122 / 145
■舞台は夢の世界編
【19】
しおりを挟む
「──む?」
ガイアは突如変わった景色に目をぱちくりとさせた。
精神体の転送を待つべく横たわっていただけなのに、もの凄い浮遊感が突如として生まれたからだ。
「おぉおぉぉ!?」
しかも、まるで自分が落ちているみたいに、上に見える景色が遠ざかり、下に見える景色が近づいてくる。
「おおおぉぉおおぉ!」
ガイアは認めたくなかった。転送された地点が空中であり、そこから現在進行形で自分が落ちていることに。
「お、おのれエルフめ! もう少しマシな場所に転送できんかったのか!」
初めての精神世界のスタートがこれとは予想していなかったため悪態をつくが、とにかく今はこの状況をなんとかしなくてはならない。
器用に着地する自信がないため、仕方ないから光力で身体を全開に包みこみ、落ちた時の衝撃を和らげることにする。
「む!?」
虹色の光に身を包んだ時、落下しながら向かっている地点の地面からなにかが生えてくるのが見えた。
身体を腐敗させた人間のようななにか、アンデッドとも呼べるものが、地面から雑草のようにわらわらと姿を現してくる。
「あ、あああ、つ、次から次へと!」
このままただ落ちると、アンデッドの集団に突っ込むことになるだろう。
「いかん! このままでは、アンデッドたちにこの美女がもみくちゃにされて“見せられないよ”の看板が必要な状態になってしまう!」
謎の状態を妄想してあせった自称美女のガイアは、左右のズボンと腰に装備してあるガンホルダーの内、そのひとつに手をかけた。
ガイアが愛用の3丁の魔銃。
半自動式。
フルオート。
3点バースト。
個々の魔銃の性質を分類するならこの名称になるだろう。
ガイアはフルオートをガンホルダーから抜きとると、アンデッドの集団に銃口を向けた。
「『魔法銃“スサノオ”』」
業名と共に虹色に包まれたフルオートの引き金が引かれる。
次の瞬間に起こったのは、数えきれないほどの弾丸が雨のようにアンデッドたちに襲いかかる光景だった。
そこだけ世界が違うような暴風雨。
飲み込まれて消えていく屍の集団。
そして───
「ふっ……また、つまらぬものを撃ってしまった」
ひどくえぐられた地面に降り立ったガイアはフルオートをホルダーにしまい、バラバラになったアンデッドたちを横目につぶやく。
「ロゼンとイデアは……まあ近くにはおらんな。まずは合流するのを優先に行動するべきか」
ガイアは散らばったアンデッドのなかを歩きだした。
『……アア…ウァ゙ア…』
銃声が響く。
うめき声をあげながらガイアの足を掴もうとしていたアンデッドはこめかみに穴をあけ、その場に崩れ落ちた。
「……1匹仕留めそこなっておったか。転送の状況に驚いていたとはいえ、私も腕が鈍っておるのかな」
ガンホルダーから引き抜きぬいた半自動魔銃をしまい、ガイアは他の勇者たちを探すために歩きだした。
ガイアは突如変わった景色に目をぱちくりとさせた。
精神体の転送を待つべく横たわっていただけなのに、もの凄い浮遊感が突如として生まれたからだ。
「おぉおぉぉ!?」
しかも、まるで自分が落ちているみたいに、上に見える景色が遠ざかり、下に見える景色が近づいてくる。
「おおおぉぉおおぉ!」
ガイアは認めたくなかった。転送された地点が空中であり、そこから現在進行形で自分が落ちていることに。
「お、おのれエルフめ! もう少しマシな場所に転送できんかったのか!」
初めての精神世界のスタートがこれとは予想していなかったため悪態をつくが、とにかく今はこの状況をなんとかしなくてはならない。
器用に着地する自信がないため、仕方ないから光力で身体を全開に包みこみ、落ちた時の衝撃を和らげることにする。
「む!?」
虹色の光に身を包んだ時、落下しながら向かっている地点の地面からなにかが生えてくるのが見えた。
身体を腐敗させた人間のようななにか、アンデッドとも呼べるものが、地面から雑草のようにわらわらと姿を現してくる。
「あ、あああ、つ、次から次へと!」
このままただ落ちると、アンデッドの集団に突っ込むことになるだろう。
「いかん! このままでは、アンデッドたちにこの美女がもみくちゃにされて“見せられないよ”の看板が必要な状態になってしまう!」
謎の状態を妄想してあせった自称美女のガイアは、左右のズボンと腰に装備してあるガンホルダーの内、そのひとつに手をかけた。
ガイアが愛用の3丁の魔銃。
半自動式。
フルオート。
3点バースト。
個々の魔銃の性質を分類するならこの名称になるだろう。
ガイアはフルオートをガンホルダーから抜きとると、アンデッドの集団に銃口を向けた。
「『魔法銃“スサノオ”』」
業名と共に虹色に包まれたフルオートの引き金が引かれる。
次の瞬間に起こったのは、数えきれないほどの弾丸が雨のようにアンデッドたちに襲いかかる光景だった。
そこだけ世界が違うような暴風雨。
飲み込まれて消えていく屍の集団。
そして───
「ふっ……また、つまらぬものを撃ってしまった」
ひどくえぐられた地面に降り立ったガイアはフルオートをホルダーにしまい、バラバラになったアンデッドたちを横目につぶやく。
「ロゼンとイデアは……まあ近くにはおらんな。まずは合流するのを優先に行動するべきか」
ガイアは散らばったアンデッドのなかを歩きだした。
『……アア…ウァ゙ア…』
銃声が響く。
うめき声をあげながらガイアの足を掴もうとしていたアンデッドはこめかみに穴をあけ、その場に崩れ落ちた。
「……1匹仕留めそこなっておったか。転送の状況に驚いていたとはいえ、私も腕が鈍っておるのかな」
ガンホルダーから引き抜きぬいた半自動魔銃をしまい、ガイアは他の勇者たちを探すために歩きだした。
10
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【短編】追放した仲間が行方不明!?
mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。
※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
いい子ちゃんなんて嫌いだわ
F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが
聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。
おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。
どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。
それが優しさだと思ったの?
りんねに帰る
jigoq
ファンタジー
人間の魂を回収し、輪廻に乗せる仕事を担う下級天使のルシア。ある日、バディのフーガと魂の回収に向かった先で死神の振るう大鎌に殺されそうになる。それを庇ったフーガが殺されたかに思えた。しかし大鎌は寸前で止められる。その時ルシアの耳朶を打ったのは震える声。――死神は泣いていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる