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第7話 恋する宇宙の便利屋さん
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「でも瑠偉くん、男のおれのこと可愛いって言ってました。男のナハトでも大丈夫だと思いますけど……」
ヘルムートに言われ、俺は改めてナハトを真正面から見つめた。
チャラついたアシメの黒髪。隠そうともしていない尖った耳には幾つものピアス。眉と唇にもピアス。カッと見開かれた真っ赤な目。ギザギザの歯。真面目とは思えない喋り方。
「……あとお前、カッとなると暴力振るうタイプだろ。キレながら笑ってぶん殴る姿が容易に想像できる」
「そんなことないじょ。ボクが誰かを殴るのは本気でムカついた時と、高い金積まれて依頼を受けた時だけだもの」
「一応聞いておくけど、……仕事で人を殺したりとか、そういうのは……」
「ボクは殺しはやらないけど、殺されるって分かってて捕まえたターゲットを引き渡したりはしたことある。誘拐した子供達を性商売の道具にしてたクズ商人とか、そういう類の連中ね」
個人的にそんな奴らは死刑で良いと思うが、流石に便利屋のことは相中さんに教えない方が良さそうだ。……とはいえ、地球での職業もホストか……。
「まあ、うだうだ言ってても仕方ねえか。付き合うとかの話は置いといて、相中さんがナハトへの恐怖心を失くすのは良いことだしな。まずはオトモダチから、ってやつだ」
「みんなでお友達になれるといいです! 瑠偉くんもきっと、お友達増えたら喜びます!」
「まずは友情からかあぁ……面倒だにゃあ……」
「よし、行くぞナハト」
「えっ、今?」
「当然だ。お前、今朝のこと相中さんに謝れよ。怖がらせるだけ怖がらせて逃亡なんて、相中さん今頃めちゃくちゃビビッてるぞ。あと今日中にドアも直せ。宇宙船の修理ができるくらいだからドア直すのなんて簡単だろ」
いやだああぁん、とナハトが真っ赤になってその場に踏ん張る。俺とヘルムートはそんなナハトの腕を掴み、引きずるようにしてドアの壊れた部屋から出て二階へ続く階段へ向かった。
──ピンポーン。
「……は、はい……」
案の定、出てきた相中さんの顔は真っ青だ。だけど俺の姿を確認したせいか、ナハトがいても少しホッとしたような表情を見せてくれた。
「さ、佐島くん……」
「すいません相中さん。こいつ、ナハトっていうんですけど……今朝、何か迷惑かけたとかで」
「あ、いや、いや。そんな……。僕の方が不注意で重い荷物を落としちゃって、下の階に迷惑かけてしまったので……」
ナハトを見ると、その顔はやはりサクランボのように真っ赤になっていた。
「怖がらせてしまったみたいですみません。でも話を聞いたら、コイツも悪気があってやったことじゃないらしくて……許してやって下さい」
「そんな、全然、だ、大丈夫です……。ほ、本当に平気ですから……」
真っ青な顔。日に当たることが少ないからか、余計に青ざめて見える。髪はボサボサだし、猫背な上に縮こまっているから更に小さく見えて、確かに怯えた子ウサギちゃんみたいだ。
「ほら、ナハト。お前からもちゃんと謝れ」
「は、あっ……あ、う……。る、るいるい……」
見開いた赤い目で相中さんを凝視したまま、ナハトが喘ぎ声のような声を発する。まさか勃起してるのではと下半身に目をやったが、……大丈夫なようだ。
ヘルムートに言われ、俺は改めてナハトを真正面から見つめた。
チャラついたアシメの黒髪。隠そうともしていない尖った耳には幾つものピアス。眉と唇にもピアス。カッと見開かれた真っ赤な目。ギザギザの歯。真面目とは思えない喋り方。
「……あとお前、カッとなると暴力振るうタイプだろ。キレながら笑ってぶん殴る姿が容易に想像できる」
「そんなことないじょ。ボクが誰かを殴るのは本気でムカついた時と、高い金積まれて依頼を受けた時だけだもの」
「一応聞いておくけど、……仕事で人を殺したりとか、そういうのは……」
「ボクは殺しはやらないけど、殺されるって分かってて捕まえたターゲットを引き渡したりはしたことある。誘拐した子供達を性商売の道具にしてたクズ商人とか、そういう類の連中ね」
個人的にそんな奴らは死刑で良いと思うが、流石に便利屋のことは相中さんに教えない方が良さそうだ。……とはいえ、地球での職業もホストか……。
「まあ、うだうだ言ってても仕方ねえか。付き合うとかの話は置いといて、相中さんがナハトへの恐怖心を失くすのは良いことだしな。まずはオトモダチから、ってやつだ」
「みんなでお友達になれるといいです! 瑠偉くんもきっと、お友達増えたら喜びます!」
「まずは友情からかあぁ……面倒だにゃあ……」
「よし、行くぞナハト」
「えっ、今?」
「当然だ。お前、今朝のこと相中さんに謝れよ。怖がらせるだけ怖がらせて逃亡なんて、相中さん今頃めちゃくちゃビビッてるぞ。あと今日中にドアも直せ。宇宙船の修理ができるくらいだからドア直すのなんて簡単だろ」
いやだああぁん、とナハトが真っ赤になってその場に踏ん張る。俺とヘルムートはそんなナハトの腕を掴み、引きずるようにしてドアの壊れた部屋から出て二階へ続く階段へ向かった。
──ピンポーン。
「……は、はい……」
案の定、出てきた相中さんの顔は真っ青だ。だけど俺の姿を確認したせいか、ナハトがいても少しホッとしたような表情を見せてくれた。
「さ、佐島くん……」
「すいません相中さん。こいつ、ナハトっていうんですけど……今朝、何か迷惑かけたとかで」
「あ、いや、いや。そんな……。僕の方が不注意で重い荷物を落としちゃって、下の階に迷惑かけてしまったので……」
ナハトを見ると、その顔はやはりサクランボのように真っ赤になっていた。
「怖がらせてしまったみたいですみません。でも話を聞いたら、コイツも悪気があってやったことじゃないらしくて……許してやって下さい」
「そんな、全然、だ、大丈夫です……。ほ、本当に平気ですから……」
真っ青な顔。日に当たることが少ないからか、余計に青ざめて見える。髪はボサボサだし、猫背な上に縮こまっているから更に小さく見えて、確かに怯えた子ウサギちゃんみたいだ。
「ほら、ナハト。お前からもちゃんと謝れ」
「は、あっ……あ、う……。る、るいるい……」
見開いた赤い目で相中さんを凝視したまま、ナハトが喘ぎ声のような声を発する。まさか勃起してるのではと下半身に目をやったが、……大丈夫なようだ。
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