上げた。その膝の裏を頼寿の片手が支え、立ったまま更に大きく開脚する恰好となる。
丸見えになっているであろう俺の下半身。みっともないほど勃起したモノを頼寿に扱かれているところも、品のない声をあげて体をくねらせている俺自身も……
全部全部、見られている。
「よ、り、ひさ……最高……」
薄目を開けて背後の頼寿を振り向くと、冷たい目がほんの少しだけ柔らかくなった気がした。
「ようやく自覚したか?」
「う、あ……あ」
──気持ちいい。
直接俺を擦っている頼寿の手も、そんな俺を見ている大勢の視線も。
頼寿の手によって翻弄される俺に注がれる好奇の目、狂喜の目。そして声、拍手、興奮の色が浮かんだ男達の表情。
気持ち良くて堪らない──!
「あっ、う……もうダメ、イきそう俺っ、出ちゃうから、あぁっ……!」
「いいぜ、客席まで飛ばせ」
「頼寿、もっと……やめないで、もっとちんちん擦って……あっ、あっ」
腰が勝手に動き、自ら頼寿の手に擦り付けてしまう。
もう何だっていい。イきたい。
皆が見てる前で、思い切り射精したい。
「───」
正直、そこから先のことは断片的にしか覚えていない。
射精の瞬間は魂まで抜けてしまったのではと思うほど気持ち良かったのは記憶にある。
その後は気付いたら頼寿に抱っこされていて、ライトもBGMもなくなっていて、ロッソ君の顔が見えて、車に乗せられて……
目が覚めたのは、朝。自分のベッドの中だった。
「………」
ぼんやりとした頭でまず考えたのは、昨夜のことは全て夢だったのではということだ。それなら記憶が途切れ途切れなのも理解できる。
だけど夢じゃないということは、「俺自身」が証明していた。ロッソ君にセットしてもらった頭。壁の鏡に写るタレ目メイクの顔。それから裸だったけれど、外し忘れたリストバンドが未だにはめられている手首。
ということは、俺は昨日あの後で意識を飛ばしてしまったのだろうか。持ち上げられたり開いたりしていたせいで、脚の付け根が痛い。夢じゃない。これは現実だ。
あの世界のことを未だよく分かっていないのに、俺はデビューしてしまったんだ。
「よ、頼寿……?」
ドアに向かって呼びかけると、「起きたか」という低い声と共に頼寿が顔を覗かせた。
「その、俺……昨日は……」
「人生最高の絶頂だったろ。仰け反って自分から腰振って、エロいこと叫びながら射精していた」
「っ……!」
記憶にない。イッたのは覚えてるのに、どうイッたのか全然覚えていない。
俺は口をパクパクさせて頼寿を見つめた。
「仲間入り歓迎するぜ、タマ」
つづく!
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