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第33話 ストレス(5)

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「ありがとう」

 俺は姉ちゃんの華奢な指先へとついた飯粒を見ながらお礼を告げる。

「うぅん、良いよ。新作(うっふん)」

 姉ちゃんは俺のお礼を聞き、大変に嬉しそう。満足、極楽と言った感じで微笑むと、俺の頬についていた飯粒を自分の口の中へと入れてパクリ……。

 そう、コイツは完全に俺の新妻気分でいる。

 そして俺達二人の前に座る伯父さんと伯母さんも自分達の娘が許嫁だった者とちょっとした仕草やで仲慎ましい様子を見せるから。二人は心から嬉しそう……。満足、極楽と言った顔をするから。
 俺も姉ちゃんへと『俺は今心に想い、どうしよう? と悩んでいる女性が二人も居るから、こんな事は辞めてくれ! あいつらに悪いから!』と荒々しく告げる事ができないでいるからストレスばかりを貯め込んでしまう。

 まあ、そんな俺だから。姉ちゃんが俺の気を引こう、取り戻そうと尽くしてくれても。顔の顔はいつも強張った顔……。引き攣りつつ、にへらと笑いながらお礼を言い続けるから。
 アイツは心に傷を負い続け、癒す事もできないで、俺への猜疑心を募らせていくからとうとう事件が起きてしまう。


 ◇◇◇

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