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■救助編
【5】
しおりを挟む『グルルル!』
ロゼンパーティーは、ウルフたちと対峙していた。
(1…2…4…8匹か…)
ロゼンはナルシアをかばう姿勢のまま、周りにいるウルフの数を確認した。
ナルシアは「ど、どうしましょう?」と焦っている。
「ん? ま、平気だろ」
ロゼンはゼンスと目を合わせた。
「たりめーだ」
それを合図に、ゼンスはウルフの一匹に突進していき、勢いの乗った一撃でそのまま殴り飛ばした。
『グォッ!?』
ウルフが茂みに吹き飛んでいくのを確認すると、すぐ横の一匹にも蹴りを放つ。だがそのウルフは身構えてたようでその一撃を回避した。
『ガァァァ!』
それを見た他のウルフが、ロゼン達に牙を向けて襲い掛かる。
『───!』
が、ウルフが飛び掛かるために地面を蹴ろうとした瞬間、ミモザがハンマーを地面に叩きつけた。
地震のように大地が大きく揺れて、ウルフ達は大きくバランスを崩す。
『ガァッ!?』
それと同時にウルフ達の体が浮き上がり、まるで磁石に吸い寄せられるかのように一ヶ所に集まりだした。
「ナイスだ、ティア!」
魔法の力で一ヶ所に集まったウルフ目がけてロゼンが剣を大きく振るうと、巨大な風の刄が飛んでいく。
『グオォォオォッ!』
山に断末魔が響き、ロゼンが見つめる先でウルフ達が塵のように消えていった。
「………」
あっという間の出来事にナルシアは呆然とする。
「と、まあ軽く準備運動ができたわけだな」
ロゼンが鞘に剣におさめ、カッコつけながらそう言ってきた。
さすが冒険者は戦いなれてるな、とナルシアが感心していると、
「うっぜえ!」
カッコつけているロゼンに、ゼンスが容赦のない蹴りをぶちこんだ。
「あんびばっ!」
ロゼンはダサい叫び声をあげてぶっ飛んでいき、さらに追い打ちでティアが魔法弾をぶちこんだりと、ちょっとカッコつけただけのわりにはひどい代償を支払うことになってしまった。
(う~ん、まあやっぱり実力はあるっぽいし人選ミスではなかったかな)
でも、一応ナルシアでの中での評価はわずかにあがったようだった
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