39 / 145
■手に汗握る博打編
【11】
しおりを挟む
ロゼンとティアがポーカーテーブルを囲む群衆のそばまでやってくると、
「おいおい……どうすんだこれ……」
「つ、つええ……」
静かにざわつく声が聞こえてきた。
盛り上がりと正反対の暗い雰囲気を醸し出している群衆を見て、2人はすぐになにかが起きていることに気がついた。
「ロゼン」
「わかってるよ。悪いちょっと通してくれ」
ロゼンは群衆の壁に割り込み、ティアがあとに続いてテーブルのほうに近づいていく。
「───」
テーブルの姿が見えてきて2人は驚いた。
見えたのは、席に座っている人型のブリキの人形みたいな存在と、テーブルのそばの床に並べられている4人の人間たちの姿。
「ミ、ミモザ!」
床に横たわっている人間のひとりが自分たちの仲間だったため、ティアは駆け寄っていく。
『オマエガ ツギノ チョウセンシャカ?』
ミモザの状態を確認するティアに、ブリキ人形が尋ねてきた。
「……あなたトイね。魔物研究所から脱走してこんなところにいたの?」
『ベツニ ドコニ イヨウガ ボクノ カッテダロ。オマエハ ソイツノ ナカマカ?』
「寝ているのをみると、ミモザはあなたとのゲームに負けたのね」
『イマノ トコロ ソイツトノ アソビガ イチバン タノシカッタゾ。ツヅイテキタ ヤツラハ ダメダメダ。オマエハ スコシ カシコソウ ダナ。ドウスル アソブカ?』
トイとティアのやりとりを見て、ロゼンはそばにいた群衆のひとりに尋ねる。
「なあ、なんでモンスターとゲームなんかしてるんだ? さっさと捕まえちまえばいいんじゃないのか?」
「──その質問には私がお答えしよう」
横からおじさんが急に割り込んできた。
「だれ?」
「この国の守備隊長をしているものだ」
「隊長って……だったら国のピンチはあんたが一番に動かないといけないだろ」
「この国ではカジノ運営を止めないようこっそり対処しなければならんのだ。私の部下を2人ゲームに送ったがあっさり負けた。やつは強いぞ」
「だからそれはゲームの話だろ。4人も倒れてんだからもう力づくでいけばいいだろ」
「キミは冒険者だから簡単にそんなことが言えるんだ。キミの国だって独自のルールがあったりするだろ? この国でそれは最終手段だ。カジノ側もこれ以上客が入ってこないようにしてくれているし、客の人数が減りしだい状況に応じて武力で動くつもりではいる」
「……ああ、そう。モンスター1匹に大変だな」
「ここじゃなければいくらでも対処の仕様があるのだが。簡単に侵入させてしまったこちらのミスは否めないだろう。それにゲームに勝てばいうことを聞くと言っているし、トランプの魔人と言われた私も一発挑んでみるかな」
トランプの魔人と言われたらしい守備隊長が動き出す。
『ン? ツギハ オマエカ?』
「ああ、そして私で最後だ」
かっこいいセリフを言いながら守備隊長は席についた。
いざ、勝負開始!
「おいおい……どうすんだこれ……」
「つ、つええ……」
静かにざわつく声が聞こえてきた。
盛り上がりと正反対の暗い雰囲気を醸し出している群衆を見て、2人はすぐになにかが起きていることに気がついた。
「ロゼン」
「わかってるよ。悪いちょっと通してくれ」
ロゼンは群衆の壁に割り込み、ティアがあとに続いてテーブルのほうに近づいていく。
「───」
テーブルの姿が見えてきて2人は驚いた。
見えたのは、席に座っている人型のブリキの人形みたいな存在と、テーブルのそばの床に並べられている4人の人間たちの姿。
「ミ、ミモザ!」
床に横たわっている人間のひとりが自分たちの仲間だったため、ティアは駆け寄っていく。
『オマエガ ツギノ チョウセンシャカ?』
ミモザの状態を確認するティアに、ブリキ人形が尋ねてきた。
「……あなたトイね。魔物研究所から脱走してこんなところにいたの?」
『ベツニ ドコニ イヨウガ ボクノ カッテダロ。オマエハ ソイツノ ナカマカ?』
「寝ているのをみると、ミモザはあなたとのゲームに負けたのね」
『イマノ トコロ ソイツトノ アソビガ イチバン タノシカッタゾ。ツヅイテキタ ヤツラハ ダメダメダ。オマエハ スコシ カシコソウ ダナ。ドウスル アソブカ?』
トイとティアのやりとりを見て、ロゼンはそばにいた群衆のひとりに尋ねる。
「なあ、なんでモンスターとゲームなんかしてるんだ? さっさと捕まえちまえばいいんじゃないのか?」
「──その質問には私がお答えしよう」
横からおじさんが急に割り込んできた。
「だれ?」
「この国の守備隊長をしているものだ」
「隊長って……だったら国のピンチはあんたが一番に動かないといけないだろ」
「この国ではカジノ運営を止めないようこっそり対処しなければならんのだ。私の部下を2人ゲームに送ったがあっさり負けた。やつは強いぞ」
「だからそれはゲームの話だろ。4人も倒れてんだからもう力づくでいけばいいだろ」
「キミは冒険者だから簡単にそんなことが言えるんだ。キミの国だって独自のルールがあったりするだろ? この国でそれは最終手段だ。カジノ側もこれ以上客が入ってこないようにしてくれているし、客の人数が減りしだい状況に応じて武力で動くつもりではいる」
「……ああ、そう。モンスター1匹に大変だな」
「ここじゃなければいくらでも対処の仕様があるのだが。簡単に侵入させてしまったこちらのミスは否めないだろう。それにゲームに勝てばいうことを聞くと言っているし、トランプの魔人と言われた私も一発挑んでみるかな」
トランプの魔人と言われたらしい守備隊長が動き出す。
『ン? ツギハ オマエカ?』
「ああ、そして私で最後だ」
かっこいいセリフを言いながら守備隊長は席についた。
いざ、勝負開始!
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【短編】追放した仲間が行方不明!?
mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。
※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる