上 下
42 / 74
第6話 静かな青の世界へと

8

しおりを挟む
「可愛い。もっと舐めてえんだけど」
「や、やぁ……そんなのダメです、千代晴……」
 ぐしゃぐしゃの泣き顔で俺の髪を掴むヘルムート。よほど余裕がないらしく、セックスしたいと言っていた割には今にも根を上げてしまいそうだ。

 それもこれも仕方のないことだと分かっている。長年、セックス=子供を作る行為という認識しかなかったのだから。

「ヘルムート」
 俺は更に彼の脚を持ち上げて開かせ、自分の屹立をその蕾のような入口にあてがった。

「本当に俺でいいんだな。今からすることで、本当に子供ができてもいいんだな」
「あ、……」
 本能なのか、答えるより早くヘルムートの入口が俺の先端に吸い付いてきた。
「……ほ、欲しい。千代晴との赤ちゃん、欲しいです。おれ後悔しません。千代晴、おれにとって宇宙でイチバンの男の人です……」
 仰向けのまま両手を伸ばしてくるヘルムート。泣き笑いの顔で俺を見つめ、その瞬間は抱きしめて欲しいとねだっている。

「……分かった」
 俺はヘルムートのそこへ腰を入れたまま体を倒し、その華奢な体を力いっぱい抱きしめた。

 そして──

「結婚しよう、ヘルムート」
 耳元へ囁いた言葉に、涙混じりの声が返ってくる。
「……あったか、ぃ……です。千代晴、しあわせ……」
「好きだぞ、ちゃんと」
「ふあ……」
「愛してるからな」
「……ひっ……う」
 もうすすり泣く声しか聞こえない。俺は力無く笑い、ヘルムートの頭を撫でてやった。

「痛てぇけど少しだけ我慢してくれよ。マジで無理だったら言ってくれ」
「大丈夫、です……。クーヘンの王子、赤ちゃん産むから、カラダがちゃんと、受け入れられるようになってます……」
 ぬるついた先端を丹念に入口へ押し付け、ゆっくりと挿入して行く。一旦指で慣らすべきかと思ったが──ヘルムートの言う通り、蕾は少しずつ俺を受け入れるため自ら広がっているようだ。

「ん、ん……」
 それでも十九年間男を知らなかった体だ。痛みには耐えられても、そう簡単にこの圧迫感や異物感には慣れることができないだろう。

「ヘル、分かるか。……少しずつ俺の、入ってるぞ」
「あ、う……入って、……」
「お前、生涯一人の男としかセックスできねえんだろ。これでもう俺しかお前を抱けねえ。お前は俺の物だ。生涯ずっと……俺も、お前の物だからな」
「千代晴……、千代晴……!」
 涙の伝う頬に何度もキスを繰り返し、その間にもヘルムートの中を押し開いて行く。既に先端は彼の中だ。後はもう、このペースで奥まで……

「んあぁっ……!」
「っく、は……狭、……」
「千代晴の、おれの中すごい暴れてますっ……! んやっ、お腹のとこ、ツンって……!」
「煽り実況か、っての……」
「ま、また大きく……! 千代晴、どうなってるんですかぁっ……!」
 元々体格差があるせいで、恐らく平均的なサイズだと思う俺のモノがヘルムートにはかなりデカく感じるらしい。男として嬉しくはあるが、ヘルムートはもはやパニック状態だ。

「お、落ち着けほら。クラゲちゃんを思い出せ。ゆったり~、ふわふわ~」
「ふ、ふわふわ~……」
「よし、そのままふわふわしとけよ、っ……」
 ヘルムートを抱きしめたまま、俺は更に奥まで腰を入れた。
「ふわあぁ、……んっ!」

 到達した奥の奥。どの辺で射精すれば良いのか分からないが、取り敢えず普通のセックスの要領で腰を振れば良いはずだ。なるべくヘルムートが驚かないように、ゆっくりと引き抜いて……再び奥へ挿入する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【完結】あなたに撫でられたい~イケメンDomと初めてのPLAY~

金色葵
BL
創作BL Dom/Subユニバース 自分がSubなことを受けれられない受け入れたくない受けが、イケメンDomに出会い甘やかされてメロメロになる話 短編 約13,000字予定 人物設定が「好きになったイケメンは、とてつもなくハイスペックでとんでもなくドジっ子でした」と同じですが、全く違う時間軸なのでこちらだけで読めます。

愛する者の腕に抱かれ、獣は甘い声を上げる

すいかちゃん
BL
獣の血を受け継ぐ一族。人間のままでいるためには・・・。 第一章 「優しい兄達の腕に抱かれ、弟は初めての発情期を迎える」 一族の中でも獣の血が濃く残ってしまった颯真。一族から疎まれる存在でしかなかった弟を、兄の亜蘭と玖蘭は密かに連れ出し育てる。3人だけで暮らすなか、颯真は初めての発情期を迎える。亜蘭と玖蘭は、颯真が獣にならないようにその身体を抱き締め支配する。 2人のイケメン兄達が、とにかく弟を可愛がるという話です。 第二章「孤独に育った獣は、愛する男の腕に抱かれ甘く啼く」 獣の血が濃い護は、幼い頃から家族から離されて暮らしていた。世話係りをしていた柳沢が引退する事となり、代わりに彼の孫である誠司がやってくる。真面目で優しい誠司に、護は次第に心を開いていく。やがて、2人は恋人同士となったが・・・。 第三章「獣と化した幼馴染みに、青年は変わらぬ愛を注ぎ続ける」 幼馴染み同士の凛と夏陽。成長しても、ずっと一緒だった。凛に片思いしている事に気が付き、夏陽は思い切って告白。凛も同じ気持ちだと言ってくれた。 だが、成人式の数日前。夏陽は、凛から別れを告げられる。そして、凛の兄である靖から彼の中に獣の血が流れている事を知らされる。発情期を迎えた凛の元に向かえば、靖がいきなり夏陽を羽交い締めにする。 獣が攻めとなる話です。また、時代もかなり現代に近くなっています。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

処理中です...