俺と（従姉）姉ちゃんの良くある『今日から俺は？』の話だ。

第32話 家族の思い（８）

《ガラガラ》

《ガラガラ》

　脱衣所の扉をスライドする音と風呂場の扉を連続で開ける音──。人の足音……。それも二人分の足音がすれば。

「新作ー！　美奈子が何か悪い事をまたしたのかー？」
「新ちゃん、大丈夫？」

　俺が姉ちゃんから何か悪さをされたのではないか？　と心配した伯父さんと伯母さんの大きな声が俺の耳へと聞こえてきたから。

『不味い！　どうしよう？』と俺は自身の脳内で思いつつ顔色を変えてしまう。

　だって姉ちゃんが真っ裸で俺の背……。後ろでシクシクと泣いているから。俺が姉ちゃんへといやらしい悪戯行為をした確信犯に見える！　

　だから俺は伯父さんと伯母さんにどう言い訳をしようか？　と顔色を変えながら思う。

　でもいくら悩んでも俺と姉ちゃんの姿を二人が見れば疚しい事……。エッチな事……。

　それも俺がお風呂に入っている姉ちゃんの事を思春期の性欲に任せて凌辱行為をしたように見えるから。

「あ、あのね、伯父さん、伯母さん……。俺が風呂場で身体を洗っていたら、姉ちゃんが裸で入ってきて、幼い頃のように一緒にお風呂に入ろうと言ってきたのだけれど。俺も姉ちゃんも高校生で身体も大人だから。そんな事をすれば子供ができたりして大変な事になるから駄目だよと告げて。姉ちゃんに今直ぐ風呂場から出て行ってくれと告げたら。俺が姉ちゃんに優しくないからと言って泣きだしたのだけれど。俺と姉ちゃんがこの歳で一緒に風呂に入ったら不味いよね、伯父さん、伯母さん？」

　俺は本当に困った顔……。もうそれこそ？　姉ちゃんではないけれど。こんな姿、様子を伯父さんと伯母さんに見られてしまったから。二人からの信用を失った俺は、今にも泣きそうな顔で事情説明をした。