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奥州の富の源泉は金鉱

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平家を滅ぼした頼朝に、もはや逆らうものはいなかった。

よく、鎌倉28万騎に対して奥州17万騎などと言われることがあるが、平安末期の人口は、日本全体で約680万人に対して奥州全体で約60万人である。つまり、奥州の人口は日本全体の人口の、10分の1にも満たない。無論、北海道は含まれない。
奥州の人口60万人に対して、どうすれば奥州経済は17万騎もの軍隊を抱えることができるのであろうか。
常識で考えれば分かる。

奥州の財力の源泉は、平泉周辺から産出される金である。奥州藤原氏はこの金を元手にして、北方貿易を行ない更に富を蓄えた。
そのため当時平泉は、京都に次いで栄えた大都市であった。平泉の街の至る所に、金の装飾が施されていた。代表的な建造物として中尊寺金色堂があるが、金色堂は壁から柱から床から総金箔張りであった。それほど当時の平泉は金が豊富であったのである。

黄金の国ジパングのモデルは平泉と言われる。黄金の国ジパングを東方見聞録により世界に紹介したマルコポーロは、実際には日本に行っていない。
マルコポーロは、チンギスハンの孫のフビライハンの時代に生きたが、その時代にはかつての大都市平泉は頼朝によって既に滅ぼされていた。
チンギスハンの時代に、平泉の栄華の様子が元に伝えられ、その伝説をマルコポーロは伝え知ったのではないだろうか。

また、中尊寺金色堂には、奥州藤原氏の当主である清衡と基衡のミイラが安置されている。秀衡のミイラも後に安置される。
不思議なことは、これら奥州藤原氏のミイラは人工的に作られたものでは無いと言うことである。

人工的でないミイラと言えば即身仏が有名であるが、それは何十年もの苦しい修行によって、体が骨と皮だけになるまで筋肉や脂肪を極力そぎ落とし、さらには漆を飲んで腐りにくい体を作ることによって初めて成功するもので、失敗したら腐ってしまって白骨化してしまうという過酷なものである。
卓越した高僧でなければ即身仏にはなれないのである。
人工的に加工したミイラとしては、エジプトの王のミイラなどがある。死後内臓や血液を取り出して、薬品で腐らないよう加工するのである。

だから奥州藤原氏のミイラは、極めて不思議なのである。

ところで、奥州藤原氏は、頼朝に刃向かう気など毛頭なかった。藤原秀衡の代になってから、もう30年ほど奥州は戦をしていない。
つまり、実戦経験者が高齢者しかいない。藤原秀衡は本当に、極楽浄土のような世の中を作りたかったのである。

しかしそれは叶わぬ夢と、秀衡は落胆することになる。頼朝と言う侵略者が、奥州をどうしても我が物にしようと企んでいるからである。
奥州藤原氏は朝廷や貴族に直接金や陶磁器やアザラシの毛皮などの貴重品を寄進して、奥州に独立国家としての立場を築こうとした。
そのような秀衡の思考が、頼朝のような全てを自分のものにしたいと思う独裁者にとっては、何とも我慢できなかったのである。

例えば、それまで奥州藤原氏が直接朝廷に寄進していた金や馬を、頼朝は強引に自分が仲介するようにさせた。奥州藤原氏が頼朝の家臣であることを朝廷に認めさせるとともに、頼朝は中抜きをして利を貪っていたのである。権力に執着する者がやりたがることである。
そして頼朝はそれだけでは飽き足らず、奥州の金を奪い取ることに執念を燃やした。頼朝はあくまでも強欲であった。

ルシフェルは、頼朝がいずれ用済みになれば、ぽいと捨てるつもりであった。
ルシフェルの野望は、全人類の自由意思を奪い取り、支配と強制によって人類を思い通りにさせることにあったのである。

また、日本で産出される多くの金は砂金であるが、奥州には大粒の粒金が多量に産出されていた。頼朝は、その謎も解き明かさねばならないと思っていた。
そのため頼朝は、奥州に手練れの間者を大勢送り込んだ。
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