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お化けに祟られたせいか、つまらない人生でした
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子供の頃おとなしい性格だった私は、生き物を殺したりすることはありませんでした。
どういう状況だったのかほとんど憶えていませんが、家の近所で遊んでいた時、兄が小さなカエルを地面に思いっきり叩きつけたのです。
回りには、兄の友達がいたと思います。
私がはっきり憶えているのは、カエルを叩きつけた瞬間の映像です。
なぜ、兄がカエルを叩きつけたのか分かりませんが、たぶん男の子のよくやるイタズラでしょう。
その晩、私は夜中に突然目を覚ましました。
私は兄と弟と、四畳半の部屋の真ん中に寝ていました。
ですので、私の真上に、和室に良くあるタイプの、輪形の蛍光灯が付いた電灯が釣り下がっておりました。
夜中ですので、夜灯用のオレンジ色の明かりが点いておりました。
目を覚まして驚いたことに、眼上の輪形の蛍光灯がお化けのタコに見えたのです。
お化けのタコと言っても、リアルなタコではありません。
丸い頭で、足がくるっとして短い、とてもマンガチックなタコでした。
たこ焼き屋の看板に描かれるような、コミカルなタコでした。
それでも、そこにあるはずがないものがはっきりと見えたのですから、私は酷く驚き、怖がりました。
タコは確かにいました。電灯の傘の下にへばりつくようにしてそこにいたのです。
私は恐怖から逃げようとして、顔を左に向けました。
そこには、大人の膝の高さ辺りの、幅が30センチほどの木製の棚が、部屋の壁に埋め込んでありました。
ところがその棚の上には、べちゃっとつぶれたように、幽霊が乗っていたのです。
幽霊は長い黒髪で、顔は白くのっぺらぼうでした。衣服はどのようだったか憶えてていません。
私はますます恐怖に襲われて、息が詰まりそうでした。
もう恐怖でいっぱいでしたので、目をつむりました。
現実から逃避したかったのです。
目をつむった後は、ぐっすり寝たようです。
翌朝、起きてみると、当然ですがタコはいませんでした。
幽霊と思ったのは、服でした。
ああ、これは見間違いだなと思いました。
でも、タコは確かに見間違いではありません。
あんなにはっきりと、現れたのですから。
カエルの怨念でしょうか。
でも、私はカエルに対して全く何もしておらず、カエルを叩きつけたのは兄です。
カエルでなくタコが出てきたのも不思議です。
私がお化けを見たのは、後にも先にもこの一回きりです。
私は、妄想癖のある少年では無いです。
その頃からか、父が私に辛く当たるようになった気がします。
訳もなく怒鳴ったり、理不尽に叩かれたりしました。
何かにつけて、私のことを否定し、侮辱しました。
ですので、私は父のことが大嫌いでした。
『この人は、心がゆがんでいる』と、私は思いました。
父のせいで、私の心はいじけてしまっていたと思います。
回りの人達に助けられて、何とか生きてこれたと思っています。
社会人になって、父とは離れて暮らすようになり、とても気がせいせいしました。
それでも、盆や正月にはあいさつに行かないといけないので、その時は憂鬱でした。
父はとても長生きしましたが、最期はあっさりと亡くなりました。
急性の脳梗塞からの、誤嚥性肺炎とかいうやつです。
全く悲しくありませんでした。
私の残り人生も少なくなってしまいましたが、余生はできるだけ楽しく生きたいと思っております。
ただし、私は仕事の過度なストレスによる脳出血で手術を受け、麻痺も残っており、ずいぶん体力が無くなってしまっています。
まさか、半世紀越しの祟りなんてことはあるはずないでしょうが。
どういう状況だったのかほとんど憶えていませんが、家の近所で遊んでいた時、兄が小さなカエルを地面に思いっきり叩きつけたのです。
回りには、兄の友達がいたと思います。
私がはっきり憶えているのは、カエルを叩きつけた瞬間の映像です。
なぜ、兄がカエルを叩きつけたのか分かりませんが、たぶん男の子のよくやるイタズラでしょう。
その晩、私は夜中に突然目を覚ましました。
私は兄と弟と、四畳半の部屋の真ん中に寝ていました。
ですので、私の真上に、和室に良くあるタイプの、輪形の蛍光灯が付いた電灯が釣り下がっておりました。
夜中ですので、夜灯用のオレンジ色の明かりが点いておりました。
目を覚まして驚いたことに、眼上の輪形の蛍光灯がお化けのタコに見えたのです。
お化けのタコと言っても、リアルなタコではありません。
丸い頭で、足がくるっとして短い、とてもマンガチックなタコでした。
たこ焼き屋の看板に描かれるような、コミカルなタコでした。
それでも、そこにあるはずがないものがはっきりと見えたのですから、私は酷く驚き、怖がりました。
タコは確かにいました。電灯の傘の下にへばりつくようにしてそこにいたのです。
私は恐怖から逃げようとして、顔を左に向けました。
そこには、大人の膝の高さ辺りの、幅が30センチほどの木製の棚が、部屋の壁に埋め込んでありました。
ところがその棚の上には、べちゃっとつぶれたように、幽霊が乗っていたのです。
幽霊は長い黒髪で、顔は白くのっぺらぼうでした。衣服はどのようだったか憶えてていません。
私はますます恐怖に襲われて、息が詰まりそうでした。
もう恐怖でいっぱいでしたので、目をつむりました。
現実から逃避したかったのです。
目をつむった後は、ぐっすり寝たようです。
翌朝、起きてみると、当然ですがタコはいませんでした。
幽霊と思ったのは、服でした。
ああ、これは見間違いだなと思いました。
でも、タコは確かに見間違いではありません。
あんなにはっきりと、現れたのですから。
カエルの怨念でしょうか。
でも、私はカエルに対して全く何もしておらず、カエルを叩きつけたのは兄です。
カエルでなくタコが出てきたのも不思議です。
私がお化けを見たのは、後にも先にもこの一回きりです。
私は、妄想癖のある少年では無いです。
その頃からか、父が私に辛く当たるようになった気がします。
訳もなく怒鳴ったり、理不尽に叩かれたりしました。
何かにつけて、私のことを否定し、侮辱しました。
ですので、私は父のことが大嫌いでした。
『この人は、心がゆがんでいる』と、私は思いました。
父のせいで、私の心はいじけてしまっていたと思います。
回りの人達に助けられて、何とか生きてこれたと思っています。
社会人になって、父とは離れて暮らすようになり、とても気がせいせいしました。
それでも、盆や正月にはあいさつに行かないといけないので、その時は憂鬱でした。
父はとても長生きしましたが、最期はあっさりと亡くなりました。
急性の脳梗塞からの、誤嚥性肺炎とかいうやつです。
全く悲しくありませんでした。
私の残り人生も少なくなってしまいましたが、余生はできるだけ楽しく生きたいと思っております。
ただし、私は仕事の過度なストレスによる脳出血で手術を受け、麻痺も残っており、ずいぶん体力が無くなってしまっています。
まさか、半世紀越しの祟りなんてことはあるはずないでしょうが。
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