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■救助編
【12】
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ロゼンがパーティーの元に走りだすと、
『グオォォオォオォォオォオォォオォ!』
ギガンオウが走って追ってくる。巨体のわりにその速さはロゼンに負けていない。
「ちっ!」
でかいくせに速い。さすがは魔本で[まあ、そこそこ危険]認定されているモンスターだ。
簡単には逃げられない。そう判断したロゼンは、腰についている鞘から剣を引き抜いた。
「ロゼン!」
仲間の元に戻ろうとする最中、パーティーの一人であるゼンスが名を呼んでくる。
「わかってる、安心しろ!」
──ちゃんと無事にお前達の元まで行くからよ。
それは口に出さなくとも伝わる思いのはずだった。
「お前がこっち来たら俺たちまでやばいだろ! ちょっとは考えろ!」
しかしまったく伝わっておらず、結構冷たい言葉が返ってきた。
「………」
見えない氷の壁に遮られたロゼンはその場で立ち止まった。
『グオォォオォオォォオォオォォオォ!』
立ち止まったロゼンに追い付くと、ギガンオウは巨大な右手を振り落としてきた。
「なめんな!」
ロゼンは剣でそれを受け止める。が、ギガンオウのパワーに耐えれず、なんと剣にヒビが入ってしまった。
「はあ!? んな馬鹿な! これはミモザが買ってきた伝説の剣……」
そこで言葉を止め、氷の壁の向こうにいるミモザに顔を向けた。
「え? まさか伝説の剣は嘘?」
ロゼンの問い掛けに、ミモザは小さくうなずいた。
「5¢で買ってきたボロ剣です。今まで戦いの衝撃に耐えてきたのが信じられません」
「ヤッホーイ!」
ミモザの爆弾発言に思考が暴発したのか、ロゼンはその場で踊りだした。
「お、落ち着け、ロゼン!」
「もけけけけっ」
真実を知って完全にイッてしまったロゼンを見て、さすがのパーティーもどん引きになった。
しかしギガンオウまでどん引きして後ろに下がっているため、とりあえず無事が確保でき結果オーライの形となった。
「よっしゃ!」
ギガンオウが隙をみせたので今が好機とみたのか、ゼンスはいきおいよく飛び出し、踊っているロゼンに強烈な蹴りを食らわせた。
「うぐぉふぅイヤァァァ!」
ロゼンは「イヤァァァ!」と悲鳴をあげてぶっ飛んでいき、壁に激突してめり込んでいった。
「うらぁ!」
ゼンスは空中で身体を器用に回し、今度はギガンオウの顔に鋭い蹴りをたたき込む。
『グオォァァォオォオァァォォオォオォァァォォアアァァイヤァァァ!』
なんか悲鳴を学習したギガンオウは『イヤァァァ!』と発音よく叫びながらぶっ飛んでいった。
「やッ!」
ミモザはぶっ飛んでいくギガンオウに追い付くと顔面に向かってハンマーを振り落とした。その一撃は重い音を響かせて巨体を地面に叩きつける。
「『紅の砲弾は魔人の頬を傾ける』!」
ティアは炎を圧縮した砲弾のような魔法を撃ちだすと、起きあろうとしているギガンオウの顔面にクリーンヒットさせた。
『イ、イヤァァァ!』
執拗に顔を狙って攻めるという鬼畜の所行のような攻め方をされたせいか、ギガンオウは悲鳴をあげながら塵のように消えていった。
『グオォォオォオォォオォオォォオォ!』
ギガンオウが走って追ってくる。巨体のわりにその速さはロゼンに負けていない。
「ちっ!」
でかいくせに速い。さすがは魔本で[まあ、そこそこ危険]認定されているモンスターだ。
簡単には逃げられない。そう判断したロゼンは、腰についている鞘から剣を引き抜いた。
「ロゼン!」
仲間の元に戻ろうとする最中、パーティーの一人であるゼンスが名を呼んでくる。
「わかってる、安心しろ!」
──ちゃんと無事にお前達の元まで行くからよ。
それは口に出さなくとも伝わる思いのはずだった。
「お前がこっち来たら俺たちまでやばいだろ! ちょっとは考えろ!」
しかしまったく伝わっておらず、結構冷たい言葉が返ってきた。
「………」
見えない氷の壁に遮られたロゼンはその場で立ち止まった。
『グオォォオォオォォオォオォォオォ!』
立ち止まったロゼンに追い付くと、ギガンオウは巨大な右手を振り落としてきた。
「なめんな!」
ロゼンは剣でそれを受け止める。が、ギガンオウのパワーに耐えれず、なんと剣にヒビが入ってしまった。
「はあ!? んな馬鹿な! これはミモザが買ってきた伝説の剣……」
そこで言葉を止め、氷の壁の向こうにいるミモザに顔を向けた。
「え? まさか伝説の剣は嘘?」
ロゼンの問い掛けに、ミモザは小さくうなずいた。
「5¢で買ってきたボロ剣です。今まで戦いの衝撃に耐えてきたのが信じられません」
「ヤッホーイ!」
ミモザの爆弾発言に思考が暴発したのか、ロゼンはその場で踊りだした。
「お、落ち着け、ロゼン!」
「もけけけけっ」
真実を知って完全にイッてしまったロゼンを見て、さすがのパーティーもどん引きになった。
しかしギガンオウまでどん引きして後ろに下がっているため、とりあえず無事が確保でき結果オーライの形となった。
「よっしゃ!」
ギガンオウが隙をみせたので今が好機とみたのか、ゼンスはいきおいよく飛び出し、踊っているロゼンに強烈な蹴りを食らわせた。
「うぐぉふぅイヤァァァ!」
ロゼンは「イヤァァァ!」と悲鳴をあげてぶっ飛んでいき、壁に激突してめり込んでいった。
「うらぁ!」
ゼンスは空中で身体を器用に回し、今度はギガンオウの顔に鋭い蹴りをたたき込む。
『グオォァァォオォオァァォォオォオォァァォォアアァァイヤァァァ!』
なんか悲鳴を学習したギガンオウは『イヤァァァ!』と発音よく叫びながらぶっ飛んでいった。
「やッ!」
ミモザはぶっ飛んでいくギガンオウに追い付くと顔面に向かってハンマーを振り落とした。その一撃は重い音を響かせて巨体を地面に叩きつける。
「『紅の砲弾は魔人の頬を傾ける』!」
ティアは炎を圧縮した砲弾のような魔法を撃ちだすと、起きあろうとしているギガンオウの顔面にクリーンヒットさせた。
『イ、イヤァァァ!』
執拗に顔を狙って攻めるという鬼畜の所行のような攻め方をされたせいか、ギガンオウは悲鳴をあげながら塵のように消えていった。
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