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第1章 広島お好み焼き屋を始めました

第20話 1枚のお好み焼き(6)

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「あっ、あ! あの、あの……。あのですね……」

 俺への呼び名を間違えたお客様は急に感情的になられて自分の金色の瞳に涙を一杯貯め、落とし始めたから。

「あ、あの、お客様……。何かありましたか……? と言うか? 僕に何か不都合がありましたか?」

 俺は自分の目の前でとうとう己の顔を両手で覆い隠し、「うぅ、ううう」と嗚咽を漏らし始めたお客様へと問う。

「うぅん、うぅん」

 彼女は首を振りつつ言葉を返してきた。

「うぅ、ううう……。先ほど店主さんが言われた【広島お好み焼き】と言う物を一枚焼いてもらえますか……。お願いします……」

 涙を流し嗚咽を漏らす彼女は俺が原因ではないとジェスチャーすれば【広島お好み焼き】の注文をしてきた。
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