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■舞台は夢の世界編
【23】
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ガイアは夢の北国を歩きながら、適当なタイミングで立ち止まり、空に向かって魔法弾を撃っていた。
魔法弾はある程度の高さまで達すると、まるで花火のように炸裂して大きな光と音を放つはずだった。
「……う~む、ダメか」
しかし、期待した変化は起こらず、魔法弾はただ虚しく空に消えていくだけだった。
「簡単に合流できるとは思っていなかったが、やはり邪魔が入るか。これ以上はただ光力の無駄だな。しかし、この大国の中を走り回ってロゼンとイデアを探すのは非効率だし、あまり時間をかけていると囚われている北国の住人の精神体がどうなるかわから……」
ガイアは言葉を止め、盛り上がってくる地面から飛び出してきたゾンビたちに魔銃を向けて発砲した。
「む?」
1体を残して他のゾンビは仕留めたが、残った1体だけが他と比べてあきらかに速く、直線的ではなく変則的な動きで向かってくる。
足に噛みつかれる寸前で、ガイアは地面を蹴って後方に跳んで回避し、同時に鳴り響いた銃弾がゾンビの額に穴をあけた。
「……なるほど、ゾンビのレベルにもまだ上があるわけか。今の程度ならまだ問題はないが、どこまで上があるのかわからんのは少々厄介だな」
地面に吸い込まれるように沈んでいく動かぬゾンビたちを見ながら、ガイアは考える。
「このまま終わらないモグラたたきのようにゾンビの相手を続けるのは時間と光力の無駄だ。合流を優先したいが、その方法も対策されている……周りの建物を片っ端から破壊した場合、どうなるかも確認しておくべきか?」
しかしその場合、ここの住人の精神体に何らかの影響を与えるかもしれない。
本来なら、ナイトメアを倒さなければならない時間の制限もあるはずだ。
「ククルとエルフはそのことには触れなかったが……まあ、犠牲はやむなし、全員を救うことは不可能だと諦め、無駄にこちらを縛ることなくナイトメアの討伐を優先させたということか」
もちろん、全ての住人を救うなどと、実現不可能なことを言うつもりはないが、
「私は勇者、できるなら犠牲は極力減らしたいものだ。無駄に建物を破壊する行為は控えておくか」
しかし、そうなると手詰まりだ。本当に歩いて仲間を探し回ることしか方法がなくなってしまう。
「イデアは……一匹狼タイプだから、仲間を探すのは苦手だろう。あとはロゼン、お前ならどうす……」
ガイアは言葉を止めた。なにかを感じたのだ。音ではない。今のは小さくではあるが、なにかがぶつかったような衝撃だ。
ガイアはすぐに近くの民家の屋根に飛び乗り、違和感を感じた方向に顔を向けた。
「ははは、そうかロゼン、お前ならそうするのか!」
ガイアは、白銀に光輝く竜に向かって一目散に走りだした。
魔法弾はある程度の高さまで達すると、まるで花火のように炸裂して大きな光と音を放つはずだった。
「……う~む、ダメか」
しかし、期待した変化は起こらず、魔法弾はただ虚しく空に消えていくだけだった。
「簡単に合流できるとは思っていなかったが、やはり邪魔が入るか。これ以上はただ光力の無駄だな。しかし、この大国の中を走り回ってロゼンとイデアを探すのは非効率だし、あまり時間をかけていると囚われている北国の住人の精神体がどうなるかわから……」
ガイアは言葉を止め、盛り上がってくる地面から飛び出してきたゾンビたちに魔銃を向けて発砲した。
「む?」
1体を残して他のゾンビは仕留めたが、残った1体だけが他と比べてあきらかに速く、直線的ではなく変則的な動きで向かってくる。
足に噛みつかれる寸前で、ガイアは地面を蹴って後方に跳んで回避し、同時に鳴り響いた銃弾がゾンビの額に穴をあけた。
「……なるほど、ゾンビのレベルにもまだ上があるわけか。今の程度ならまだ問題はないが、どこまで上があるのかわからんのは少々厄介だな」
地面に吸い込まれるように沈んでいく動かぬゾンビたちを見ながら、ガイアは考える。
「このまま終わらないモグラたたきのようにゾンビの相手を続けるのは時間と光力の無駄だ。合流を優先したいが、その方法も対策されている……周りの建物を片っ端から破壊した場合、どうなるかも確認しておくべきか?」
しかしその場合、ここの住人の精神体に何らかの影響を与えるかもしれない。
本来なら、ナイトメアを倒さなければならない時間の制限もあるはずだ。
「ククルとエルフはそのことには触れなかったが……まあ、犠牲はやむなし、全員を救うことは不可能だと諦め、無駄にこちらを縛ることなくナイトメアの討伐を優先させたということか」
もちろん、全ての住人を救うなどと、実現不可能なことを言うつもりはないが、
「私は勇者、できるなら犠牲は極力減らしたいものだ。無駄に建物を破壊する行為は控えておくか」
しかし、そうなると手詰まりだ。本当に歩いて仲間を探し回ることしか方法がなくなってしまう。
「イデアは……一匹狼タイプだから、仲間を探すのは苦手だろう。あとはロゼン、お前ならどうす……」
ガイアは言葉を止めた。なにかを感じたのだ。音ではない。今のは小さくではあるが、なにかがぶつかったような衝撃だ。
ガイアはすぐに近くの民家の屋根に飛び乗り、違和感を感じた方向に顔を向けた。
「ははは、そうかロゼン、お前ならそうするのか!」
ガイアは、白銀に光輝く竜に向かって一目散に走りだした。
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