上 下
19 / 74
第4話 初めてのデートです

1

しおりを挟む


 静かな木曜日の朝。

「ん、……千代晴。昨日は先に寝ちゃってごめんなさい。……おれ、千代晴のこといっぱい気持ち良くします……」
「ヘル、……何言ってんだ、こんな朝っぱらから……」
「千代晴のここ、かちかちになってます。可愛い。──はむ」
「うぉっ……お、おぉっ……」
「んん、ちよはる……おいしい……」
「ヘルムートッ!」

 ──ありゃ。

「………」
 窓から降り注ぐ太陽の光。アラームが鳴っていないのは、今日が休みである証。
 ソファから飛び起きた俺は、夢の余韻に浸りながら思わず大きな溜息をついた。昨日はあの後すぐ寝てしまったから、結局射精できていない。だからこんな夢を見た訳だが、……まるで中学生だ。

「やっぱ朝一で抜いてくるか……って、うおっ?」
 見下ろせば昨夜はベッドに寝ていたはずのヘルムートが、俺の下半身に覆い被さって小さな寝息をたてていた。しかも全裸で、……パンツ一丁の俺の股間に頬を押し付けて。

「ば、馬鹿っ。何やってんだヘルムートッ!」
「ん、……んん。おはようございます、千代晴……。……あれ? 硬いです……」
 目を擦って俺の股間から顔を上げるヘルムート。ぽやぽやしている可愛い笑顔は天国だが、俺の下半身では真っ赤な煉獄の炎が燃え上がっている。天国と煉獄に挟まれて、俺は一体朝から何をしているんだ。

「お前、ベッドで寝なきゃ駄目だろ。布団かけてやったのに風邪ひくじゃねえか」
「夜に目、覚めちゃって……千代晴と一緒に寝たくなっちゃいました……ごめんなさい」
 その頭を撫でながら、股間のテントにちらりと視線を向ける。

「謝らなくてもいいけどよ、裸で寝てたら色々危ねえだろ。せめてパンツくらい穿けって」
 取り敢えず床に落ちていたヘルムートの下着(俺の新品をくれてやったものだ)を拾い上げ、ソファから降りてヘルムートの前に跪く。

「千代晴の、とっても大きいです……」
「大人だからな。ほれ、足上げろ」
 寝ぼけ眼のヘルムートに甲斐甲斐しくパンツを穿かせてやっている俺。朝からムラムラしているのに何をやっているんだという気分になる。

「はい、万歳して」
「んん」
 手際良く服を着せた後で、俺は台所へ行ってコーヒーを飲むための湯を沸かした。既に勃起は収まっている。しかし今日中にどこかで抜かないと、後々悲惨な目に遭いそうだ。
 幸い今日は休みだし、抜くだけならいつでも──



「地球の朝ごはん大好きです! この白い粒とスープの組み合わせ、最高です!」
「白米と味噌汁、な。まあその白米もごはんって呼ぶんだが」
「このネバネバも美味しいです。見て下さい千代晴、どこまでもネバネバ伸びていきます!」
「………」
 白飯の茶碗に味噌汁をぶっかけてかきこむヘルムート。
 納豆を大層気に入ったらしく口周りをネバネバにし、それを素手で拭いているヘルムート。
 俺はそんな彼にもはやツッコミを入れる気力もなく、黙って沢庵を口に入れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

年上の恋人は優しい上司

木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。 仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。 基本は受け視点(一人称)です。 一日一花BL企画 参加作品も含まれています。 表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!! 完結済みにいたしました。 6月13日、同人誌を発売しました。

初体験

nano ひにゃ
BL
23才性体験ゼロの好一朗が、友人のすすめで年上で優しい男と付き合い始める。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

処理中です...