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■救助編
【8】
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洞窟の中に入ったロゼンパーティーは緊張感を持って進んでいた。
「暗いね……」
「まあ、洞窟だからな」
「歩く音が響くな……」
「まあ、洞窟だからな」
「お金が上手く数えられませんね」
「まあ、洞窟だからな」
パーティーの無駄口を聞き流しつつ、先頭を歩くロゼンはたいまつ片手に先を進んでいく。
「お腹空いたぁ」
「まあ、洞窟だからな」
「寝みいよぉ」
「まあ、洞窟だからな」
「ここで誰か死んでも完全犯罪が成立しますね」
「まあ、洞窟だからな」
ロゼンは(ん? 今、変な問い掛けが…)と思ったがスルーすることにした。
「何にもいなくない?」
「俺たちがいるだろ」
「ここに極悪、非道、凶悪なロブスターがいるんじゃねえのかよ」
「ロブスターじゃなくてモンスターな」
「あ、1¢を落としました!」
「あきらめろ。この暗さじゃ見つか」
──ドゴンッ!
うかつにもノリでミモザに【お金をあきらめろ】という禁句を言ってしまったロゼンは鋼鉄ハンマーで叩き潰された。
「お金を捨てるというのは、命を捨てる覚悟も必要なんですよ?」
「……お、俺の命は1¢なのか?」
「金額の問題じゃありません。“1¢に笑う者は1¢に呪い殺される”ということわざがあるでしょう?」
「そんな恐怖を植え付ける内容のことわざだったけ?」
「いいから、探しますよ」
「…わ、わかりました。わかったからハンマーを強く押し付けないでくれ。じゅうたんになっちまう」
とりあえず、ロゼンパーティーは1¢を探し始めましたとさ。
「暗いね……」
「まあ、洞窟だからな」
「歩く音が響くな……」
「まあ、洞窟だからな」
「お金が上手く数えられませんね」
「まあ、洞窟だからな」
パーティーの無駄口を聞き流しつつ、先頭を歩くロゼンはたいまつ片手に先を進んでいく。
「お腹空いたぁ」
「まあ、洞窟だからな」
「寝みいよぉ」
「まあ、洞窟だからな」
「ここで誰か死んでも完全犯罪が成立しますね」
「まあ、洞窟だからな」
ロゼンは(ん? 今、変な問い掛けが…)と思ったがスルーすることにした。
「何にもいなくない?」
「俺たちがいるだろ」
「ここに極悪、非道、凶悪なロブスターがいるんじゃねえのかよ」
「ロブスターじゃなくてモンスターな」
「あ、1¢を落としました!」
「あきらめろ。この暗さじゃ見つか」
──ドゴンッ!
うかつにもノリでミモザに【お金をあきらめろ】という禁句を言ってしまったロゼンは鋼鉄ハンマーで叩き潰された。
「お金を捨てるというのは、命を捨てる覚悟も必要なんですよ?」
「……お、俺の命は1¢なのか?」
「金額の問題じゃありません。“1¢に笑う者は1¢に呪い殺される”ということわざがあるでしょう?」
「そんな恐怖を植え付ける内容のことわざだったけ?」
「いいから、探しますよ」
「…わ、わかりました。わかったからハンマーを強く押し付けないでくれ。じゅうたんになっちまう」
とりあえず、ロゼンパーティーは1¢を探し始めましたとさ。
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