俺と（従姉）姉ちゃんの良くある『今日から俺は？』の話だ。

第35話 アイツの不満……（６）

　でもこいつは、それでも俺の事が以前の時とは違い、自分の物だと勝手に思い込んでいるから、豚のようにブゥブゥと不満の漏らしながらも。俺の腫れた顔を冷蔵庫から取出してきた氷をタオルで包み、冷やし、労り、介護をしてくれた。いつも優しくね。

　でもさ、姉ちゃんこいつが俺に優しくなればなるほど嫉妬心や猜疑心を募らせるから、あいつは細かい事まで見逃さないような女になっていく。




「新作……」
「……ん？　何、姉ちゃん？」

　大変に暗く重たい声音で俺を呼ぶアイツに。夕飯を食い終えたばかりの脱衣所で服を脱いでいる最中の俺へと声を掛けてきた。

　でも俺はそれでも何も気にしないでアイツへと言葉を返した。

《ガラ……》

「何これ、新作？」

　しかしアイツはこの通りだ。俺に声を掛けたと思えば、何が気に入らないのか知らないが。荒々しい足音を立てながら脱衣所へと向かってきて扉を勢い良く開けると。
　自分の左の手に握るグラスを憤怒しながら俺に見せてきた。

「何が？」