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ゴッドレジスタンス デュナミス
マジックナビゲーション
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「だからさぁ~.....聞こえないんだけどぉ.....もう少し声を出してくださいよぉ~、魔法少女すみれちゃぁん???」
「その性格治さないと一生魔法少女にはなれないよん♡」
すみれと呼ばれた少女「.......」
学校の中庭の隅では、カーキー色のロングヘアの大人しめな少女が、同級生らしき少女5人に囲まれていた。当然、その5人の女生徒の顔つきから伺えるのは、"すみれ"と呼ばれた少女に対し、悪意他ならないものだった。
すみれ「.....や...やめて...ください...」
「あぁ!?だから聞こえねっつってんだろ!少しは学習しろよ、キモオタ魔女!」
すみれ「.....っ」
「いつもいつもキメェ漫画なんか見てやがって!」
すみれ「あ....!」
すみれを囲っていたグループの1人がすみれの持っていた魔法少女もののファンタジー系の漫画を取り上げ、地面に叩きつけようとした瞬間...
杏奈「...何してるの?」
「なっ!?」
「なによあんた!?」
すみれ「....!?」
直前で通りかかった杏奈が取り巻きの腕を掴んで制止した。一生懸命振り払おうとしても力が強過ぎて動く事すら出来ない。
「こいつの力やばいんだけど!!」
「って、良く見たらこの人、3年の白石先輩じゃ...」
「え...!?」
「あのサッカー部所属の!?」
「学生にも関わらず、数々のスポーツ大会で優勝しまくってるあの白石杏奈先輩!?」
すると、すみれを囲っていたグループの女生徒達は青ざめながら逃げるようにその場から立ち去った。直接に杏奈はいつもの優しい顔に戻り、すみれの身を案じた。
杏奈「大丈夫?」
すみれ「...あ、ありがとう...ございます...」
杏奈「ほら、これ」
すみれ「あ、ありがとうございます!」
杏奈は取り巻きから取り戻した漫画をすみれに返した。すみれは安心した顔で大事そうに漫画を胸いっぱいに抱きしめる。
杏奈「漫画好きなんだ!」
すみれ「え....あ.....は、はい...」
杏奈「へぇー、魔法少女系の漫画か~...あ!ねぇねぇ!ちょっとだけそれ読ましてよ!」
すみれ「え!?」
杏奈「あ...駄目だった?」
すみれ「い、いえ!是非!是非読んでください!お願いします!」
杏奈「お、おぉー」
ーしばらくしてー
杏奈はすみれから借りた漫画を読み始めた。するとどうだろうか、読めば読むほどページが進んでしまう。絵柄のタッチやモノクロという限られた中でのよくこだわり抜いた色分けは勿論、キャラクターの台詞から伝わってくる心情、ここぞという時に気合いが入った作画...どれをとっても素晴らしいものだった。
杏奈「....めっっっちゃ面白い...」
すみれ「.......っ!?!?」
杏奈「やっば!サイコーだよ!この漫画!ストーリー性とかキャラクターの絵柄とかもう色々!!」
すみれ「ほ、ほ、ほ、本当ですか!?」
杏奈「あ、でもさ、この漫画作者って誰なの?」
すみれ「.....じ....実は....私が描いたんです!!」
杏奈「マジ!?」
すみれ「....言っちゃった...は、恥ずかしい....」
すみれは真っ赤になった顔を両手で覆い、少しだけ指を開いて杏奈の顔を見る。その目はキラキラと輝いていた。
すみれ「わ、私...漫画家になりたくて...小さい頃から絵を沢山描いてて...その...なんというか.....普通の人より絵を描くのには自信があるんです...」
杏奈「すっごーい!!絶対漫画家になれるよ!すみれちゃんなら!」
すみれ「ほ、本当ですか!?.....そんなに褒められたのは初めて...ありがとうございます...。」
杏奈「あ!もうすぐ授業始まる!じゃあ、また後で話を聞かせてね!」
すみれ「あ、は、はい!!」
ー放課後ー
衛「卓郎先輩~、帰りなんか食って行きましょうよ~?」
卓郎「ふふ、たまには良いね、なんか良い店知ってるのかい?」
衛「んと、最近、近くに出来たラーメン屋があるんスけど、めちゃくちゃ美味いって好評らしいッスよ!」
杏奈「私も連れてってよー!」
衛「杏奈先輩もスか?いいッスよ、俺と卓郎先輩の奢りッス!」
卓郎「ちょっと!?」
杏奈「あ、今日知り合った友達も一緒にいいかな?」
衛「良いッスよ、1人くらい増えても」
卓郎「僕の財布が空になりそうで怖いんだけど...(汗)」
『..........』
杏奈「......っ!」
卓郎「杏奈...どうし....」
衛「アイツ....!」
ほのぼのしながら会話をして歩いていると、突然杏奈の顔が険しくなって足を止めた。後の2人も合わせて止まった。何故ならその先の前方には真っ黒なスライムの様な形のボディと、赤く光る丸い目と鋭い牙が生えた口を大きく開けている怪物が居たからだ。
杏奈「嘘...異界でもないのに!」
卓郎「異界から外に飛び出して来たのかもしれない...」
衛「流石に放置したらヤバいッスよね...」
杏奈「2人共、準備は良い?」
卓郎「嗚呼、即座に仕留める!」
衛「俺はまだ戦闘は不慣れッスけど、足引っ張らないように頑張ります!」
『ガァァァ!』
怪物は口を大きく開けて杏奈を食べようとするが...
杏奈「ライトニングストライカー!」
『グゲェ!?』
杏奈による電撃のサッカーボールが喉元に命中し、怪物は怯んだ。卓郎もその隙を見逃さずに氷の槍を生成して怪物の頭上に飛びかかる。
卓郎「アイシクルランス!!」
『ギャァァ!』
額に直接槍を突き刺すと、怪物は痛みで暴れ回り、その拍子で卓郎を振り払った。
卓郎「衛!」
衛「了解ッス!」
衛も2人に続いて巨大な茨と葉で生成されたブレードで怪物の舌を斬り落とした。
『ギャァァァァァ!!』
杏奈「いい調子だね!」
卓郎「衛も大したものだ!まだ2回目の戦いなのに!」
衛「先輩方にそう言って貰えて光栄ですよ!」
『グルルルル.....!!』
しかし、その喜びも束の間、怪物がついに激昂し、傷と斬られた舌を再生させた後、地面に溶け込むように消えた。
杏奈「消えた!」
卓郎「いや!影になって地面に潜ったんだ!」
衛「マジか.....飛び出して不意打ちする気かよ?!」
すみれ「......あの人達.....」
その頃、すみれは3人と怪物が戦う様子を偶然見かけて傍観していた。
卓郎「ぐあっ!?」
すみれ「ひっ!」
卓郎が怪物からの不意打ちをくらい、傷口から血を流しているのを見て顔を青ざめ、身体を震わせて顔を両手で覆った。
衛「卓郎先輩、大丈夫で....ぐはっ!」
すみれ「.....夏目くん...!」
先輩とはいえ年齢が1つしか違わない2人、不良だったとはいえ年齢が1つしか違わない後輩が得体の知れない化け物に襲われて血を流している姿はとても残酷で目を逸らしたくなる現状だった。しかし、すみれは自分でも気が付かないうちに、彼らの元へと足を運んでいた。
杏奈「え!?嘘...すみれちゃん!?」
卓郎「なんで一般人がここに!早くここから離れるんだ!」
衛「殺されんぞ!」
すみれ「...やめて...その人達を...傷付け...ないで...!!」
怪物『グルル.....?』
衛「おい!聞いてんのかよ!?早く逃げねえと食われちまうぞ!!」
杏奈「すみれちゃん!!逃げて!」
卓郎「早くっ!!!」
すみれ「...い、いやです...皆さんを置いて逃げるなんて...できません!」
杏奈「...え!?これは?」
杏奈は自分の腕のレイジングの紋章を見てみると、紋章が強く発光しているのがわかった。卓郎と衛の2人も自分の紋章を見てみると、杏奈と全く同じ現象が起こっているのがわかる。
すみれ「うっ!」
怪物『グル!?』
すみれは右腕に激しい痛みを感じた。その激痛に耐えられず、膝を着いてしまう。怪物はこれを見逃すはずも無く、口を大きく開けて喰らおうとするが、突然、謎の光の壁が現れ、怪物をはじき飛ばし、すみれを守ったのだった。
怪物「アギャァァ!?」
すみれ「っ.....!はぁ....はぁ.....」
杏奈「あれって!?」
卓郎「ああ、間違いない!」
衛「お、おぉ...」
すみれ「....これは」
激痛が止み、落ち着いたところでゆっくり立ち上がると、自分の周りに青白い魔法陣がそれぞれ足元、左右、頭上、前後に張り巡らされていた。更に彼女の傍には、パソコンのキーボードのようなものと、目の前にテレビ画面のような物が無数にあった。
すみれ「....!わかる!」
杏奈「へ?」
すみれ「私には見えます!あの怪物の位置が!この"マジック・ナビゲーション"を通じて!!」
卓郎「マジック・ナビゲーション!?」
衛「すげぇ...マジで魔法使いじゃんか!」
すみれ「皆さん!構えて!怪物が動き出します!」
杏奈「OK!」
衛「どっからでも来いや!」
怪物『シャァァァ!!』
すみれ「右から来ます!」
衛「よし!右だな!"ディヴァインブレード!」
怪物『ギャ!?』
すみれの指示通り、右に向かって衛が茨の剣を振り下ろすと、見事奇襲しようと飛び出してきた怪物に命中した。
卓郎「やった!!」
すみれ「まだ来ます!今度は白石先輩!左下から来ます!」
杏奈「よっしゃぁ!!」
怪物『ギャァァァァァァ!!』
怪物は杏奈の左脚目掛けて奇襲を仕掛けたが、それが仇となった。杏奈の左脚によるライトニングストライカーの直接蹴りの格好の餌食だったからだ。怪物は感電してそのまま動けなくなった。
卓郎「アイシクルランス!」
怪物『ギャァァァァ!!!!』
卓郎の強烈な氷の槍によって怪物の身体に穴が開き、やがて地面に溶けて消滅した。同時にすみれもレイジング能力が切れ、その場に倒れて気を失った。
杏奈「すみれちゃん!」
卓郎「レイジング覚醒の反動だな...」
衛「俺が運びます!」
杏奈「お願いね!」
卓郎「これは美琴さん達に報告するべきだね.....。」
???「その必要はない」
突然、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた。全員が辺りを見渡していると、上空からマリエイヌが落下して、華麗に着地をした。
衛「ちょ.....あんた、どっから来たんだよ!」
マリエイヌ「西園寺すみれは我が預ける、美琴の元まで届けよう。」
卓郎「いいんですか?」
マリエイヌ「お前達には学業があるだろう、今の戦いと両立して荷重になっているだろうから一部は我々に任せよ。」
杏奈「割と優しいんだね...」
マリエイヌ「青二才とはいえ、戦力が倒れて貰っては困る、それだけだ」
そう言ってマリエイヌはすみれを抱きかかえて立ち去った。
杏奈「あー、疲れた...ねえ、帰りなんか食べて帰ろうよ?」
衛「ラーメン食います?彼処のラーメン、マジで美味いんスよ。」
卓郎「胃もたれしないか心配だね...」
次回へ続く
「その性格治さないと一生魔法少女にはなれないよん♡」
すみれと呼ばれた少女「.......」
学校の中庭の隅では、カーキー色のロングヘアの大人しめな少女が、同級生らしき少女5人に囲まれていた。当然、その5人の女生徒の顔つきから伺えるのは、"すみれ"と呼ばれた少女に対し、悪意他ならないものだった。
すみれ「.....や...やめて...ください...」
「あぁ!?だから聞こえねっつってんだろ!少しは学習しろよ、キモオタ魔女!」
すみれ「.....っ」
「いつもいつもキメェ漫画なんか見てやがって!」
すみれ「あ....!」
すみれを囲っていたグループの1人がすみれの持っていた魔法少女もののファンタジー系の漫画を取り上げ、地面に叩きつけようとした瞬間...
杏奈「...何してるの?」
「なっ!?」
「なによあんた!?」
すみれ「....!?」
直前で通りかかった杏奈が取り巻きの腕を掴んで制止した。一生懸命振り払おうとしても力が強過ぎて動く事すら出来ない。
「こいつの力やばいんだけど!!」
「って、良く見たらこの人、3年の白石先輩じゃ...」
「え...!?」
「あのサッカー部所属の!?」
「学生にも関わらず、数々のスポーツ大会で優勝しまくってるあの白石杏奈先輩!?」
すると、すみれを囲っていたグループの女生徒達は青ざめながら逃げるようにその場から立ち去った。直接に杏奈はいつもの優しい顔に戻り、すみれの身を案じた。
杏奈「大丈夫?」
すみれ「...あ、ありがとう...ございます...」
杏奈「ほら、これ」
すみれ「あ、ありがとうございます!」
杏奈は取り巻きから取り戻した漫画をすみれに返した。すみれは安心した顔で大事そうに漫画を胸いっぱいに抱きしめる。
杏奈「漫画好きなんだ!」
すみれ「え....あ.....は、はい...」
杏奈「へぇー、魔法少女系の漫画か~...あ!ねぇねぇ!ちょっとだけそれ読ましてよ!」
すみれ「え!?」
杏奈「あ...駄目だった?」
すみれ「い、いえ!是非!是非読んでください!お願いします!」
杏奈「お、おぉー」
ーしばらくしてー
杏奈はすみれから借りた漫画を読み始めた。するとどうだろうか、読めば読むほどページが進んでしまう。絵柄のタッチやモノクロという限られた中でのよくこだわり抜いた色分けは勿論、キャラクターの台詞から伝わってくる心情、ここぞという時に気合いが入った作画...どれをとっても素晴らしいものだった。
杏奈「....めっっっちゃ面白い...」
すみれ「.......っ!?!?」
杏奈「やっば!サイコーだよ!この漫画!ストーリー性とかキャラクターの絵柄とかもう色々!!」
すみれ「ほ、ほ、ほ、本当ですか!?」
杏奈「あ、でもさ、この漫画作者って誰なの?」
すみれ「.....じ....実は....私が描いたんです!!」
杏奈「マジ!?」
すみれ「....言っちゃった...は、恥ずかしい....」
すみれは真っ赤になった顔を両手で覆い、少しだけ指を開いて杏奈の顔を見る。その目はキラキラと輝いていた。
すみれ「わ、私...漫画家になりたくて...小さい頃から絵を沢山描いてて...その...なんというか.....普通の人より絵を描くのには自信があるんです...」
杏奈「すっごーい!!絶対漫画家になれるよ!すみれちゃんなら!」
すみれ「ほ、本当ですか!?.....そんなに褒められたのは初めて...ありがとうございます...。」
杏奈「あ!もうすぐ授業始まる!じゃあ、また後で話を聞かせてね!」
すみれ「あ、は、はい!!」
ー放課後ー
衛「卓郎先輩~、帰りなんか食って行きましょうよ~?」
卓郎「ふふ、たまには良いね、なんか良い店知ってるのかい?」
衛「んと、最近、近くに出来たラーメン屋があるんスけど、めちゃくちゃ美味いって好評らしいッスよ!」
杏奈「私も連れてってよー!」
衛「杏奈先輩もスか?いいッスよ、俺と卓郎先輩の奢りッス!」
卓郎「ちょっと!?」
杏奈「あ、今日知り合った友達も一緒にいいかな?」
衛「良いッスよ、1人くらい増えても」
卓郎「僕の財布が空になりそうで怖いんだけど...(汗)」
『..........』
杏奈「......っ!」
卓郎「杏奈...どうし....」
衛「アイツ....!」
ほのぼのしながら会話をして歩いていると、突然杏奈の顔が険しくなって足を止めた。後の2人も合わせて止まった。何故ならその先の前方には真っ黒なスライムの様な形のボディと、赤く光る丸い目と鋭い牙が生えた口を大きく開けている怪物が居たからだ。
杏奈「嘘...異界でもないのに!」
卓郎「異界から外に飛び出して来たのかもしれない...」
衛「流石に放置したらヤバいッスよね...」
杏奈「2人共、準備は良い?」
卓郎「嗚呼、即座に仕留める!」
衛「俺はまだ戦闘は不慣れッスけど、足引っ張らないように頑張ります!」
『ガァァァ!』
怪物は口を大きく開けて杏奈を食べようとするが...
杏奈「ライトニングストライカー!」
『グゲェ!?』
杏奈による電撃のサッカーボールが喉元に命中し、怪物は怯んだ。卓郎もその隙を見逃さずに氷の槍を生成して怪物の頭上に飛びかかる。
卓郎「アイシクルランス!!」
『ギャァァ!』
額に直接槍を突き刺すと、怪物は痛みで暴れ回り、その拍子で卓郎を振り払った。
卓郎「衛!」
衛「了解ッス!」
衛も2人に続いて巨大な茨と葉で生成されたブレードで怪物の舌を斬り落とした。
『ギャァァァァァ!!』
杏奈「いい調子だね!」
卓郎「衛も大したものだ!まだ2回目の戦いなのに!」
衛「先輩方にそう言って貰えて光栄ですよ!」
『グルルルル.....!!』
しかし、その喜びも束の間、怪物がついに激昂し、傷と斬られた舌を再生させた後、地面に溶け込むように消えた。
杏奈「消えた!」
卓郎「いや!影になって地面に潜ったんだ!」
衛「マジか.....飛び出して不意打ちする気かよ?!」
すみれ「......あの人達.....」
その頃、すみれは3人と怪物が戦う様子を偶然見かけて傍観していた。
卓郎「ぐあっ!?」
すみれ「ひっ!」
卓郎が怪物からの不意打ちをくらい、傷口から血を流しているのを見て顔を青ざめ、身体を震わせて顔を両手で覆った。
衛「卓郎先輩、大丈夫で....ぐはっ!」
すみれ「.....夏目くん...!」
先輩とはいえ年齢が1つしか違わない2人、不良だったとはいえ年齢が1つしか違わない後輩が得体の知れない化け物に襲われて血を流している姿はとても残酷で目を逸らしたくなる現状だった。しかし、すみれは自分でも気が付かないうちに、彼らの元へと足を運んでいた。
杏奈「え!?嘘...すみれちゃん!?」
卓郎「なんで一般人がここに!早くここから離れるんだ!」
衛「殺されんぞ!」
すみれ「...やめて...その人達を...傷付け...ないで...!!」
怪物『グルル.....?』
衛「おい!聞いてんのかよ!?早く逃げねえと食われちまうぞ!!」
杏奈「すみれちゃん!!逃げて!」
卓郎「早くっ!!!」
すみれ「...い、いやです...皆さんを置いて逃げるなんて...できません!」
杏奈「...え!?これは?」
杏奈は自分の腕のレイジングの紋章を見てみると、紋章が強く発光しているのがわかった。卓郎と衛の2人も自分の紋章を見てみると、杏奈と全く同じ現象が起こっているのがわかる。
すみれ「うっ!」
怪物『グル!?』
すみれは右腕に激しい痛みを感じた。その激痛に耐えられず、膝を着いてしまう。怪物はこれを見逃すはずも無く、口を大きく開けて喰らおうとするが、突然、謎の光の壁が現れ、怪物をはじき飛ばし、すみれを守ったのだった。
怪物「アギャァァ!?」
すみれ「っ.....!はぁ....はぁ.....」
杏奈「あれって!?」
卓郎「ああ、間違いない!」
衛「お、おぉ...」
すみれ「....これは」
激痛が止み、落ち着いたところでゆっくり立ち上がると、自分の周りに青白い魔法陣がそれぞれ足元、左右、頭上、前後に張り巡らされていた。更に彼女の傍には、パソコンのキーボードのようなものと、目の前にテレビ画面のような物が無数にあった。
すみれ「....!わかる!」
杏奈「へ?」
すみれ「私には見えます!あの怪物の位置が!この"マジック・ナビゲーション"を通じて!!」
卓郎「マジック・ナビゲーション!?」
衛「すげぇ...マジで魔法使いじゃんか!」
すみれ「皆さん!構えて!怪物が動き出します!」
杏奈「OK!」
衛「どっからでも来いや!」
怪物『シャァァァ!!』
すみれ「右から来ます!」
衛「よし!右だな!"ディヴァインブレード!」
怪物『ギャ!?』
すみれの指示通り、右に向かって衛が茨の剣を振り下ろすと、見事奇襲しようと飛び出してきた怪物に命中した。
卓郎「やった!!」
すみれ「まだ来ます!今度は白石先輩!左下から来ます!」
杏奈「よっしゃぁ!!」
怪物『ギャァァァァァァ!!』
怪物は杏奈の左脚目掛けて奇襲を仕掛けたが、それが仇となった。杏奈の左脚によるライトニングストライカーの直接蹴りの格好の餌食だったからだ。怪物は感電してそのまま動けなくなった。
卓郎「アイシクルランス!」
怪物『ギャァァァァ!!!!』
卓郎の強烈な氷の槍によって怪物の身体に穴が開き、やがて地面に溶けて消滅した。同時にすみれもレイジング能力が切れ、その場に倒れて気を失った。
杏奈「すみれちゃん!」
卓郎「レイジング覚醒の反動だな...」
衛「俺が運びます!」
杏奈「お願いね!」
卓郎「これは美琴さん達に報告するべきだね.....。」
???「その必要はない」
突然、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた。全員が辺りを見渡していると、上空からマリエイヌが落下して、華麗に着地をした。
衛「ちょ.....あんた、どっから来たんだよ!」
マリエイヌ「西園寺すみれは我が預ける、美琴の元まで届けよう。」
卓郎「いいんですか?」
マリエイヌ「お前達には学業があるだろう、今の戦いと両立して荷重になっているだろうから一部は我々に任せよ。」
杏奈「割と優しいんだね...」
マリエイヌ「青二才とはいえ、戦力が倒れて貰っては困る、それだけだ」
そう言ってマリエイヌはすみれを抱きかかえて立ち去った。
杏奈「あー、疲れた...ねえ、帰りなんか食べて帰ろうよ?」
衛「ラーメン食います?彼処のラーメン、マジで美味いんスよ。」
卓郎「胃もたれしないか心配だね...」
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