115 / 145
■舞台は夢の世界編
【12】
しおりを挟む
ククルは口下手なエルフに代わり説明を始める。
「悪魔ナイトメア。こいつは特異な異世界をつくる能力をもつ悪魔。その異世界は夢の世界と表現される。今は北国にいる人間たちがその影響下にあり、肉体と精神が分離し夢の世界に落とされ眠らされている状態になっておる」
ロゼンが驚いた顔になる。
「肉体と精神を切り離す……そんなことできるのか?」
「まあ、できとる以上可能なのだろうな。自分でそれを行うのはともかく、他人にそれを強制するのはさすが悪魔の能力と言わざるを得えん。しかも範囲を限定して自身がそこから動かない条件つきとはいえ、一国単位の人間を丸ごと自身の世界に飲み込むなど、驚くしかない能力規模でもある」
ククルはそう答えたあと、3人の勇者の顔を順番に見る。
「夢の世界に侵入し、ナイトメアの支配化におかれることなく活動するには、非常に強い状態異常の耐性がある職業……すなわちお前さんがた勇者がもっとも適任であるわけじゃ。夢の世界に入ったはいいが、眠らされましたではなんの意味もないからの。このめんどくさい条件さえなければ、世界守備隊の戦闘部隊を送りこんでささっと解決できたかもしれんのじゃが」
話を聞き、ガイアは自身満々に腕を組む。
「なにを言う、勇者3人という贅沢なメンバーでささっと解決してやろうではないか。それで夢の世界に入るにはどうしたらいいんだ?」
「それは……ほれエルフ、お前さんの番だぞ」
『ふぁ!? は、はぴ!』
ククルの後ろに隠れていた気配が前に出てきた。
『わわ、私が勇者の皆様を夢の世界にお送りします! す、すでに準備はできていますので、そこに横になって寝ころんで頂ければばば、あとぱお任せくださひ!』
エルフに言われ、ガイアは考えるような仕草をとる。
「やはり我々も肉体をここに置き、精神体のみが飛ばされる感じか?」
『は、はい!』
「その場合、武器はどうなるんだ? 私は愛用のこの魔銃以外だと困るし、イデアの悪魔ブラッドとか、ロゼンだって自慢気に話してくれたことのある伝説の剣が使えないと困るだろう?」
「え…………あ、うん、まあ、うん」
ロゼンは曖昧な答えで濁した。
『だ、だいじょうびです! 武器は直接、精神世界に転送しましゅ。それぐらいの無理なら私ばんばれます! 任せてくださぴぃ……い!』
本当にだいじょうびかな、と一同は心配になった。
「……ごめんね、私の武器ではあるけど悪魔ブラッドはどうなのかな? 悪魔だけど武器というくくりで転送可能ということでいい?」
イデアも心配だったのかエルフに尋ねた。
『ええっと……その悪魔は……はい、イデアさんについてくるため問題ないと思います……』
エルフの答えを聞き、イデアは、そう良かった、と一言つぶやいた。
そんなイデアをちらっと見たあと、ガイア一瞬顔をうつむかせてから勢いよく立ち上がる。
「よおし、出発前の問題はクリアした! あとやることは簡単だ、悪魔ナイトメアをぶっ倒す! ……というわけで横になって寝ころべばいいんだな?」
『は、はははははい!』
エルフの指示に従い、勇者たち3人は並んで床に寝ころんだ。
正直、肉体と精神が離れるのは初めての体験であるためロゼンとガイアは緊張気味の表情になり、赤い大鎌をお腹に乗せて寝ころぶイデアは緊張と無縁なリラックスしている様子だった。
『で、では、目をつむってください。始めま……』
そこでエルフの言葉が止まる。
同時に勇者たちは目を開けて上体を起こした。
その直後強いエネルギーの波動が生まれ、嵐に飲まれたようにテントが大きく揺れ動いた。
「悪魔ナイトメア。こいつは特異な異世界をつくる能力をもつ悪魔。その異世界は夢の世界と表現される。今は北国にいる人間たちがその影響下にあり、肉体と精神が分離し夢の世界に落とされ眠らされている状態になっておる」
ロゼンが驚いた顔になる。
「肉体と精神を切り離す……そんなことできるのか?」
「まあ、できとる以上可能なのだろうな。自分でそれを行うのはともかく、他人にそれを強制するのはさすが悪魔の能力と言わざるを得えん。しかも範囲を限定して自身がそこから動かない条件つきとはいえ、一国単位の人間を丸ごと自身の世界に飲み込むなど、驚くしかない能力規模でもある」
ククルはそう答えたあと、3人の勇者の顔を順番に見る。
「夢の世界に侵入し、ナイトメアの支配化におかれることなく活動するには、非常に強い状態異常の耐性がある職業……すなわちお前さんがた勇者がもっとも適任であるわけじゃ。夢の世界に入ったはいいが、眠らされましたではなんの意味もないからの。このめんどくさい条件さえなければ、世界守備隊の戦闘部隊を送りこんでささっと解決できたかもしれんのじゃが」
話を聞き、ガイアは自身満々に腕を組む。
「なにを言う、勇者3人という贅沢なメンバーでささっと解決してやろうではないか。それで夢の世界に入るにはどうしたらいいんだ?」
「それは……ほれエルフ、お前さんの番だぞ」
『ふぁ!? は、はぴ!』
ククルの後ろに隠れていた気配が前に出てきた。
『わわ、私が勇者の皆様を夢の世界にお送りします! す、すでに準備はできていますので、そこに横になって寝ころんで頂ければばば、あとぱお任せくださひ!』
エルフに言われ、ガイアは考えるような仕草をとる。
「やはり我々も肉体をここに置き、精神体のみが飛ばされる感じか?」
『は、はい!』
「その場合、武器はどうなるんだ? 私は愛用のこの魔銃以外だと困るし、イデアの悪魔ブラッドとか、ロゼンだって自慢気に話してくれたことのある伝説の剣が使えないと困るだろう?」
「え…………あ、うん、まあ、うん」
ロゼンは曖昧な答えで濁した。
『だ、だいじょうびです! 武器は直接、精神世界に転送しましゅ。それぐらいの無理なら私ばんばれます! 任せてくださぴぃ……い!』
本当にだいじょうびかな、と一同は心配になった。
「……ごめんね、私の武器ではあるけど悪魔ブラッドはどうなのかな? 悪魔だけど武器というくくりで転送可能ということでいい?」
イデアも心配だったのかエルフに尋ねた。
『ええっと……その悪魔は……はい、イデアさんについてくるため問題ないと思います……』
エルフの答えを聞き、イデアは、そう良かった、と一言つぶやいた。
そんなイデアをちらっと見たあと、ガイア一瞬顔をうつむかせてから勢いよく立ち上がる。
「よおし、出発前の問題はクリアした! あとやることは簡単だ、悪魔ナイトメアをぶっ倒す! ……というわけで横になって寝ころべばいいんだな?」
『は、はははははい!』
エルフの指示に従い、勇者たち3人は並んで床に寝ころんだ。
正直、肉体と精神が離れるのは初めての体験であるためロゼンとガイアは緊張気味の表情になり、赤い大鎌をお腹に乗せて寝ころぶイデアは緊張と無縁なリラックスしている様子だった。
『で、では、目をつむってください。始めま……』
そこでエルフの言葉が止まる。
同時に勇者たちは目を開けて上体を起こした。
その直後強いエネルギーの波動が生まれ、嵐に飲まれたようにテントが大きく揺れ動いた。
20
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【短編】追放した仲間が行方不明!?
mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。
※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
家族で冒険者になろう
ゆぃ♫
ファンタジー
ある日何も無い日常から、ファンタジーに少しずつ変わっていくお話
平凡日常系ファンタジーです。
虫の魔物などが出る予定なので苦手な方はタイトルで読み飛ばしてください。
拙い文章ですが読んでいただけると幸いです。月曜日に不定期に配信します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる