英雄を育てる怠惰なアイツ

世戯坊

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1章 10人の転生者

16話 勇者に懐かれる

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ハルと亜美は転移で村の近くに出た。
ハル「改めてよろしく、ハルトだ。ハルと呼んでくれ。」
亜美「亜美なの。10歳なの。」
ハル「10か、おれは17だ。」
亜美「じゃあお兄ちゃんなの!ハルお兄ちゃんでもいい?」
ハル「...」
ハル(これは道徳的に良くないんじゃ、しかし亜美が自らそう呼びたいって言ってるし?それなら仕方ないかなって思ったり...)
ハルにロリの称号がチラつく。
ハル「うーん、亜美がそれがいいなら...」
亜美「じゃあハルお兄ちゃんなの!」
ハル「くっ...その笑顔は...心が痛む...」
亜美のまっすぐな笑顔がハルにダメージを与える。
ハル「とりあえず亜美よ、これからどうしたい?普通に生活するか、それとも強くなって冒険者になるか。」
亜美「冒険者になるとなんかいい事あるの?」
ハル「そうだなー、この世界だと強い冒険者になれば好きな物が買えるかな?あとは安全に日常を暮らしていく事ができる。」
亜美「それはなんでなの?」
ハル「この世界では特殊な能力が無い限り店は開けない。店を開いてる人達は1度冒険者になり、強くなってその才能を開花させるからだ。んで、この世界には絶対に安全な場所ってところは無い。だから強くなればそれだけ自分を守れるから安全に暮らす事ができるってこと。」
亜美「へー、じゃあ強くなるの!」
ハル「そうかそうか、じゃあ今おれが育ててる2人組がいるからそいつらと一緒に強くなろうか!」
亜美「はいなの!あとハルお兄ちゃん、お菓子欲しいの!」
ハル「はいはい、これあげる。」
その瞬間ハルは背筋になにかを感じた。

ノア「...む。」
ユノ「ずるい。」

ハル「き、気のせいか?」
亜美「今日はどこで寝るの?」
ハル「あぁ。村なんだけど、1度聞いてみないとな。」
ハルはリンの家に入り、サガの所へ向かう。
ハル「...というわけでこの子は捨て子だったんだ。だからおれが保護したんだけど、龍哉のやつ終わるまで泊まっても大丈夫か?」
亜美は貴族に捨てられた子供の設定にした。
サガ「それは可哀想に、亜美ちゃん?自分の家だと思っていいからね?」
亜美「はいなの!ありがとうなの!」
亜美は少し興奮気味で返事をする。
ハル「亜美?どうしたんだ?」
亜美「ウサギなの!すごいの!」
動物が好きなのか兎族のサガを見て興奮していたようだ。
ハル「ほら、そろそろ寝ないとな。行くよ亜美。」
亜美「はいなの!」
亜美はハルに着いて行き、部屋に入る。
龍哉「あれ?ハル、意外とはやかっ...誰だ?」
ハル「ただいま、この子は亜美。事情があっておれが引き取った。」
奏太「転生者?」
ハル「違う。だから無理に特訓はさせないがある程度は鍛えるつもり。亜美、自己紹介して。」
亜美「亜美です。よろしくおねがいします。」
龍哉「龍哉だ。よろしくな!」
奏太「奏太、よろしく。」
ハル「亜美、この2人は神無達と同じだから遠慮はいらないからな。」
亜美「あの美人なお姉さんと?」
龍哉「なに?亜美ちゃんはその美人さんを見たのか⁉︎どんな感じの人だった⁉︎性格良さそうだったか?」
龍哉が美人に反応し、亜美に畳み掛けると亜美はハルの後ろに隠れてしまった。
ハル「龍哉、この子を怯えさせないでくれ...」
奏太「可哀想。」
龍哉「え?亜美ちゃん?ごめんな。」
亜美「あの人変態で怖い。」
龍哉「んなっ!」
奏太「いい、気が合いそうだ。」
ハル「変態だってよ龍哉!」
龍哉「まじかよ⁉︎おれは紳士だぜ⁉︎」
そんな感じで龍哉をからかい笑い合う4人、それから少しして...
亜美「スー、スー。」
龍哉「寝ちまったな。」
ハル「一応話しておく。この子は勇者だ。」
龍哉「うそだろ?こんな少女が?」
ハル「あの時おれがすっ飛んで行ったのは召喚を阻止するために王城へ向かったんだけど、阻止できなかった。」
奏太「それでこの子を引き取ったと。」
ハル「ほんとは止めれたんだけど王と話し合って召喚することになってしまった。」
龍哉「なんでやらせたんだ?」
ハル「召喚とは不安定なものなんだ。老若男女問わず出てきてしまう、召喚された本人にもそっちの世界での生活や人間関係があるからな、だから止めに入った、だけど2人も知ってるように人族はこの瞬間も殺されてるんだ。それは他の種族に圧倒的に劣るから、そこに勇者が現れればその名前だけで状況が変わるんだ。召喚された時点で他の種族に通知が行くからな。」
龍哉「だからと言って...」
ハル「それぐらいわかってる。だからおれが引き取ったんだ。」
奏太「なにか策があるのか?」
ハル「おれは神と繋がりがある、あいつならなんとかできる。亜美がどうしても戻りたいと願った時、帰すことが出来ないか神に頼んでみる。」
龍哉「亜美は願ってないのか?」
ハル「今はダメなんだ。こちらから送るには身体が弱すぎる。ある程度の肉体を作らないと異世界渡りをしている時に消えてしまう。だから今は帰れないってことにして強くなるように促した。」
奏太「?それだとなぜ召喚の時は問題なかったんだ?」
ハル「いや、問題はあったんだ。だが向こうの世界で10年過ごした。それが大事だ。10年もいればなにもしなくてもこっちで言うところの100レベルはある。しかし召喚の時にそれが失われるんだ。」
龍哉「なるほど、だからおれらもこの歳で1からスタートってことなのか。」
ハル「そうだ。だからこっちでレベルを上げないと向こうには帰れない。しかもこっちの世界はレベルが上げやすいせいなのか500にならないと肉体が持たない。」
奏太「それだとハルのもとで特訓しないときついな。」
ハル「だからもし亜美が帰りたいと言ったら、おれが全力でレベリングして、帰らせるように神に言うつもりだ。」
龍哉「ハルがそこまでするなら誰も悪くは言わないな。」
ハル「もちろんだ、おれは責任は取る男だからな?龍哉さん?」
奏太「ハルを見習え龍哉さん?」
龍哉「ちょ⁉︎いきなりその話題にするな!」
また龍哉をからかい始めた2人。
亜美はハル達に背を向けていたのだが涙を流していた。
翌日
ハル「...ん?」
亜美「スー、スー」
ハルが起きて横を見ると亜美が腕に絡みついて寝ていた。
ハル(この状況は非常にまずいですね、まずは他の2人が起きないうちに亜美を起こさないと...)
ハルが亜美を起こそうとした時。
奏太「...俺のことは気にするな。」
奏太が静かにその様を見ていた。
ハル「いや、起きたら亜美が...」
奏太「よし!完璧に理解した。」
ハル「いや、それわかってないから。亜美の寝場所が明らかに変わってるだろ?頼むわかってくれ。」
ハルはなんとか汚名を避けようと必死だ。
奏太「いや、ほんとにわかってる。おそらく亜美が無意識なのか意識的なのかハルにくっついてきたんだろ?」
ハル「おぉ!そうなんだよ!だから今から亜美を離す為に起こそうとしてたんだ。」
奏太「龍哉が起きる前に事態を収拾しないと大変だぞ?」
ハル「そ、そうだな!亜美?起きろ。」
亜美「んー?お菓子は3時って決まりなの...」
ハル「う...ならば。」
ハルは寝言を言ってる亜美の顔に水魔法で水をかける。
亜美「ひゃっ!...な、なんで顔が濡れてるの?」
ハル「やっと起きたか。とりあえず顔でも洗ってこい。」
亜美「?はいなの。」
なんとか一命を取り留めたハル。
奏太「よかったな。」
ハル「寿命が縮んだわ!」
龍哉「なんだよ?騒がしいなぁ~。」
タイミングよく龍哉が起きてくる。
ハル「なんでもないよ!準備してモンスター倒しに行くぞ。」
龍哉「??りょうかい。」
亜美「亜美はどうすればいいの?」
ハル「亜美にはまずこれを渡すよ。」
ハルは亜美に聖剣などの勇者一式を渡す。
亜美「重そうなのに全然重くないの!」
龍哉「どうゆうことだ?」
ハル「その一式は勇者専用の武具で勇者が使えばその重みはなくなり本来の強さを引き出すことができる代物なんだよ。」
龍哉「え?ずるくね?おれらなんて最低ランク武具なのに。」
ハル「お前らはこれからこの世界でやってくんだから最低な武具を知っとけ。亜美は勇者なんだからいきなりこれでいいの。」
ハルはあえてここでいずれ帰るとは言わなかった。
亜美「亜美は強いの?」
ハル「まぁ勇者ってのは本来の10個の職から離れた特別な職だからな。一般の冒険者の3倍のステータスを持ってるかな。」
龍哉「じゃあおれらは?」
ハル「秘密だ。だから亜美はその装備があればそこらへんのモンスターにやられる事はまずない。」
亜美「おー。ハルお兄ちゃんありがとなの!」
ハル「さて、ちょうどよく前衛が増えたことだし、おれは亜美に実践で戦い方教えてるから2人はバックアップよろしく。」
龍哉「まかせな!」
奏太「おけ。」
ハル「亜美?とりあえずその剣この木に振ってみ?」
亜美「え?こ、こうなの?」
亜美が剣を戸惑いながら弱々しく振る、すると衝撃波が出て木は真っ二つになる。
亜美「っ!え...」
龍哉「やべぇな、軽く振ってあれかよ。」
ハル「亜美、今見たとおり、その力はとても強大だよ。だから使い方を間違えると無実の人達を殺すこともできてしまう、だからその力を制御できるように練習しような?」
亜美「はい、なの。」
亜美は自分の力に戸惑ってしまっている。
ハル「それを使いこなせればたくさんの人を守る力になるから頑張ろう?」
亜美「...はい!頑張るの!」
ハル「んじゃ!やってきますか。」
4人はモンスターを倒しに村を出て行った」
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